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圧倒的な個。ナポリの空飛ぶナイジェリア人、ビクター・オシメーンに刮目せよ

2023.02.20

ビクター・オシメーンが絶好調だ。ナポリ在籍3年目のナイジェリア代表FWは、今シーズンここまでセリエA19試合に出場して得点ランキング独走の18ゴール(第23節終了時点)。2位インテルに15ポイントの差をつけて首位をひた走るナポリを牽引するストライカーに「まだまだ成長できる。将来が楽しみだ」と話すのは指揮官、ルチャーノ・スパレッティである。味方にとってはこれ以上なく頼れるエース、相手守備陣にとっては悪夢のような存在となった24歳の青年には、この先どんな未来が待っているのか。

なるか、三季目の正直

 母国ナイジェリアでのユース時代、U-17W杯に出場して優勝。大会得点王(10ゴール)となったことで注目されたオシメーン。2015年のことである。その目前には輝かしい未来が待っているかと思いきや、プロキャリアのスタートは意外にも苦難に満ちていた。

 欧州各国クラブが関心を寄せる中で最初に選んだ行き先はドイツ。16-17シーズン途中の1月、ボルフスブルクに正式加入し、5月にブンデスリーガデビュー。しかし半月板や肩の負傷の影響もあり、初の欧州挑戦で思うような結果を残すことはできなかった。3シーズン目を迎える2018年の夏、ローン先を探してベルギーリーグでトライアルを受けるも、マラリア感染という不運も重なりズルテ・ワレヘム 、クラブ・ブルッヘの2クラブから断られてしまう。

 「ドイツでは期待値の高さが苦しかった。人々に疑われることで、自分で自分を疑うようになってしまった。でもここに来て、もう一度幸せに感じることができた」

 本人がインタビューでそう感謝を伝えたクラブが、ボルフスブルクからローンで移籍したシャルルロワ。ここでリーグ戦25試合12ゴール、プレーオフで9試合7ゴールの活躍を見せ、18-19シーズン終了後にリーグ1・リールに移籍する。リールではCLデビューも果たし、チェルシーを相手に得点も決め、シーズン合計38試合18ゴール。その活躍を見逃さなかったのが、移籍市場でCFを探して続けていたナポリだった。

 20-21シーズン、ジェンナーロ・ガットゥーゾ(当時)率いるナポリに加入。早々にその能力の高さを発揮するも、2020年冬に代表戦で肩を負傷。さらには離脱中にCOVID-19に感染するなどまたも不運が重なり、2カ月近くも欠場することになってしまう。翌21-22シーズンにも、インテル戦で競り合ったミラン・シュクリニアルと衝突、頬骨や眼窩底(がんかてい)を骨折する大ケガを負い、再びシーズン途中に戦列を離れることになった。

 ちなみに、今やトレードマークとなりつつあるフェイスガードはこのケガから復帰する際に着けていたもので、医師からは外しても構わないと伝えられた後も継続して装着している。本人いわく、ゲン担ぎやメンタルを落ち着かせるためのものではなく、単に防具として着けているそうだ。

 能力の高さには疑いがないだけに、シーズンを通して出場してくれさえすれば……。ナポリで3シーズン目となる今季は、サポーターのそんな願いに応えてか、オシメーンは順調にゴールを量産している。セリエA19試合でPKなしの18ゴール、直近7戦で連続ゴールを記録中である。

「成長途中」の万能型

 冒頭で紹介したように、昨シーズンから指導しているスパレッティに言わせれば、このストライカーにはまだまだ伸びしろがあるそうだ。しかし、カバーニ(現バレンシア)、イグアインといったワールドクラスのCFが成長し、活躍する姿を見守ってきたナポリサポーターとして言わせてもらえば、ゴールゲッターとしての能力だけならとうに彼ら先輩の域に達している。ナポリの試合を観たことがない方々にも、彼のゴールをいくつか見ればその片鱗がうかがえると思うので紹介したい。

 まずご覧いただきたいのが、何度見てもあきれて笑えてしまうスペツィア戦のこのゴール。

2月5日、スペツィア戦(○0-3)

……

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イタリアセリエAナイジェリア代表ナポリビクター・オシメーンルチャーノ・スパレッティ

Profile

大田 達郎

1986年生まれ、福岡県出身。博士(理学)。生命情報科学分野の研究者。前十字靭帯両膝断裂クラブ会員。仕事中はユベントスファンとも仲良くしている。好きなピッツァはピッツァフリッタ。Twitter:@iNut

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