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PSGの駐車場で「出待ち4時間」!イブラ・マニアの林陵平が明かす唯一無二の魅力

2022.09.26

『アドレナリン』発売記念企画#6

7月29日に刊行した『アドレナリン ズラタン・イブラヒモビッチ自伝 40歳の俺が語る、もう一つの物語』は、ベストセラー『I AM ZLATAN』から10年の時を経て世に出されたイブラヒモビッチ2冊目の自伝だ。 訳者の沖山ナオミさんのおすすめエピソード紹介に続いて、ここからは異なる立場からこの本をどう見たのかを聞いてみた。

第3回は元Jリーガーで現在はサッカー解説者としても活躍する、林陵平氏。イブラヒモビッチが好き過ぎてパリまで会いに行ってしまった男は、“推し”の自伝に何を感じたのか?

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愛し続けて20年、携帯の待ち受けも「イブラ」

 僕がイブラ好きになったのは、かなり昔ですよ。アヤックス時代の5人抜きのスーパーゴールだったり、まずプレー面に魅了されました。あのサイズ感で、めちゃくちゃ足下が柔らかくて、スピードもテクニックもある。ゴール前で予想外のアクロバティックなプレーを見せてくれたり、イマジネーションも素晴らしい。見ていて「次に何をしてくれるんだろう」とワクワクさせてくれる選手ですよね。現役時代はずっとFWをやっていましたが、僕から見てイブラは「CFの理想像」そのものですね。

 以来、ずっと彼のキャリアを追っていて、サッカー選手としての振る舞いまで含めてハマってしまいました。みなさんご存じのように大口を叩くんですが、それに負けないプレーを見せてくれるので、言動に結果が伴っていて一つひとつの発言に説得力があるんですよね。本当にかっこいいなと惚れこんでしまって、気づけば携帯の待ち受け画像など、いろんなものがイブラ一色になってしまいました(笑)。

 そうそう、実は僕の現役時代にイブラに会いに行こうとしたことがあるんです。イブラがパリ・サンジェルマン(PSG)でプレーしている時代に、Jリーグのオフシーズンにパリまで行って、練習グラウンドの駐車場でサポーターと一緒に出待ちしていました。氷点下の気温の中、4時間以上も(笑)。結局イブラには会えなかったというオチなんですが、マテュイディには会うことができて一緒に写真を撮ってもらいました。あとで聞いてみたところ、どうやらイブラだけクラブハウスの目の前に車を停めることが許されていたらしく、駐車場を通らなかったらしいんです。さすが、クラブでの待遇も王様だなと感じましたね。

 イブラみたいな選手は、もうしばらく出て来ないでしょうね。あれだけの体のサイズ、身体能力があって、10番みたいなファンタジスタですから。アヤックス時代は特にエレガントで異色のプレースタイルでしたよね。ユベントスに移籍してカペッロの下でシュートの猛特訓をしてストライカーとしてさらに高みに上り、行く先々のクラブでチームを優勝に導く男になりました。

 ペナルティエリア内で強くて、下がってスルーパスも出せて、ゴールも決められる。エレガントさと強さが同居していて、性格もそうですが、人工的なゴールマシーンではなく、“ストリートサッカー”を感じさせる選手。ピッチで闘う意識も強くて、現代のサッカー選手とはちょっと違う匂いを感じさせますよね。その点も惹かれるポイントです。……

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『アドレナリン』アヤックスズラタン・イブラヒモビッチパリ・サンジェルマンミラン

Profile

林 陵平

1986年9月8日生まれ、東京都出身。186cm/80㎏の大型ストライカーとして鳴らした元Jリーガー。ヴェルディアカデミーと明治大学を経て2009年に東京ヴェルディとプロ契約し、翌年から柏、山形、水戸、ヴェルディ、町田、群馬を渡り歩き、2020年シーズンをもって現役を引退した。Jリーグ通算300試合67得点。自他ともに認める「欧州サッカーマニア」で、海外選手のゴールセレブレーションを取り入れて話題にもなった。現在もあらゆる動画やニュースに目を配り、Twitte(@Ryohei_h11)では海外ネタを日々つぶやき中。21年1月には、自身初の著書『Jリーガーが海外サッカーのヤバイ話を教えます』(飛鳥新社)を出版し、東京大学ア式蹴球部の監督にも就任した。欧州サッカーの試合解説も務める。

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