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英3部で再起を図るダービーは昨季なぜ破産したのか?プレミア昇格ギャンブルの代償

2022.07.30

プレミアリーグに先駆け、7月30日に開幕するEFLリーグ1。昨季、破産による勝ち点21のはく奪でチャンピオンシップ残留にあと一歩届かなかったダービーは新オーナーの下、この3部の舞台で再スタートを切るが、そもそも財政危機に陥ってしまった理由は何なのか?イングランドサッカー界の財政事情に明るいYuki Ohto Puro氏が解説する。

 2022年7月1日、長く混迷を極めたダービー・カウンティの買収が成立した。最終的に買い手となったのはイングランド・東ミッドランズのダービーシャー州で不動産業を営むClowes Developments社だったが、ここに至るまでの道のりは平坦なものではなかった。

 昨年9月に破産申請を行いQuantuma社の管理下となったクラブには米国の資産家クリス・キルヒナーや元ダービーオーナーのアンディ・アップルビー、前ニューカッスルオーナーのマイク・アシュリー等多くの入札希望者が現れたものの、スタジアム所有権問題や未払いの負債といった問題が噴出し、プロセスは遅々として進まない状況だった。買収予定スケジュールは当初想定の2021年中から2022年2月へ、そして4月、6月……と次々に後ろ倒しになっていく中、新シーズン開幕直前のタイミングでようやく救世主が現れたことはすべてのクラブ関係者、そして何よりファンにとっては僥倖だったと言えるだろう。

 Clowes Development社会長にして、クラブに生涯の忠誠を誓ったデイビッド・クロウズは買収成立後にこう語った。

 「ダービー・カウンティを失うという危機が現実のものになったので我慢できなかった。クラブを守るためにすべきことを為さなければ、自分自身の顔を鏡で見ることすらできなかっただろう」

愛するダービーのディレクターに就任したクロウズ

 取引額は非公開とされているが、一部では本拠プライドパーク・スタジアム購入の2200万ポンドを含め総計6000万ポンド以上とも伝えられる巨額の費用を地元出身の実業家が負担したことは昨今のグローバルな取引が進むイングランドフットボール界においては異例のことで、それ故にクラブ愛が感じられる事実とも言える。EFL(イングリッシュ・フットボールリーグ)による厳しい管理化でのクラブ再建は決して容易ではないだろうが、一人のフットボールファンとして古豪復活を願うばかりだ。

帳簿上の巨額利益を生み出した前会長の錬金術

 しかし、ダービーはそもそもなぜこのような困難に立ち向かわねばならなかったのだろうか?1888年にフットボールリーグ創設メンバーとなった「オリジナル12」の1つにしてフットボールリーグ全シーズンに出場している10クラブのうちの1つ、そして1970 年代にはトップリーグで2度の優勝を飾ったこともある、あの由緒正しきフットボールクラブが?……

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ダービー経営

Profile

Yuki Ohto Puro

サミ・ヒーピアさんを偏愛する一人のフットボールラバー。好きなものは他人の財布で食べる焼肉。週末は主にマージーサイドの赤い方を応援しているが、時折日立台にも出没する。将来の夢はNHK「映像の世紀」シリーズへの出演。