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女子EURO開催で優勝を超えるインパクトへの期待も。イングランドの女子サッカー界隆盛の理由

2022.07.05

近年、リーグのプロ化や制度面の整備により世界的に発展している女子サッカー界。中でも急激な盛り上がりを見せているのがサッカーの母国イングランドだ。7月6日に開幕する女子EUROの開催でますます注目度が高まる、イングランド女子サッカー界成功の理由と現状を現地在住の山中忍さんに伝えてもらう。

 いよいよ、女子EURO2022が開幕する。イングランド国内における注目度と期待感は、女子サッカーの大会では過去最大と言って差し支えない。7月6日にオールドトラッフォードでオーストリアと対決する初戦から、母国代表のグループステージ3試合はすべてチケット完売。この原稿を書いている2日付の『ガーディアン』紙には、テニスのウィンブルドン選手権開催中ながら、若き代表ウインガー、ローレン・ヘンプのインタビュー記事が掲載されるとともに、全40ページの観戦ガイドブックが付いていた。「ライオネス」(雌ライオン) たちが優勝候補の一角として臨む自国開催の今大会は、テレビとスタジアムの双方で女子サッカー史上最大の観客動員が期待されている。

ロンドン市内のウェルカムメッセージ。開催各地に掲げられ開幕を迎えようとしている

 単純に、コロナ禍で1年余計に待たされた開催国という立場ゆえの待望感ではない。女子EUROの開催自体は2005年に経験済み。開幕戦は3万人近い観衆を集めて盛り上がるかに思われたが、セミプロ集団だったチームがグループステージで姿を消すと勢いは途絶え、国内女子サッカー界はセミプロのまま歳月が流れた。続く2009年大会では決勝進出を果たしたものの、今夏も中継局となる『BBC』の視聴者数は大会全体で200万人程度にとどまった。

 ところが今では、国内の女子トップリーグ戦が100万人規模の視聴者を獲得できる。そのウィメンズ・スーパー・リーグ(WSL)は、ワールドクラスの外国人選手も所属するプロ12クラブによる激戦区。英国スポーツ界の中でも最も急速な発展を見せる女子サッカー界が、さらに勢いを増すきっかけとして今夏の女子EUROは位置付けられているのだ。

ビジネスとしての成功

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イングランド女子EURO女子サッカー

Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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