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ズウォレはまだ死んでいない。AZ撃破の裏にあった中山の奮闘、そして際の想い

2022.04.13

一時は最下位脱出を果たしたズウォレだが、AZ戦を前に3連敗。ところが、ズウォレは死んでいなかった。菅原由勢を擁する強豪AZを2-1で下すというサプライズを実現。現地取材した中田徹氏に中山雄太の奮闘、ファン・ウェルメスケルケン際の想いを伝えてもらおう。

 今年に入ってから勝利の味を覚え始め、一時は最下位から脱出したズウォレだったが、3月13日のフェイエノールト戦(1-2)から3連敗と調子を落とし再び最下位に転落。4月3日、ゴーアヘッド・イーグルスとのデ・アイセルダービーを0-1で落とした時には、「残る6試合のうちAZ、アヤックス、PSVといった強豪チームとの対戦を残すズウォレに1部残留の可能性はないだろう」とオランダのサッカートーク番組で解説者たちが語り合っていた。

 ディック・スフローダー監督も試合直後は現地記者を前に沈鬱な表情を隠せなかった。しかし、徐々に笑顔を取り戻し「我われは目標に向かってポジティブに次の試合に向けて準備をするだけ」とインタビュールームいっぱいに響き渡る甲高い声で言い切った。リベロを務める中山雄太は「残り6試合、勝ち点18を狙います」と宣言した。

2つのスタイルの融合を目指した「必然的な問題」

 ゴーアヘッド・イーグルス戦のズウォレは、選手同士の意思疎通のズレが至るところで見受けられた。例えば、相手DFラインの裏を走り抜けようとした受け手に対し、パスの出し手が足下へボールを通そうとしたりしたことだ。試合後の監督、選手たちは口々に「プレーの選択にミスがあった」と振り返っていた。

 このズレを中山は「必然的な問題」と語っていた。昨年11月16日、ズウォレはアルト・ランゲラー監督を解任し、2日後にディック・スフローダー監督の就任を発表。ズウォレは“[4-3-3]×ポゼッション・フットボール”から“[3-4-1-2]×プレッシング・フットボール”への大転換を図った。この取り組みは年が明けてから成功を収め、後半戦だけの戦績を見るならズウォレは上位チームの1つになった。

 シンプルに前線へボールを運び、ロストしたらプレッシングで早期回収を図るサッカーが形になったズウォレは、次のチャレンジとしてポゼッションする時間も増やすことを目指したが、熟成させるには時間が足らずピッチ内で選手間の意図がズレ始め、試合中に判断ミスが相次ぐことになった。

 中山の言う「必然的な問題」とは、チームがレベルアップを図る際に避けて通れぬものという意味を含んでいたわけだ。ゴーアヘッド・イーグルス戦からAZまでの1週間、ズウォレは新たに取り組んでいる「プレッシング・フットボールとポゼッション・フットボールの融合」の進化を図るのか、それとも「スフローダー政権立ち上げ時のプレッシング・フットボール」に回帰するのかの判断が迫られた。答えは後者だった。

ホッフェンハイムなどでアシスタントコーチを務めたディック・スフローダー監督

ファン・ウェルメスケルケン際が語る「チーム内部の変化」

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ズウォレファン・ウェルメスケルケン際中山雄太

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中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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