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中山雄太所属ハダーズフィールドの新監督は、帰ってきたフットボール界の“恐竜”…74歳の老将ニール・ウォーノックが監督業に復帰!

2023.02.19

 御年74歳のニール・ウォーノックが現場に復帰した。

 これまでイングランドで16のクラブを率いてきた熱血漢にして、イングランドフットボール界で歴代最多8度の昇格という実績を持つ74歳の老将は、シェフィールド・ユナイテッド、クリスタルパレス、カーディフなど様々なクラブを率いたのち、2020年から翌年11月までミドルズブラを指揮。そして昨年4月に引退を発表し、イングランドのプロサッカー界で歴代最多となる「1603試合」を経験した42年の監督キャリアに終止符を打っていた。

 そんな酸いも甘いも噛み分けてきた指揮官が今月16日、日本代表DF中山雄太(26歳)が所属するイングランド2部のハダースフィールドの監督に就任したのである。ハダースフィールドは、2017年にプレミアリーグに昇格するも2年後に降格した後は2部のチャンピオンシップに在籍。今季は、シーズン開幕の22日前にカルロス・コルベラン監督が辞任して開幕ダッシュに失敗すると、その後は暫定監督を含めて4人がチームを率いるも、浮上のきっかけをつかめずに降格圏に低迷していた。そして今月16日、ウォーノックを招へいしたのである。

 「素晴らしい挑戦だ」と、ウォーノックは1993~1995年にも率いたことのある古巣の窮地に立ち上がった。これまでもユーモア満載の発言でサポーターを喜ばせてきた指揮官は、「もし監督業に復帰するなら2月下旬と考えていたんだ。正直、働くなら1年のうち10週間くらいで十分だと思っていたし、復帰するならハダースフィールドやQPR、カーディフといった“愛するクラブ”だけだったね」と、相変わらずの“ウォーノック節”を会見で披露。

 過去に、審判の不可解な判定に激怒した際に「妻に言われたよ。『もしあなたが審判を殴ろうとしても、私は止めなかったわ』とね!」と夫人とのエピソードを持ち出したウォーノックは、今回の監督業復帰についても妻の意見に従ったことを明かしている。

妻に背中を押されて

 「ハダースフィールドから話が来た時に『助けてあげればいいじゃない』とシャロン(妻)が言ったのさ。過去にここで監督を務めた時も、妻はクラブを気に入っていたしね。シャロンがOKを出してくれなければ、私はここにはいないよ」

 これまで様々なクラブで結果を残してきたウォーノックだが、残り15試合でハダースフィールドを残留に導くという任務はあまりにも過酷だ。守備の要として期待された中山雄太は、11月の試合でアキレス腱負傷という今季絶望のケガを負ってW杯も欠場。チームは今年に入ってから一度も勝つことができずに降格圏で苦しんでおり、ブックメイカーを見ても降格候補の大本命となってしまっている。

 当然、ウォーノックに託された任務は「残留」だ。ところが彼は会見の冒頭で、「最近の試合を確認したよ。昇格プレーオフ圏内(6位以内)に入るには、かなりの仕事が必要だね!」と冗談を飛ばして会場の笑いを誘った。さらに、3-0で大敗した今月15日のストーク戦をスタジアムで観戦できなかったことに触れて「申し訳ないが、昨晩はニューヨークのジャズクラブにいて、そっちの方が楽しかったのさ!」と笑って見せた。

 古き良きイングランドのフットボール文化を愛するウォーノックは、時代遅れの「恐竜」と批判をされることもある。だが、それさえも冗談に変えるのがウォーノックだ。先日、博物館の恐竜の骨格との写真を自身のTwitterアカウントに載せて「恐竜と恐竜。まだ絶滅していないよ!」と書き込んで見せた。

 「まさか自分がTwitterをやるようになるなんてね。過去にやっている選手を激怒したことがあるのに、今は自分が楽しんでいるのさ」と就任会見で笑ってみせた。SNSまで活用するようになった進化する“恐竜”は「アイディアがある」とチーム立て直しへの自信をのぞかせる。「とはいえ、1週間かけて必死で練習した結果、(2月25日の)敵地でのバーンリー戦で5、6点ほどぶち込まれるかもしれない。そうしたら、(アシスタントコーチの)ロニーに『あとは任せたぞ』と言うかもね!」

 降格の危機に瀕するクラブの会見とは思わないほど笑顔があふれる“ウォーノック劇場”となった。

 「残りのスケジュールを見れば、ハダーズフィールドの監督を引き受ける奴なんてとんだ愚か者だ。だが幸い、私は愚か者だからね!」

 「74歳だが、残り15試合を楽しみたいんだ。まるで子供のようにね」と目を輝かせたウォーノックがいかにチームを導いていくのか、楽しみだ。

Photo: Getty Images

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チャンピオンシップニール・ウォーノックハダーズフィールド中山雄太

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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