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44歳ブッフォンの今。20年ぶり復帰のパルマで衰えぬ欲、無失点試合は「500」到達!

2022.02.15

イタリア代表で歴代最多176キャップ(1997〜2018)を誇り、2001年からのユベントス在籍19季で10度のスクデットを獲得したジャンルイジ・ブッフォンは現在、かつて17歳でプロキャリアをスタートさせたパルマの地で、再び「正GK」としてピッチに立ち続けている。1月28日で44歳になった守護神は、ここまでセリエB(イタリア2部)全試合に出場し、先日にはキャリア通算500回目のクリーンシートを記録するなど、まだまだバリバリだ。

 2月5日、スタディオ・チーロ・ビゴリート。アウェイでベネベントと対戦したパルマのゴールマウスには、44歳の主将ジャンルイジ・ブッフォンがいた。

 セリエB第20節終了時点で4位と好調のホームチームは開始からペースを上げ、2分にさっそくFWフランチェスコ・フォルテのヘディングシュートがゴールネットを揺らした。しかしこれがVARで取り消されると、ブッフォンがベネベント攻撃陣の前に立ちはだかった。前半、FWロベルト・インシーニェのゴール正面に来たシュートをがっちりとキャッチ。48分にはパルマのボールロストを拾ったMFアルトゥール・ヨニツァの強烈なシュートを弾き出し、67分にはDFエドアルド・マシアンジェロがフリーで放ったシュートをセーブする。79分にMFジャコモ・カロのFKから空中戦を狙われても、前方に飛び出して危なげなくキャッチした。

 ベネベントに24本のシュートを打たれながらも、最終的にはノーゴールでシャットアウト(0-0)。ユベントスで322試合(出場685試合)、パリ・サンジェルマンで9試合(同25試合)、イタリア代表で77試合(同176試合)、そしてパルマで92試合(同241試合)。本人にとって、実に500試合目のクリーンシートだった。

 「この歳になると全部を覚えているのは大変だけど、こうして思い起こさせてくれるのはうれしい」

 試合後、自身のインスタグラムでこの前人未到の偉業に触れたブッフォンは「この記録をまだまだ伸ばしていきたいという欲がある」と思いを明かした。

 自身が尊敬するトーマス・ヌコノ(元カメルーン代表GK)は42歳で現役を引退。しかしブッフォンは、44歳になってもプロリーグの場で活躍を続けている。さすがに絶好調時の超人的な反応こそ見られなくなったが、安定感は素晴らしい。今季ここまでリーグ戦22試合すべてに出場して23失点。96本のシュートを打たれながらもセーブ数79を記録し、これはセリエBのGKでトップの数字だ。79.2%のセーブ率は全GKの中で4位。チームは序盤戦から中位よりやや下をさまよい、現在はプレーオフ圏内の8位まで勝ち点6差の11位(6勝10分6敗)に位置しているが、ブッフォン自身はまだまだトップクラスの成績を誇っている。

いまだ根に持つ人々にプレーで証明

 昨年5月に、ユベントスからの退団を表明。バルセロナから第2GKとしてのオファーも届いたが、フィジカルコンディションの良さに自信を持っていたブッフォンは正GKとしての待遇を与えてくれるクラブを希望した。そしてそこに、元ユベントスのチームメイトで、パルマの指揮を執ることになったエンツォ・マレスカ監督から「ウチに来て一緒にプレーしないか」と誘いを受け、移籍を受諾したという。そして6月17日、正式に契約合意を発表。契約は2年間、年俸は明らかにされてはいないものの、成功ボーナス込みで100万ユーロ(1億3000万円)と言われている。

 ただ、待っていたのは地元サポーターの冷ややかな反応だった。本拠スタディオ・エンニオ・タルディーニに横断幕が張られ、「金目当てで出て行った男が英雄として戻ってくることはない。ユニフォームに敬意を示せ」と厳しいメッセージが掲げられた。2001年、当初サポーターに残留を約束しておきながら、オーストラリアで3週間のバカンスを過ごしたのちに、心変わりしてユベントスと契約。サポーターには当時のことを根に持つ人々が存在していた。……

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ジャンルイジ・ブッフォンパルマ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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