来季はセリエBで戦うことになったパルマに、地元出身のジャンルイジ・ブッフォンが復帰することになった。今季限りでユベントスからの退団を発表した43歳の元イタリア代表GKは、古巣に戻っての現役続行を決断した。契約は2023年までの2年間。詳しい年俸は明かされていないが、地元メディアは「それなりに高額だ」と報じている。
正GKの立場を求めて古巣へ
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、バルセロナから第2GKとしてオファーが来ていたものの、正GKとしてプレーすることを希望したために拒否。そこに元ユベントスのチームメイトで、 来季からパルマの指揮を執ることになったエンツォ・マレスカ監督から「ウチに来て一緒にプレーしないか」と誘いを受け、移籍を受諾したという。
ブッフォンの代理人を務めるシルバーノ・マルティーナ氏は地元ニュースメディア『Parmalive.com』のインタビューに応え、「単純に彼がアイディアを気に入ったということで、彼の決断によるもの。多くのクラブからオファーを受けてはいたが、パルマでキャリアを閉じるということが彼にとっては良いものと感じられたようだ」と説明した。
そして6月17日、正式に契約合意を発表した。クラブはブッフォンがスターディオ・タルディーニのゴール下に埋めていた箱を掘り返し、中からユニフォームを取り出した後に「戻るよ」とカイル・クラウス会長に電話するという凝ったビデオクリップまで作成し、“スーパーマン”と呼ばれた男の帰還を祝った。
サポーターの反応は冷ややか
ところが、地元サポーターの反応は冷ややかなものだった。6月18日にはサポーターズグループによってタルディーニに横断幕が張られ、「金目当てで出て行った男が英雄として戻ってくることはない。ユニフォームに敬意を示せ」と厳しいメッセージが掲げられた。
さらに同グループはFacebook上でその真意を説明し、「20年前には『あの嫌なユニフォームを着ることはない』と我われに約束しながら、オーストラリアで3週間過ごした後にユーベとサインをした。そして今度は、お前は自分が欧州制覇(1998-99シーズンのUEFAカップ)に導いたただ一つのクラブに戻ってくる。我われにとってお前など小さい小さい男だし、今後も小さい男であり続ける」と非難した。
2001年、最初にサポーターに残留を約束しておきながらバカンス後に意見を変え、ユベントスと契約したことを根に持つ人々が存在している。
ブッフォンはその後、自身のインスタグラムに長文のメッセージを掲載し「パルマは自分の過去であり、未来である」とサポーターに理解を求めた。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。