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横浜F・マリノスをもっともっと前へ。マネーフォワード“共創”パートナーシップの成果

2021.11.30

この記事は『株式会社マネーフォワード 』の提供でお届けします。

2021年10月16日、横浜F・マリノスのトップパートナーである株式会社マネーフォワードの冠試合「マネーフォワードDAY」が日産スタジアムで開催された。ハーフタイムにはマネーフォワード社員がスタジアムを一周。多くのF・マリノスサポーターから温かい拍手が送られた。数あるJリーグクラブのパートナー(スポンサー)企業の中でも、同社に対するサポーターからのエンゲージメントの高さは特筆に値する。アクティベーションの1つひとつがサポーターによって“超拡散”される現象が、それを証明している。

なぜマネーフォワードは応援されるのか?同社でパートナーシップを担当する金井恵子氏と石戸健氏に1年間のパートナーシップを振り返ってもらった。

“フォワードな会社”とF・マリノスの親和性

――まずは、マネーフォワード社でパートナーシップ業務を担当されることになったきっかけについて聞かせてください。金井さんは、サッカーはもともとお好きだったのですか?

金井「いや、実はサッカーとはいっさい接点がない生活を過ごしてきて、会社がF・マリノスと(トップ)パートナー契約を締結する話を聞いた時も、あまりピンとこなくて……。弊社のミッションである『お金を前へ。人生をもっと前へ。』を推進する上で、サッカーとの繋がりを理解できず、当初は(パートナー契約を)反対していたくらいです」

――そんな金井さんがパートナーシップの担当に就任されるまでに、どのような経緯があったのでしょうか?

金井「反対ではあったのですが、パートナー契約締結直後に日産スタジアムで開催された冠試合(2020年10月21日開催/第33節名古屋グランパス戦)を現地で観戦したところ、見事に心動かされまして(笑)。特にF・マリノスのサポーターが作り出すスタジアムのエモーショナルな雰囲気が本当に衝撃的で……。『(お金を前へ。)人生をもっと前へ。』と(F・マリノスに)親和性があることを直感的に理解しました。F・マリノスと私たちの文化に共通する部分があり、(パートナーシップ契約によって)相乗効果を出せるのではないかと、私から『やらせてください』と会社に志願したという経緯です」

金井氏の担当就任のきっかけとなった横浜F・マリノスサポーター

――石戸さんは、一観客として観戦したこの冠試合がきっかけで、マネーフォワード社の中途採用面接を受けたとお聞きしました。

石戸「(冠試合を通じて)大きく感銘を受けたことが2つあって、1つ目が『F・マリノスサポーターの歓迎力』です。スタジアムで多くのサポーターが(パートナーシップ契約の)感謝を伝えている様子を見て、その温かさに驚きました。2つ目はマネーフォワードの社員がSNSを使って『サッカー観戦楽しい』『パートナーになれてうれしい』といった趣旨の情報発信を積極的に行っていたこと。それ(情報発信)がクラブとマネーフォワードとの関係に熱量を生む要因になっていると思っていて、『この会社で(パートナーシップ)アクティベーションを実施したい』と(中途採用に)応募しました」

――石戸さんの名刺には所属が『スポーツビジネス部』と印刷されています。パートナーシップを専門とする部署があるのは珍しいですね。

金井「石戸以外は他部署との兼務で、現在4人在籍しています。当初は部署横断のプロジェクトチームのような体制だったのですが、石戸が入社したこともあり、2021年8月に部署化しました」

石戸「(中途採用の)面接時に『パートナーシップに本腰を入れるためには専任者が必要』という話を聞いていて、会社としての本気度は感じていました。部署化したので、さらに推し進めていきたいですね」

――社内で共有されている『スポーツビジネス部』の目標を教えてもらえますか?

金井「そこは部署化のタイミングでかなり議論しました。目標を設定して活動しないと、パートナーシップが成功しているのかを測る指標がないですからね。今も議論を続けている部分はあるのですが、ひと言で言うと短期的ではなく『中長期のブランディングに活かす』ということ。弊社のミッションである『お金を前へ。人生をもっと前へ。』は、お金の課題を解決するだけではなく、『人の人生、社会を前に進めていく』という想いが込められています。そんな“フォワードな会社”というイメージを、パートナーシップを通じて浸透させることが現状の目標ですね」

――パートナーシップ契約からの1年間で、その目標はかなり推進されているように感じますが、定量化して効果や進捗は測られていますか?

石戸「アンケート調査を通じて、弊社の認知度や、イメージを測った実績があります。ただ当然ですが、F・マリノスサポーターにも様々な方がおり、それに応じて調査方法も変えなければなりません。約1年のパートナーシップを通じて初めて分かったことも多く、最適な効果測定方法を設計中です」

2021年の「マネーフォワードDAY」では試合前に花束贈呈が行われた(写真右が金井氏、写真左が石戸氏)

共創する文化が浸透している

――金井さんはツイッターやnoteでF・マリノスとのパートナーシップについて語る際、『みんな』という言葉をよく使われています。共創意識の表れだと解釈していますが、何か由来する出来事があったのでしょうか?

金井「パートナーになりたての頃、あるサポーターの方から『サポーターが(パートナー企業の)商品情報を拡散したりすることが喜ばれているのかわからなかったけど、マネーフォワードさんはリアクションが見えるのでうれしい』と言われたことはよく覚えています。その経験からコミュニケーションを重視している側面はありますね」

――パートナー契約締結からの1年間で、F・マリノスサポーターとは様々な形でコミュニケーションを取られてきたと思います。彼らの印象をどのように捉えていますか?

金井「感度が高いと言いますか……少しの説明で多くを汲み取ってくださるのは、いつもすごいなと感じています。オン・ザ・ピッチで起きている事象に関して、様々な考察がされているのを目にしますが、パートナーに関しても同様で、私たちの立場になって想像し、親身になって考えていただいています」

石戸「当事者意識が非常に高いことにいつも驚いています。『沸騰プロジェクト』(※サポーターとのミーティングイベント)をはじめ、サポーターとクラブが共創する文化が当たり前のものとして浸透しているのは感じます。当日は、冠試合の内容と『マネーフォワード ME(家計簿アプリ)』のPR方法についてミーティングを行いましたが、弊社の社風やブランディングを意識して意見を出していただけるサポーターの方もいて、本当にありがたかったです」

――マネーフォワード社とF・マリノスサポーターのコミュニケーションが活性化された要因として、お二人がパートナー企業の担当者という立場を越えて、純粋にF・マリノスのサポーターである点は大きいのではないでしょうか? 特に金井さんは0からの成長過程を親心的に見守っているサポーターも多いのではないかと(笑)

金井「サッカーのサポーターって“怖い”というイメージがあったのですが、実際は『みんなでF・マリノスを良くしていこう』という仲間意識の高い人たちばかりでした。その安心感があったので、私も『教えてほしい』『仲間に入れてほしい』というスタンスを取れましたし、サポーターとしてF・マリノスを好きになれたことは(コミュニケーションが活性化した)要因の1つとしてあると思います」

――パートナー企業の担当者としての顔と、純粋にF・マリノスを応援するサポーターとしての顔。金井さんの言動を見ていて、このバランスがいつも絶妙だと感じます。

金井「最初から意識していたわけではないですが、途中から私たち自身がサポーター目線を持つことが重要だと考えるようになりました。会社の目標達成のためだけに行動しても、誰も付いてきてくれません。共創する前提として、(サポーターと)同じ目線を持ち、仲間に入れさせていただくという姿勢は大切にしています」

日産スタジアムで試合が行われる際は、金井氏、石戸氏を中心に社員が参加する観戦会が行われている

F・マリノスを後押ししたい

――金井さんが情報発信の際に使う『みんな』という言葉の対象は、マネーフォワード社員を指している時も多いですよね。社員がパートナーシップを楽しまれている様子が、SNS等で可視化されていることも御社の特徴です。先日の冠試合(第32節 対北海道コンサドーレ札幌戦)でも多くの社員が来場されていました。

金井「会社がやることをポジティブな気持ちで捉え、参加する企業文化はあります。マネーフォワード社のことを大好きな人が多いので、会社としての取り組みに協力しようという雰囲気には助けられています」

2020年「マネーフォワードDAY」には100名以上のマネーフォワード社員が来場した

――マネーフォワード社は急成長を続け、現在では社員数が1200人を超える大企業です。部署間のセクショナリズムが起きても不思議ではない環境だと思うのですが。

金井「社員数が増えているからこそ、業務ではなく、サッカー観戦を通じてコミュニケーションを取れるメリットを感じる方が大きいですね。特にここ2年はコロナ禍で、部署を越えた関係性の構築が難しくなっていたので、他部署の方から感謝されることも多いです」

――お二人のSNSを拝見していると、楽しそうにF・マリノスに関する業務をされていることが、社内におけるパートナーシップへの関心を高めている要因の1つではないかと推測しています。

石戸「おっしゃる通り、参加した社員が楽しんでいることが社内に伝わるようにしています。(社内のコミュニケーションツールである)Slackに社員同士でスタジアム観戦した際の写真をアップしたり、試合の感想を投稿したり。それをきっかけに興味をもってもらって、社内で新しいサポーターが増えるような好循環が生まれてほしいと思っています」

金井「あと、私たちの活動に対して、F・マリノスサポーターの方がSNSで好意的な反応をくださっているのを社員が見て、自社へのエンゲージメントに繋がっていると言われたこともありますね。パートナーシップを成功させるためには、社内のファンも増やすことが大切だと思っているので、(パートナーシップに関する)業務のプロセスや想いを開示して、共感者を増やすことは意識しています」

――プロセスの開示という視点では、冠試合の開催に合わせて横浜駅に掲示されたOOH(交通広告)は『参加型広告』として話題になりました。企画の段階から『沸騰プロジェクト』などで情報をオープンにし、公募されたサポーターやマネーフォワード社員のメッセージがプリントされたデザインは、まさに“共創”を体現しています。

金井「私たちとしては(広告出稿の意義として)数字的な効果以上に、あの広告を通じてサポーターの方々とエモーショナルな結びつきを作れたことが良かったと思っています。冠試合に向けてF・マリノスを後押しする施策を行いたかったので、そのコンセプトで考えた結果、ああいう形(参加型広告)になりました」

石戸「おこがましいかもしれませんが、広告を通じて前向きな雰囲気を生み出せればいいなと思っていました。デザインの決定は(掲示開始日よりも)かなり前になるので、リスクもあったのですが、(優勝を意味する)“星”というワードも入れました。この文字を入れないとクラブを後押しできないのではないかという気持ちもあったので」

横浜駅に掲示された「参加型広告」
広告のエンブレム部分にはファン・サポーターから募集したメッセージがデザインされている

――このインタビューでも何度か出てきていますが、“エモーショナル”はマネーフォワード社のパートナーシップを語る上で、キーワードの1つです。印象に残っているのは、ポステコグルー監督の退任が決定した直後に公開されたグラフィックです。

金井「あれは私たちの想いがあふれ出ましたね(笑)。(ポステコグルー監督の退任が)とてもショックで、(退任決定リリースの直前の)天皇杯(2回戦 Honda FC戦)でも敗戦していたこともあり、『なんとか後押しするメッセージを出したい』と急いでデザインを制作しました」

石戸「企画から公開までめちゃくちゃ短期間でしたね(笑)。僕もすごく思い入れのあるメッセージです。スポーツの世界ではモーメントが日々変わるなか、迅速にコピーとデザインができる体制が社内にあったことも、このメッセージを出せた要因だと思います」

ポステコグルー監督退任決定直後に発表されたグラフィックは大きな反響を呼んだ

――これまでのパートナー企業の概念を壊す、親近感あふれる行動が、多くのサポーターから多くの共感を呼んでいるのだと思います。

金井「(企業のミッションである)『人生をもっと前へ。』は高みから何かを言っても実現できなくて、相手に寄り添わなければいけません。特に今年はパートナーシップ1年目で、サポーターとの関係構築を重要視する中で、まずは私たちが相手を好きになろうとした結果として、時々仕事以上の感情があふれてしまう時があります(笑)」

――最後に来シーズンに向けて、想定されている施策についてお聞かせください。ACL出場は大きなポイントだと思いますが、パートナー企業としてはどのように捉えていますか?

金井「まず、個人的には現地に行きたい(笑)。会社的には弊社もグローバルに挑戦したいという想いは持っていて、社内も英語と日本語の両方を使っていく方針があるので、そういう社内の『グローバル化』の雰囲気とACLをうまく絡められればと思っています」

石戸「あと、ACLやアウェイの試合の観戦会を兼ねて、サポーターの方をオフィスに招待して一緒に観戦してみたいですね。また、『お金の勉強会』のような、サポーターの方の生活を後押しするような取組みも検討中です。実際、そういったお声もいただくので、喜んでいただけるプログラムを作りたいです」

――“マネフォ旋風”はまだまだ続きそうな勢いですね。来シーズンも、新しいパートナーシップの形を見せてもらえることを期待しています。

石戸「ありがとうございます。パートナーシップのポテンシャルをずっと信じてきた人間ではありますが、F・マリノスだからこそ実現できていることも多くて、このめぐり合わせには本当に感謝しています。もっと大きなことをできると思っているので、マリノスファミリーのみなさまとこれからも共創していければうれしいです」

金井「F・マリノスのファンであるとともに、クラブに関係するすべてファミリーのファンなので、サポーターの方々をはじめ、みなさんと共創したい想いは強いです。石戸も話した通り、F・マリノスだからこそ実現できるアイディアもあると思うので、来シーズンも面白いことを一緒に挑戦させてください」

Keiko KANAI
金井恵子

2014年にマネーフォワードに入社。UIデザイン、デザイン組織立ち上げ、ミッションビジョンバリュー策定などを経て、現在は企業文化デザインを担当。インナーコミュニケーション、オフィスデザイン、サッカーパートナーシップなどを通じて、文化醸成と浸透を行っている。

Ken ISHIDO
石戸健

2021年2月にマネーフォワードに入社。横浜F・マリノスとのパートナー契約直後の冠試合観戦をきっかけに入社を決意。入社後はスポーツビジネス部専任として、横浜F・マリノス、アビスパ福岡、北海道コンサドーレ札幌とのパートナーシップを通じたアクティベーションの戦略立案、企画、実行に従事している。


Photos: Nahoko SUZUKI , Money Forward , Getty Images, ©️Y.F.M.

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パートナーシップビジネスマネーフォワード横浜F・マリノス

Profile

玉利 剛一

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。その後、筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。2019年よりフットボリスタ編集部所属。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆を行っている。サポーター目線をコンセプトとしたブログ「ロスタイムは7分です。」も運営。ツイッターID:@7additinaltime

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