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【金J特集】共通目標はDAZN史上最高視聴数!川崎フロンターレ×横浜F・マリノス、プロモーションスタッフ対談

2021.02.25

DAZNとパートナーメディアで構成する「DAZN Jリーグ推進委員会」が2021シーズンの開幕を告げる特別企画。フットボリスタではオープニングマッチで対戦する川崎フロンターレ横浜F・マリノスの“プロモーション”に注目。川崎フロンターレから営業部パートナーシップ田中和也氏、横浜F・マリノスからはマーケティング本部FRM事業部永井紘氏にご登場いただき、オープニングマッチに向けた共同施策やお互いの印象などについて話を聞いた。

史上最高のJリーグ視聴数を目指す

――まずプロモーション目線で両クラブの“対戦”を振り返ると、記憶に新しいのは2018年の日産スタジアムでの試合を告知する「武蔵小杉駅ジャック」です。メッセージ性の強いポスタービジュアルでした。

2018シーズンのJ1第6節横浜F・マリノス対川崎フロンターレ戦のPRポスター。複数種類のポスターが武蔵小杉駅を“ジャック”した。

永井「もちろん(フロンターレ側に)仁義は切りましたよ(笑)。日産スタジアムは席数が多いのでアウェイサポーターも大切なお客様であること、そして、当時は対戦戦績が五分(12勝12敗4分)だったということもあって、神奈川ダービー……という言い方はあまりしないかもしれませんが、競っている隣町のクラブをリスペクトしつつ、スタジアムに来てもらいたい意図を込めて(プロモーションを)仕掛けました」

田中「ビジュアル的にも刺激的で印象に残っています。F・マリノスさんからこのプロモーションの話を聞いた時は『素晴らしい』と率直に思いました。次は逆に新横浜駅でやらせてもらいたいくらいです(笑)」

――永井さんが「神奈川ダービー」というフレーズの使用を躊躇されていましたが、確かに“ダービー”と表現するほどライバル関係が強調されているカードではない印象です。プロモーション目線ではこの一戦をどのように位置付けていますか?

田中「……う~ん、難しい。この対談のオファーをいただいた際に考えてみたのですが、答えが出ませんでした」

永井「神奈川県をホームタウンとするクラブ数が多いので『神奈川ダービー』という表現がしっくりきていない部分は正直あります。プロモーション目線からすると使いやすいフレーズではあるのですが。川崎フロンターレさんとの対戦は『ダービー』という言葉では表現できない価値があると思っています」

――そういう意味では、2021シーズンJリーグのオープニングマッチが新しい歴史を築く第一歩になればいいですね。

田中「そうですね。注目される金Jのオープニングマッチに選ばれたからには盛り上げないと」

永井「F・マリノスとしてはアウェイでの開幕ではありますが、Jリーグとして注目度の高い開幕戦をどのように世間に届けるかは(オープニングマッチの対戦カードが)決定直後から考えました」

――基本的には試合のプロモーションはホームクラブ側が行うものだと思いますが、今回は共同でプロモーションを行われているとお聞きしました。

田中「いくつかあるのですが、目立つところでは共通ビジュアルを制作しました。これは昨年、多摩川クラシコの時にFC東京さんからのお声がけで制作した実績があったので、それを参考に今回F・マリノスさんに提案させていただきました」

川崎フロンターレ 営業部パートナーシップ 田中和也氏

永井「なぜ今まで実施してこなかったのかと思うくらいの提案で、喜んでお受けしました。確かにアウェイ試合開催時はあまりプロモーションをしてこなかったのですが、オープニングマッチということで両クラブのサポーターはもちろん、それ以外のサポーターも含めて視聴してもらうためにも共同でプロモーションすることに意味はあるはずです」

――今年はコロナ禍でのJリーグ開幕ということで「席数上限5000人」「ビジター席なし」「平日18時キックオフ」など、プロモーション的には難しい状況です。

田中「難しい状況であるのは間違いありませんが、プロモーションの考え方を変えました。5000人が上限である以上、スタジアムへの集客ではなくDAZNさんでの視聴促進を目的としています。Jリーグ公式アプリのリモートチェックインを活用したキャンペーンを考えていて、F・マリノスさんやパートナー企業様から賞品をご提供いただきました」

永井「プロモーションは目的を定めないと途中で施策内容がブレるのですが、今回は田中さんとも『DAZNで史上最高のJリーグ視聴数を目指しましょう』と話しています。これまでの最高視聴数は2019年開幕戦のセレッソ大阪対ヴィッセル神戸とのことですが、それを超えたい。うちの法人事業部にも本件を共有して、パートナー様からも賞品をご提供いただいて、企画が盛り上がっていきました」

――スタジアム来場よりも観戦ハードルの下がるオンライン視聴の促進は、新規ファンの開拓を目的の1つとしている「金J」の在り方としても意義がありますね。

田中「おっしゃる通りだと思います。JリーグもDAZNさんも、そこを狙ってこのカードをオープニングマッチとして組んでいただいた認識でいます」

永井「金曜日に開幕戦を開催する以上、そこ(新規ファンの開拓)は意識していますし、今シーズンは特にオンラインでの接点は重要なポイントになります」

金Jで開幕する2021シーズンのJリーグ。川崎フロンターレ対横浜F・マリノスの一戦は史上最高の視聴数を達成できるか!?

コロナ後を見据えて

――ここからは両クラブのプロモーションの考え方について聞かせてください。双方の立場から相手クラブの印象的なプロモーション事例はありますか?

田中「毎年夏に実施されているカブトムシのイベント(カブトムシの森)ですね。“カブ”繋がりでカブレラ(川崎フロンターレのマスコット)の誕生日にうちも同じイベントをやっているので、やっぱりカブトムシって人気があるんだと思いまして。私たちはスタッフが幼虫から飼育して、大きくなったものをスタジアム近くのイベントスペースに放しているのですが、F・マリノスさんはどうされているのですか?」

永井「フロンターレさんは育成型なんですね。うちはこの企画を開始した当初は静岡までスタッフが捕まえに行っていました。週末に一泊してカブトムシを捕まえて、その足で出社したりして。けど、よく調べると横浜でも捕まえることができる場所があった(笑)。最近は協力してくれる会社があって、大量に持ってきてくれます」

――永井さんは印象的なフロンターレのプロモーション事例はありますか?

永井「どれか一つということではなく、すべてクラブの色に沿って実施されている。筋が通っているところが素晴らしいと思います。例えば“ダジャレ”系のイベントも多いじゃないですか。うちではできないなという意味でも(笑)」

――過去、何度かF・マリノスのプロモーションについて話を伺った際、フロンターレの“アットホーム”なイメージとの差別化を意識されていた印象があります。

永井「我われもアットホームなクラブですよ(笑)。けど、その通りですね。フロンターレさんだけではなく、ベイスターズも意識しています。ホームタウンのエリアが近いので、プロモーション内容やコンセプトが重複すると埋もれてしまうので」

――一方で共通する部分もあると感じています。両クラブともサポーターがプロモーションに協力的で「共創」の考え方が浸透しているクラブではありませんか?

田中「そういう関係性は構築できていると思います。月に1回サポーターとミーティングをしていて、スタッフの目線では気が付けないアイディアをたくさんいただいています。『そこは我われも手伝うよ』とか『こうすればパートナーの売上にも繋がるんじゃない?』とか。ありがたいです」

――F・マリノスは「沸騰プロジェクト」でサポーターと定期的にコミュニケーションを取られています。

永井「今月も開幕戦の前日(2/25)に実施予定です。私たちはこの場を使って『F・マリノスにハマった理由』を探っています。沸騰プロジェクトに来てくれるようなサポーター……私たちは“スーパーファン”と呼んでいるのですが、彼らと企画を一緒に考えたりする中でその(ハマった)理由を探りたいんです」

――何か見つかりましたか?

永井「様々なケースがあるので共通の理由を挙げるのは難しいですが、『たまたま●●だった』という偶然性の要素はけっこうあって。印象に残っているのは『スタジアムでガチャガチャをしたら金髪の選手のフィギュアが出た。気になって試合中もその選手を応援していたらハマった』という話。偶然性にフォーカスし過ぎると何もヒントを得られませんが、例えば推しの選手を見つけやすい仕掛けを用意するとか、そういうきっかけを準備することは1つあるかなと思います」

田中「試合以外のイベントがきっかけで来場して、そこからクラブにハマった方がいるのは私たちもアンケート調査で認識しているところです。今年はコロナ禍で難しい部分もありますが、きっかけとしてのプロモーションは今後も注力してやっていきたいですね」

――先ほどのオープニングマッチのプロモーションでも話題になりましたが、コロナ禍においては“オンライン”のプロモーションが重要になります。

田中「試合開催日のイベント会場を『フロンパーク』と呼んでいるのですが、昨年の途中から『オンライン・フロンパーク』と題して選手のトークショーなど、スタジアムに来場しなくても楽しんでいただける企画を実施しました。手探りな部分もあるので、昨年の経験を生かして今シーズンも(オンライン・フロンパークを)継続していく方針です」

永井「F・マリノスとしては『オフラインの代わりとしてのオンライン』という考え方が昨年途中までのフェーズでした。しかし、今年はオンライン上で我われが持つコンテンツをより魅力的に提供する必要があると考えています。昨年から『LINE LIVE』を定期的に実施していて、2020年11月には『横浜F・マリノスLIVEプレミアムチャンネル』という有料コンテンツも開始しました。今年も新しいオンラインコンテンツを立ち上げる予定です。こういう状況だからこそデジタルに投資して、質と量を上げる必要がありますし、同時にマネタイズも意識しなければと考えています」

横浜F・マリノス マーケティング本部 FRM事業部 永井紘氏

――この記事もそうですが、無料で読めるサッカーコンテンツがオンライン上にはあふれています。そんな情報過多の時代にJリーグクラブ発のコンテンツはどのように差別化を意識されていますか?

永井「クラブが出した方が温度感の伝わるコンテンツ、第三者の目線からメディアの方に書いていただいた方が面白いコンテンツ、役割分担があると思っています。例えば、チームに密着した動画はクラブしか出せない。すべてのコンテンツを有料化するのではなく、そこはバランスを考えながらですね」

田中「フロンターレも同じで、クラブ発の情報は普段サポーターの方が見ることのできないものを意識しています。例えば、キャンプ中のホテル内での選手の様子などです。マネタイズの部分も社内で検討中のステータスです。F・マリノスさん、マネタイズは順調ですか?」

永井「入場料収入に代わる収入源に育てたいと思ってスタートしましたが、そんなに甘くないというのが正直なところです。ただ、デジタルコンテンツはサポーターとのエンゲージメント向上の点で有効だと思っていて、あるオンラインイベントではアメリカやチリからサポーターに参加いただきました。これはオフラインではできないことで、コロナが落ち着いてきた際にこうした経験は強みになるのではないかと」

――サポーターとのエンゲージメントという観点で言えば、フロンターレではこのオフシーズン、中村憲剛さんが『フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー』(FRO)に就任されました。フロンターレとステークホルダーを“繋ぐ”役割としてはこれ以上頼もしい存在はいないのではないでしょうか?

田中「そうですね。『FRO』という名称も中村自身の『フロンターレっぽいもの』という考えで生まれました。クラブとしてもレジェンドを有効に使おう……と言うと語弊がありますが、パートナーさんのイベントも含め、どんどん表に出てもらいたいと思っています」

フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー(FRO)に就任した中村憲剛氏

永井「F・マリノスでは、アンバサダーの波戸康広さんとクラブシップ・キャプテンの栗原勇蔵さんですね。自クラブ制作のオンラインコンテンツでも司会などで出演してもらっています」

――開幕前のお忙しい中、お時間いただきましてありがとうございました。コロナ禍の難しい状況での開幕となりますが、両クラブのプロモーションを楽しみにしています。

田中「逆にこういう機会をいただけてありがとうございました。今年は新体制発表会見でもお伝えしたのですが、川崎生まれ川崎育ちである坂本九さん生誕80周年記念企画や、『サウナ』のイベントなど話題性を狙ってプロモーションを行う予定です。難しい1年ですが、今年の試行錯誤を2022年、2023年に繋げていきたいです」

永井「ありがとうございました。意外とフロンターレさんと合同で取材いただく機会はないので楽しかったです。先ほどの話題にも関連しますが、オウンドメディアでリーチできる層は限られているので、メディアの方々の力も借りながら、我われの情報を届けることができればうれしいですし、サッカーファン以外にも興味・関心を持っていただけるようなプロモーションを増やしていこうと思っています」

Photos:©️ KAWASAKI FRONTALE , ©️Y.F.M. , Getty Images

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Profile

玉利 剛一

1984年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリ開発等を担当。2018年より筑波大学大学院に所属し、スポーツ社会学を研究。修士号取得。サポーター目線をコンセプトとしたブログ「ロスタイムは7分です。」管理人。footballista編集部。