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初挑戦の中盤に18歳、エリオットはなぜ適応できた? 神童の育成指導者たちの証言から考える

2021.09.18

新シーズン開幕からまもないプレミアリーグ第4節リーズ戦で大ケガを負ってしまったリバプールの新星、ハーベイ・エリオット。今夏ジョルジニオ・ワイナルドゥムが空けた右インサイドMFの座を18歳にしてつかみかけていただけになおさら惜しまれる長期離脱となったが、神童はいかにして本職ウイングからのコンバートに応えてみせたのか。育成指導者の証言をもとに考えてみよう。

 2019年5月4日、史上最年少の16歳30日でプレミアリーグデビューを果たしたハーベイ・エリオット。その2カ月後にフルアムからリバプールに加わった神童は19-20シーズン、右ウイングで先発したリーグカップ3回戦のMKドンズ戦でプロとして初のフル出場を果たす。

 終了間際の90分、カウンターから左サイドでボールを受けたエリオットは、寄せてきた相手選手と入れ替わるようにドリブルの角度を変えてカットイン。ペナルティエリア内に侵入すると、素早くボールを持ち替えて逆足の右足を振り抜いた。ゴール右隅を強襲したシュートは惜しくもクロスバーに直撃したが、クラブOBのスティーブン・ウォーノックも「16歳とは思えない成熟したプレーだった」と唸らせるパフォーマンスを披露。リバプールのトップチームの一員として初出場した公式戦で、さっそく大器の片鱗をのぞかせていた。

MKドンズ戦のハイライト動画。エリオットのシュートは1:20から

 その後もトップチームでは国内カップ戦を中心に経験を積んでいたが、20-21シーズンは開幕からまもない10月1日、4回戦で早くもリバプールのリーグカップ敗退が決定。そこで指揮官ユルゲン・クロップは、エリオットをブラックバーンへ期限付き移籍させる決断を下した。

 さっそく右ウイングとして出場機会を得た17歳はチャンピオンシップで41試合に出場し、7ゴール11アシストを記録。第15節のミルウォール戦では、ペナルティエリアへ味方が落としたボールに、飛び込んだエリオットが得意の左足を一閃。GKの伸ばした手を超えて鋭く曲がり、ゴールへと突き刺さったダイレクトシュートは、クラブ年間最優秀ゴールにも選ばれるくらい鮮やかな一撃だった。

 ファイナルサードで決定的な仕事をこなすウイングとして、着実に成長を見せていたエリオット。しかしブラックバーンでの武者修行から帰還した18歳は21-22シーズン、意外な道を歩むことになる。プレミアリーグ第2節バーンリー戦で先発に抜擢されると、[4-3-3] の右インサイドMFとしてピッチに立ったのだ。

前任者が語る「ウイング」と「中盤」の違い

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ハーベイ・エリオットリバプール

Profile

田丸 由美子

ライター、フォトグラファー、大学講師、リバプール・サポーターズクラブ日本支部代表。年に2、3回のペースでヨーロッパを訪れ、リバプールの試合を中心に観戦するかたわら現地のファンを取材。イングランドのファンカルチャーやファンアクティビストたちの活動を紹介する記事を執筆中。ライフワークとして、ヨーロッパのフットボールスタジアムの写真を撮り続けている。スタジアムでウェディングフォトの撮影をしたことも。