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インテルの新ロゴ「I M」に込められたユーベとは異なる先鋭的なブランド戦略

2021.05.16

CALCIOおもてうらWEB版

ホットなニュースを題材に、複雑怪奇なカルチョの背景を読み解く本誌人気連載「CALCIOおもてうら」のWEB出張版。今回は、11年ぶりのスクデット制覇を達成したインテルが推し進める興味深いブランドプロジェクトを解説する。

 インテルは3月30日、クラブのエンブレムを刷新し、それに合わせて新たなビジュアル・アイデンティティを導入することを発表した。

 全面的な適用は来シーズン(21-22)からとされているが、スタジアムでの広告展開、先日獲得した11年ぶりのスクデットを祝うWEBページなどを皮切りに、すでに段階的な導入が始まっている。

視認性の向上と斬新なグローバルメッセージ

 クラブのシンボルマークを「エンブレム=紋章」ではなく「ブランドロゴ」として捉え、それを中核に据えてクラブの視覚的コミュニケーションのツールとなるビジュアル・アイデンティティの全面的な再構築に取り組んだクラブは、セリエAではユベントスに続いてインテルが2番目。

 この取り組みの基本的な狙いはユベントスのそれと同じ、つまりクラブのアイデンティティを1つの視覚的なイメージに落とし込んだロゴを核として、それをクラブが提供するあらゆるプロダクトに展開することを通じて、サポーターはもちろん世界中のサッカーファン全体に「インテル」というブランドを浸透させていくことにある。

 自国やヨーロッパにとどまらず世界、すなわちグローバル市場を舞台とするメガクラブの競争は、ピッチ上の戦いだけでなく、そこから派生する様々なビジネスというピッチ外の戦いにまで広がっている。世界中のサッカーファンを対象とするその「スポーツエンタテインメント市場」で戦っていくためには、視覚的なイメージも含めたブランドマーケティング戦略が非常に重要、という認識が、欧州トップクラブの間にも広まりつつある。ユベントスの取り組みはその最先端にあったわけだが、インテルもそれに追随した格好だ。

ピッチ内外で熾烈な争いを繰り広げるインテルとユベントス

 興味深いのは、そこに向けたアプローチには、ユベントスのそれと明らかな違いが見られるところ。……

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インテルエンブレム文化経営

Profile

片野 道郎

1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』『モウリーニョの流儀』。共著に『モダンサッカーの教科書』などがある。