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【開幕特集】兄、オーウェン、そして……。FC東京・森重真人にとって「ヒーロー」とは

2021.02.26

DAZNとパートナーメディアで構成する「DAZN Jリーグ推進委員会」が2021シーズンの開幕を告げる特別企画。フットボリスタではFC東京・森重真人選手に今シーズンのJリーグ開幕キャッチコピーである「#2021のヒーローになれ」をテーマに話を聞いた。

ヒーローとは理想とする姿を示す存在

――さっそくですが、子供の頃の「ヒーロー」を教えてください。

 「2歳年上の兄ですね。少年時代はとにかくいつも兄を追いかけていて、兄がやることすべてに興味を持ち、兄のやることをまねて、兄が行くところについて行く状況でした。どこかで憧れていた部分があったんだと思います。サッカーを始めたきっかけも兄ですし、自分のやることすべてに影響を受けていた記憶があります」

――サッカーを始めたのもお兄様の影響なんですね。

 「兄が小学3年生の時にサッカーを始めて、プレーしている姿を見て『すごくカッコいいな』と思っていました。一緒に練習について行って、兄のチームが練習をしている脇でボールを蹴っていた記憶がありますし、たまに人数が足りなかった時に練習に入れてもらい、一緒にサッカーをしていました。サッカーを始めた頃は、プレーしている兄が輝いて見えましたね」

――では、サッカー選手でヒーローや憧れの存在はいましたか?

 「憧れの選手はいなかったですよね。誰かのプレーを見てマネをするというより、自分でプレーをすることに興味があったので。ただ、小学5年生の時に1998年のワールドカップ・フランス大会があって、その総集編のビデオをチームで見たことがあったんですけれど、その中にマイケル・オーウェン選手のゴールシーンがありました。後方からのボールを右足アウトサイドでトラップして、そのまま抜け出してゴールというシーン(ラウンド16のアルゼンチン戦)だったと思いますけれど、そのシーンは今でも記憶に残っていますし、そのプレーでオーウェン選手のことを知りました。当時、僕はFWでプレーしていたので、自分と照らし合わせていたのかなと思います」

――プロの立場から、ヒーローとはどんな選手だと思いますか?

 「やっぱり誰もがどこかで『カッコいい存在でありたい』という気持ちがあると思うので、その理想とする姿を示す存在なのかな、と思います。自分がああなりたい、こうなりたいという憧れや自分のめざすところを示してくれる一つの目標なのかな、というイメージがあります」

――そのような存在であることを、ご自身で意識することはありますか?

 「あまり考えてはいないですけれど、どちらかと言うと責任感というか、FC東京の一員として試合に出ているからにはFC東京を、日本代表で試合に出ていた時は日本を背負って戦う、という想いがそういう振る舞いに繋がるでしょうし、プレーで示そうとしている部分はあると思います」

――Jリーグの試合で「ヒーローになれた」と感じた瞬間はありましたか?

 「DFなので、なかなか感じることはないですよね(笑)。それでも『ここで決めたらヒーローになれる』というチャンスは何度かあるので、試合中に何回か意識したことはありますし、逆にDFだからこそ目立ってやろうと、FW陣への対抗心のような気持ちを抱えながらプレーした時期もありました」

埼スタで勝ちたいという気持ちがモチベーション

――開幕戦の相手は浦和レッズです。監督交代や選手の入れ替わりもありましたが、印象はいかがですか?

 「新しい浦和レッズの姿を模索しているところなのかな、という印象です。徳島ヴォルティスからリカルドロドリゲス監督を招へいして、攻撃的なサッカーを志向し、以前の強かった時の浦和レッズのような、常に相手のゴールを脅かすチームをめざしていると思います。経験豊富な選手も多いので、ベテランと若手がうまく融合できれば隙のないチームになると感じています」

――相手として警戒すべき選手と、その理由を教えてください。

 「ケガの影響で開幕戦に出場するかどうかわかりませんが、興梠慎三選手ですね。FWとして一番リスペクトしていますし、彼の一瞬のスピードやシュート技術、駆け引き、うまさ、強さなどは、長年マッチアップしてきた中で十分にわかっています。あとは西川周作選手。大分トリニータで一緒にプレーした仲でもありますし、正確なキックという特殊な能力を持った選手ですからね。得点をアシストできるGKはJリーグの中でも彼しかいないと思いますし、攻撃サッカーをするにあたっては、彼が後ろでボールを持てるのは大きなメリットになると思います」

――会場となる埼玉スタジアムはFC東京にとってなかなか勝つことができなかった“鬼門”のスタジアムでしたが、昨シーズン、17年ぶりに勝利を収めました。悪いイメージは払拭できましたか?

 「埼スタで勝ちたいという気持ちはまだまだモチベーションになっています。1回勝ったからもういいや、ではなく、それまで17年間勝てていなかった悔しさがありますし、そこで勝つことがどれほど気持ちいいものかを昨年味わったので、もう一度感じたい気持ちはあります」

――勝敗を分けるポイントはどこにあると思いますか?

 「開幕戦なので、先制点が大事ですね。とにかく先に1点、僕らが取るのか相手が取るのかで、その後の戦い方や展開は大きく変わってくると思います。先に点を取ったほうがより勢いに乗れるんじゃないかなと思います」

――この試合におけるFC東京のキーマン、ヒーローになってほしい選手を挙げてください。

 「個人的には、ディエゴ(オリヴェイラ)ですね。昨年はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でケガをしてしまい、1月4日のJリーグYBCルヴァンカップ決勝もその影響で出場できませんでした。沖縄キャンプもケガ明けで最初からはいっしょにトレーニングできませんでしたが、彼が努力する姿は見ていますし、年末年始にプレーできなかった悔しさを開幕戦にぶつけてほしいですね。今は相手の脅威となるようなプレーも発揮できているので、開幕戦ではしっかり戦えるんじゃないかなと思います」

森重選手がヒーロー候補として名前を挙げたディエゴ・オリベイラ

――今シーズンのFC東京の新たなヒーロー候補を教えてください。

 「今年は新戦力が多くはないのですが、モンテディオ山形から加入した渡邊凌磨選手は運動量があってハードワークもできるし、攻守において戦える選手なのでフィットすれば活躍できるポテンシャルがあるというのはキャンプから見ていて感じます。彼の活躍がチームをもっと上に引き上げてくれるんじゃないかな、と期待しています。ハードワークできることと、点を取れるところが彼の魅力ですね」

――若い選手の成長に期待する部分もあると思います。

 「ユースから昇格した選手もいるし、大学を経由して東京に戻ってきてくれた選手もいて、アカデミー出身者が多いチーム、という印象があると思います。子供の頃から東京に在籍していた選手が成長してプロになり、主力として活躍するケースがもっともっと増えればチームとしてのレベルもぐっと上がると思いますし、そういった選手の活躍にも期待しています」

――森重選手自身は、昨シーズンは中盤でプレーする機会もありました。

 「アンカーをやった時もすごく楽しかったですし、DFにも楽しさがあるので、どちらもやりたい気持ちはあります。監督の意向があると思うので、それに従っていきたいなと思います」

――コロナ禍の中だからこそ、ファン・サポーターの期待やチームへの想いも例年以上のものがあると思います。今シーズン、どんなヒーロー像を見せてくれますか?

 「コロナ禍で日常の楽しみが制限されている生活が続いていると思いますが、その中で昨シーズンはルヴァンカップで優勝し、東京のファン・サポーターにはすごく喜んでもらえたと思います。僕たちが気持ちのこもったプレーをすることでそういった喜びを感じてもらえることができますし、元気や感動を与えることができることをあらためて強く感じました。常に熱い試合をして、それを勝利に繋げてみなさんと喜び合いたいですし、それに向けて全力で取り組んでいきたいと思います」

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FC東京森重真人

Profile

池田 敏明

長野県生まれ、埼玉県育ち。大学院でインカ帝国史を研究し、博士前期課程修了後に海外サッカー専門誌の編集者に。その後、独立してフリーランスのライター、エディター、スペイン語の翻訳家等として活動し、現在に至る。