「アジア戦略」を掲げタイを筆頭にアジア人選手獲得の例が増えてきたJリーグだが、ここ数年でオーストラリア人監督が増えてきているのは興味深い傾向だ。もちろん、その最大の理由は18年に横浜F・マリノスの監督に就任したアンジェ・ポステコグルーの成功だろう。そこで現地在住ライターの植松久隆氏に、Jリーグのオーストラリア人監督ブームの背景にある同国の監督事情を解説してもらおう。
19年のJリーグを超攻撃的スタイルで制覇した横浜F・マリノス監督のアンジェ・ポステコグルー。昨季、志半ばで解任された前清水エスパルスのピーター・クラモフスキー、さらに、今年からJ3鹿児島ユナイテッドの指揮を執るアーサー・パパスと、ここ数年うちにJリーグでオージー(オーストラリア人)監督がちょっとした“トレンド”になっている。選手の契約とは異なり、「アジア枠」が適用されるわけではないのに、なぜ、オージー監督なのか――そう問われるならば、もう、その答えは1つしかないだろう。
“ポステコグルー革命”の衝撃
それは、何といっても19年に花開いた“ポステコグルー革命”の衝撃に尽きる。1年の試行錯誤を経て、2年目で横浜F・マリノスを頂点へと導いた元オーストラリア代表監督の超攻撃的スタイルは、日本サッカー界に衝撃を与え一世を風靡した。……
Profile
タカ植松
福岡県生まれ。豪州ブリスベン在住。成蹊大卒業後、一所に落ち着けない20代を駆け抜けてから、アラサーでの国外逃亡でたどり着いたのがダウンアンダーの地。豪州最大の邦字紙・日豪プレスでスポーツ関連記事を担当後、フリーランスとして活動を開始。豪州フットボール事情というニッチをかれこれ15年以上守り続けて、気が付けばアラフィフ。オージー妻に二児の父。