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国立で会えるトッテナム次代のスター候補!ポステコグルーの重要任務、若手抜擢が東京で始まる

2024.06.10

この記事は『株式会社NTTドコモ 』の提供でお届けします。

あの大物のワールドクラスなプレーはもちろん、気になる新戦力やヤングスターのフレッシュな躍動をいち早くチェックできるのも、プレシーズンマッチの楽しみの一つだ。プレミアリーグ開幕を3週間後に控えた7月下旬、日本にやってくるトッテナム。トップチーム生き残りを懸け、猛アピールが期待される注目の若手プレーヤーをスパーズ・ジャパンが紹介する。

ケインの穴と「クラブ育成枠」の存在

 2023-24シーズンのアンジェ・ポステコグルー体制の船出は、絶対的エースストライカーであるハリー・ケインのバイエルン・ミュンヘン移籍とともに始まった。

 9シーズンという長期にわたってプレミアリーグで平均25ゴールを叩き出し続け、アシストでも貢献していたまさに得点源のケインが抜けたことで、超攻撃的なプレースタイルを標榜する新監督の手腕が大いに試されることとなった。結果的にトッテナムはリーグ戦で74得点を記録。マウリシオ・ポチェッティーノ時代の2017-18シーズンと並び、その前シーズンの86得点に次ぐ、プレミアリーグ創設後では2番目に多いゴールを生み出した。

 5位でフィニッシュしたチームに課題はまだ多く残されているものの、この得点数によってケインを失った穴はそれほど目立っていない。ただし、新シーズンにヨーロッパリーグに挑むスパーズにとって、あらためてケインの穴を感じさせるものがある。UEFA主催大会で適用される「クラブ育成枠」の存在だ。

 プレミアリーグにも「ホームグロウン枠」があり、25人のシニア(22歳以上)登録メンバーのうち8人はイングランドサッカー協会、またはウェールズサッカー協会の管轄にあるクラブでユース時代に一定期間を過ごした選手でなければならない。それがUEFA主催大会のAリスト登録メンバーでは、ほぼ同様の協会育成選手8人に加え、うち4人はクラブ育成選手(15歳から21歳までの間に3年以上在籍)であることが必要となる。4人に満たなければその分、登録できる選手が減るわけだ。

 長らく欧州カップ戦の常連としての地位を築いてきたスパーズの、このクラブ育成枠で最も目立った存在がケインだった。しかし同時に、長らくケインに次ぐ生え抜きの育成がうまくいっていなかった。

 近年、プレミアリーグのクラブで活躍したスパーズアカデミー出身選手といえば、カイル・ウォーカー・ピータース(27歳、サウサンプトン)、ハリー・ウィンクス(28歳、レスター)、ライアン・フレデリクス(31歳、無所属)、アンドロス・タウンゼント(32歳、ルートン)、アダム・スミス(33歳、ボーンマス)といった面々だが、いずれもポチェッティーノ時代に頭角を現したかつての若手たちだ。また数年前には、10代半ばまで所属していたノニ・マドゥエケ(22歳、チェルシー)という逸材を育て上げることができず、トップチーム昇格前に手放している。

 現在のスパーズにおいて、このクラブ育成枠に該当するトップチームの選手はMFオリバー・スキップ(23歳)、GKブランドン・オースティン、GKアルフィ・ホワイトマン(ともに25歳)。かつては「将来のキャプテン候補」と期待されたスキップだが、ポステコグルーの下でリーグ戦の先発は5試合にとどまり、この夏の退団が噂されている。第3GKのオースティンは5月末に契約を延長したものの、ホワイトマンは放出されるだろう。

4番が12歳からトッテナムに所属するMFスキップ。写真は今年1月のリーグ戦で、左からベンタンクール、ベルナー、リシャーリソン、ウドギ

 2023-24シーズンはローン移籍でチームを離れていたFWトロイ・パロット(22歳)は、貴重なクラブ育成枠として戦力に加わる可能性もあるが、エクセルシオール(オランダ)での活躍によって評価を高めており、売却先が見つかりそうだ。

 チーム再建の請負人としてスパーズにやってきたポステコグルーだが、2年目のシーズンは将来このクラブ育成枠を担うべき若手の抜擢と育成が期待される。7月27日に国立競技場で行われるヴィッセル神戸戦で、新シーズンのトップチーム定着を懸けて奮闘するだろう注目のヤングスターを紹介したい。

今見ておくべき8人の逸材

Lucas BERGVALL
ルーカス・ベリバル
(18歳/スウェーデン代表/セントラルMF)

 スウェーデンの首都ストックホルムで生まれ育った187cmの長身MF。スパーズの先輩デヤン・クルゼフスキやトッテナム・ウィメンのアマンダ・デルニンと同じブロマポイカルナのアカデミーに6歳で入団し、キャリアをスタートさせた。パスセンスや視野、クリエイティビティを高く評価され。バルセロナとの争奪戦の末に今年2月、移籍金850万ポンドでスパーズ入りが決定。ロンドンで行われた契約イベントにはテクニカルディレクターのヨハン・ランゲも祝福に訪れたほどで、一説には新シーズンのトップチーム帯同が確約済みとも言われている。

Alejo VÉLIZ
アレホ・ベリス
(20歳/U-20アルゼンチン代表/CF)

 リオネル・メッシをして「若き日のルイス・スアレスを思わせる」と言わしめたアルゼンチンの若き至宝。2023-24シーズンは12月の第19節ブライトン戦でプレミア初ゴールをマークした(写真)。さらなるプレー機会を求めて2月からセビージャにローン移籍したが、大晦日のボーンマス戦で負った膝の故障も影響し、スペイン修行は途中出場6試合で終了。恵まれた体躯を活かした空中戦の強さ、華麗なボールタッチとシュートテクニックを武器に、プレシーズンで完全復活をアピールできるか(※ベリスは19歳で加入したためクラブ育成枠の対象外)

Dane SCARLETT
デイン・スカーレット
(20歳/U-21イングランド代表/CF)

 ジョゼ・モウリーニョ(現フェネルバフチェ監督)とアントニオ・コンテ(現ナポリ監督)がそのポテンシャルを絶賛し、ポステコグルーも1年前のプレシーズンで高く評価したU-21イングランド代表ストライカー。2023-24シーズンはローン先のイプスウィッチ(2部)でレギュラーを獲得できず、スパーズ復帰後も終盤にハムストリングを痛めて離脱する不運に見舞われ、1年を通じて期待されたほどの成長を見せられなかった。新シーズンはローン先でしっかり結果を残し、偉大なる先輩ケインと同じ「21歳でのトップチーム定着」を狙いたい。

Jamie DONLEY
ジェイミー・ドンリー
(19歳/U-19イングランド代表/FW)

 ストライカーとしても攻撃的MFとしてもプレーできる万能型アタッカーで、2023-24シーズンはプレミアリーグ2とEFLトロフィーで計8ゴール17アシストを記録。その成長ぶりをポステコグルーにも認められ、リーグ戦3試合とFAカップ3回戦で試合終盤にプレー時間が与えられた。ELに参戦する新シーズンはトップチームに加わってもおかしくないが、ベリバルの合流や後述するデバイン、ムーアらの台頭で同世代の同ポジションは大渋滞を起こしており、育成のためにローン移籍させるべきか、指揮官は選択を迫られる。

Alfie DEVINE
アルフィ・デバイン
(19歳/U-20イングランド代表/攻撃的MF)

 2023-24シーズンはローン先で充実の1年を送った。ポステコグルーも2部のプリマスでレギュラーを張った多才な攻撃的MFを称賛し、このままいけばスパーズでスターになる可能性も十分だ。次のステップとしてプレシーズンに指揮官を驚かせるようなアピールができれば、トップチームで多くの出番を得られるだろう。

Ashley PHILLIPS
アシュリー・フィリップス
(18歳/U-20イングランド代表/CB)

 1年前にブラックバーン(2部)から加入後、CBに離脱者が相次いだ中でもトップチームデビューが叶わず我慢を強いられたが、シーズン後半にローン移籍したプリマス(2部)で実力を証明。レギュラー座を保持し続けた。スパーズが夏にCBをもう1人獲得するかどうかにかかわらず、チーム戦力に加わる可能性は高くプレミアデビューも時間の問題だろう。

Tyrese HALL
タイリース・ホール
(18歳/U-19イングランド代表/セントラルMF)

 5月にはマンチェスター・シティ戦でベンチ入りを果たし、新たに5年契約を結んだセントラルMF。メルボルンで行われたポストシーズンマッチ、ニューカッスル戦でもセンスあふれるプレーで天性の才能を見せつけた。2023-24シーズン中にU-18からU-21にステップアップし、最後にはプレミア王者とのホームゲームに呼ばれたことからも、その成長の著しさがわかるだろう。間違いなくプレシーズンマッチで注目すべき存在だ。

Mikey MOORE
マイキー・ムーア
(16歳/U-17イングランド代表/ウインガー)

 今スパーズファンの間で最も話題となっている超新星であり、他の誰よりもポステコグルーがこの16歳を評価している。2023-24シーズンはU-18を主戦場としていたが、最終的にはU-21でプレーすることなくトップチームに招集され、5月のマンチェスター・シティ戦でプレミアデビュー。スカーレットが保持するクラブ最年少出場記録を「16歳277日」に塗り替えた。

 シーズン終了後もU-17イングランド代表として欧州選手権に出場。左ウイングでプレーし、フランス、ポルトガル、スペイン、イタリアを相手に計4ゴール1アシストの大活躍を披露した。新シーズンはキャプテンのソン・フンミン、ローン延長が決まったティモ・ベルナーらがプレーするポジションに加わり、多くの経験を積んで飛躍してほしい。

終わりに

 今から14年前、2010-11シーズンのアメリカツアーでニューヨーク・レッドブルズと対戦したトッテナムは、ルカ・モドリッチら当時の主力がスタメンに名を連ね、ロビー・キーンとギャレス・ベイルのゴールで2-1の逆転勝利を飾った。この試合ではタウンゼント、ライアン・メイソン(ともに当時19歳)、ダニー・ローズ(同20歳)が途中出場し、カイル・ウォーカー(同20歳)は先発フル出場を果たしている。その後、彼らがスパーズ、ひいてはプレミアリーグやイングランド代表のスター選手への階段を駆け上っていったのはご存知の通りだ。

 今回の日本ツアーでも、ソン・フンミンのようなワールドクラスのプレーを堪能するだけではなく、今後のスパーズを支え、さらに世界へと羽ばたくポテンシャルを秘めたスター候補生たちに会いに行き、声援を送りたいと思う。

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Photos: Getty Images

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