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青森山田が巻き起こした「ロングスロー論争」。選手権の“風物詩議論”について考える

2021.01.08

高校サッカー選手権でここ数年、毎回起きている議論がある。「ロングスロー問題」だ。一発勝負のトーナメント戦という独特の環境への是非、海外サッカーではロングスローは使われていないなどのサッカースタイル論、選手の成長に寄与しないという育成論まで、幅広い領域で答えのない議論が続いている。この問題について、育成年代を追い続けるジャーナリストの川端暁彦氏に見解を聞いてみた。

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 人はなぜボールを遠くに投げようとするのか——。

 いや、ルールブックに「タッチラインの外に出たボールは投げろ」と書いてあるからだろう。

 第99回全国高校サッカー選手権は、こんなルールを活用したロングスローを使うチームが勝ち残った。近年の大会でコンスタントに結果を残している青森山田高校はその典型例として挙がる。それに対し、ネガティブな反応が出てくるのは今年に限った話ではない。

 「あれはサッカーではない」

 ボールを蹴ってこそナンボというサッカーに対する思想的なスタンスからの批判もあるだろうし、単純に「面白くない」と感じた選手権にエンタメ性を求める層からの不満もあるように感じる。個人的にはサッカーのスタイルや戦術についての「好き・嫌い」は完全に自由だと思っているので、どうとも言う気はない。ただ、この問題については、そもそも何で「高校サッカー選手権でロングスローが有効なのか」についてもう少し考える必要があるのではないかと思う。

 つまり、順番が逆なのだ。

 「ロングスローを鍛えたチームが勝ち上がっている!」のではなく、「どうしてロングスローを鍛えることが高校サッカー選手権での勝率アップに繋がるのか」ということを考えておく必要がある。2020シーズンは明治安田生命J3リーグでもロングスローが猛威を振るっていたが、ここにも相通ずる問題が浮かび上がっていたと思う。

J2昇格を勝ち取った2チーム、ブラウブリッツ秋田とSC相模原もロングスローを駆使していた

「勝利」から逆算された有効な手段

 ロングスローを多用するチームは、「“ロングスロー道”を修めたい」と思って、その習熟を図っているわけではないだろう(当たり前だが)。勝つために有効な手段を探る中で浮かび上がってきたのがロングスローであり、それが有効になるのは理由がある。……

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ロングスロー戦術青森山田高校

Profile

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣『エル・ゴラッソ』を始め各種媒体にライターとして寄稿する他、フリーの編集者としての活動も行っている。著書に『Jの新人』(東邦出版)。