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キャリアで「一番エグいゴラッソ」の中村敬斗、左SBで「純也くんを思い出した」関根大輝。ランス兄弟の前半戦総括【前編】

2025.12.18

Allez!ランスのライオン軍団 #21

2025-26シーズンは中村敬斗、関根大輝が牽引する若き獅子たちの最新動向を、現地フランスから小川由紀子が裏話も満載でお届けする、大好評のスタッド・ランス取材レポート。

21回は、ランス兄弟の前半戦総括【前編】として、中村は2戦連続ゴール、関根はプロ初ゴールや左SB起用で無敗継続に貢献した、2025年ラスト1カ月を振り返ろう。

左サイドでぶっつけ本番の日本人ホットライン結成!

 11月の代表ウィーク後のスタッド・ランスは、上昇気流に乗っている。

 リーグ2第15節モンペリエ戦(○2-0)、第16節ラバル戦(○4-0)のホーム2連戦にクリーンシートでの勝利。その間に行われたフランスカップ4回戦のUSトルシー(5部)戦にも1-5で快勝。3位に浮上して迎えた12月13日のリーグ年内最終戦では、勝ち点28で並ぶレッドスターとの直接対決をゴールレスドローでしのぎ、代表ウィーク前最後の第14節バスティア戦(○1-3)、最中に開催されたフランスカップ3回戦のOCPAM戦(○0-1)も合わせると、公式戦ここ6試合で5勝1分と無敗をキープしている。

 中村敬斗と関根大輝のランス兄弟もそんなチームの躍進に貢献。

 中村は、モンペリエ戦、ラバル戦と2試合続けてゴールをマーク。そして関根は、トルシー戦でプロ初ゴールに加えて1アシストの活躍だった。

モンペリエ戦の後半アディショナルタイムに中村が挙げたチーム2点目

トルシー戦のゴール集。関根は16分の1点目をアシストし、79分の5点目を決めた

 「うれしかったです。プロ初ゴールだったんで! 相手は5部でしたが、(柏レイソル時代も)決めたことがなかったんで。相手が相手だったのであれですけど、アシストもできて、そっちの方がうれしかった。今、体の状態は、練習も含めて自分の中ではけっこういい感じです!」

 初ゴールの喜びは?との問いに、関根は声を弾ませた。

 このカップ戦は先発フル出場だったが、リーグ戦の方では、モンペリエ戦とレッドスター戦はベンチ入りするも出場機会がなく、ラバル戦でも66分からの出場と、スタメン確保は難しい状況にある。

 右SBを務めているのは、26歳のベルギー人DFマキシム・ビュシ。昨シーズン、関根の加入と入れ替わりでオランダのNACブレダに期限付き移籍していて、夏にランスに戻ってきた。

 カレル・ゲラーツ監督は「2人ともが先発要員だと捉えている」と会見の席で明言。地元記者たちも「ビュシがセキネより優っているとは思わない」という評価で、どちらがどうというよりは、勝ち試合、しかもクリーンシートが続いている状況につき、ディフェンスラインをキープする流れになっている。

第17節レッドスター戦後、前半戦の手ごたえを語るゲラーツ監督(Photo: Yukiko Ogawa)

 そんな中、後半になって出番が回ってきたラバル戦では、関根はなんと左SBでプレーした。

 このポジションを定位置とするのは、数少ない昨シーズンのレギュラー組であるセルヒオ・アキエメだが、内転筋を痛めていてラバル戦では出場自体が怪しい状態だった。よってゲラーツ監督は早めに交代カードを切ったのだが、そのまま関根を左サイドに送り込んだ。

 試合後に聞いたところでは、関根は学生時代にも左SBはやったことがなかったそうで、アキエメが参加できなかった練習日に「ちょこっとだけ」やった程度。そんなほぼぶっつけ本番だったが、思いがけず中村とのコンビネーションが実現した。

……

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Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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