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ブライトンでプレーする“サラブレッド”。マック・アリスターがたどった道

2020.08.04

 ブライトンの「背番号10」は実に興味深いルートをたどってプレミアリーグの舞台まで上り詰めた。スポーツ情報サイト『The Athletic』が、ブライトンに所属するアルゼンチン代表MFアレクシス・マック・アリスター(21歳)の父親のインタビューを掲載している。

“サッカー漬け”の日々を過ごす

 2019年1月、ブライトンがボカ・ジュニオールとの争奪戦を制し、アルヘンティノスから獲得したのがマック・アリスターだ。しかし当時は英国の労働ビザが下りず、アルゼンチンに戻ってプレーすることに。そして今年1月、ようやく許可が下りてブライトンに再合流すると、3月にプレミアリーグデビューを果たした。

 まず気になるのは「マック・アリスター」という名前だ。「スコットランド系か?」と聞かれることが多いそうだが、父カルロスいわく「3、4世代前に」アイルランドからアルゼンチンに移民した家系だという。

 そんなマック・アリスターは“サラブレッド”と呼ぶにふさわしい選手である。父カルロスは元アルゼンチン代表選手。叔父パトリシオは日本(三菱重工)でもプレーしたことのあるストライカー。2人の兄も国内で活躍するプロ選手だ。兄弟3名ともアルヘンティノスでプロキャリアをスタートさせ、2017年11月には3名同時にピッチに立っている。

 それだけではない。マック・アリスターは若い頃から分析の英才教育も受けてきたという。「私はスペインのオサスナの依頼でスカウトを行っていたんだ」と父カルロス。「アルゼンチンのクラブに所属する選手をスカウトしてレポートを送るのさ。息子たちはそのレポート作成を手伝ってくれたんだ。息子たちはまさに“サッカー漬け”で育ったわけだ」

活躍が認められ1月に渡英

 昨年、マック・アリスターは大きな決断を下した。ブライトン加入後、英国では労働許可が下りなかったため、昨年6月に憧れのボカ・ジュニオールにローン移籍したのだ。そしてすぐに活躍すると、9月には20歳にしてA代表デビューまで果たした。

 「代表戦や国際カップ戦に出場したことで、ブライトンでプレーする特別許可を申請できることになった」と父カルロスは振り返る。

 「ボカを離れるのは大きな決断だった。だが、あの時点で決断しなければ、後に再び許可が下りるかどうか分からなかったんだ」

 ブライトンはローン移籍から呼び戻すために、ボカに対して保証金も支払ったという。「100万ドルだ」と父カルロス。「呼び戻すためにブライトンが必死だったので、アレクシスもブライトン復帰に熱意を抱いたのさ」

今季はあくまで準備期間

 だが、1月にブライトンに戻ってきたはいいが、コロナ禍の影響でリーグ戦が中断し、ロックダウン生活を強いられることに。

 グレアム・ポッター監督も「彼はずっと自宅で過ごしていたので、チームや英国文化に触れる機会がほとんどなかった」と、今年1月に加入した選手の難しさを説明した。

 それでも出場機会を得ると、今季は先発4試合を含めてプレミアで9試合に出場し、間違いなく才能の片鱗を見せつけた。

 そのプレースタイルから、トッテナムのエリック・ラメラと比較するアルゼンチンの記者もいるそうだ。いずれにせよ、タフなDFとして活躍した父カルロスとはまったく違うということだ。

 「DNAテストが必要だろうね!」と父カルロスは冗談を言いつつも「アレクシスは周りが見えているので絶妙なパスを送れる。チームを最優先してプレーするんだ。FKも得意だ。私とは比較にならないほど素晴らしい選手さ」と絶賛する。

 今季はあくまで準備期間に過ぎない。万全の準備をして迎える来季には、大ブレークが期待できるかもしれない。


Photo: Getty Images

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アルヘンティノスエリック・ラメラブライトンボカ・ジュニオール

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。