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リーベルプレートが試合放棄。アルゼンチンも深刻な状況に

2020.03.15

 新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るう今、3月に入ってから南米諸国でも感染例が次々に確認され始めた。アルゼンチンでは3月12日に政府が1年間の医療衛生緊急事態宣言を発令し、日本を含む感染危険国からのフライトを30日間停止。大人数が集まるイベントが禁じられた他、サッカーの試合は無観客で行うことが定められた。

会場閉鎖で試合が行われず

 そんな中、3月13日にリーベルプレートが感染予防策としてクラブを閉鎖し、あらゆる活動の休止を発表。14日に予定されていたカップ戦「コパ・デ・ラ・スーペルリーガ」の対アトレティコ・トゥクマン戦にも出場しなかったことから、大きな波紋を呼んでいる。

 リーベルが出した声明には「ソシオと職員、その他日々クラブを訪問する大勢の人々の健康を守るため」に、14日からクラブを完全に閉鎖することが記されていた他、3軍の選手にウイルス感染症の疑いが確認されたことを受け「プロサッカー部門についても、大会(に出場すること)はチームのメンバーとそれに関わるすべての人たちの健康にとって深刻なリスクを伴う」とし、アトレティコ・トゥクマンとの試合には出向かない意思が表明されていた。

 事実上の試合放棄となる決断を受け、主催者であるスーペルリーガも声明文を発表し、無観客で試合を行うことは当局の指示に従った安全な判断であると主張した上で、出場しなければ処分を科すと警告。アルゼンチンサッカー協会の規約によると、試合に出場しない場合は勝ち点3の減点と入場券2250枚に相当する罰金が科されることとなっている。

 試合のためにすでにブエノスアイレス入りしていたアトレティコ・トゥクマンの一行は、当初一部の選手たちが「リーベルの決断に同意する」とコメントしたものの、その後クラブから試合に出場する意志を表示。

 当日は会長とトレーナー陣が試合会場となっていたリーベルの本拠地「モヌメンタル」に出向いたが、クラブの閉鎖に伴い扉が閉ざされたままのスタジアムには当然入ることができず、公証人を従えた主審が事実を確認、その時点で試合が開催されないことが正式に決まった。

マラドーナもリーベルを支持

 コパ・デ・ラ・スーペルリーガは、約7カ月半で終わってしまう1部リーグの後の空白期間を埋める企画として昨シーズンから始まったトーナメントで、優勝チームには翌年のコパ・リベルタドーレス出場権が与えられることになっている。

 だが、国内のメディア関係者やファンの中には、1部リーグ終了とほぼ同時にアルゼンチンでも新型コロナウイルス感染が広がり始めたことから、公衆衛生を最優先してカップ戦を中止にしても良かったのではないか、と考える人が少なくない。

 また、予定通りカップ戦に出場した他のチームの監督や選手の中からも「今のような状況下で試合を開催するべきではない」という意見が出ており、ヒムナシアのディエゴ・マラドーナ監督も初戦を終えた後「リーベルの選手たちの判断を全面的に支持する」と語った。

 南米では3月26日から始まる予定だったW杯予選が延期となり、コパ・リベルタドーレスとコパ・スダメリカーナも一時的に中断。ウルグアイ、コロンビア、パラグアイでも1部リーグの全試合が中止となっている。


Photo: Getty Images

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Profile

Chizuru de Garcia

89年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。