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リケルメ、ボカの副会長に就任。会長選を動かした「神」の降臨

2019.12.12

 去る12月8日にボカ・ジュニオールで会長選挙が行なわれ、立候補した3名のうちダニエル・アンジェリッシ現会長の一派に真っ向から対立していたホルへ・アモール・アメアルが総投票数3万8363票のうち52.8%にあたる2万45票を獲得して当選した。サッカークラブの会長選において投票数が3万8000を超えたのは、アルゼンチンでは過去最高の数字だ。

「神」の登場で状況が一変

 アメアルは2008年にもボカの会長に選ばれていたが、2011年の選挙でアンジェリッシに敗れて任務を一期で終えた後、2015年の前回選挙でも再び敗北。政治的な壁を乗り越えてクラブ内の団結を求めたアンジェリッシ派に対抗し、「3度目の正直」でついに屈辱を晴らした今回、アメアルが圧倒的な勝利を収めた裏には2つの大きな要因がある。最も決定的となったのは、ボカのアイドルであるフアン・ロマン・リケルメを第2副会長候補に従えていたことだ。

 当初、アメアルには著名ジャーナリスト兼プロデューサーのマリオ・ペルゴリーニだけが副会長として同伴することになっており、アンジェリッシ派の候補者クリスティアン・グリバウドの影響力には及ばないと見られていたが、11月20日に第2副会長としてリケルメが出馬することが明らかになった途端に状況が一変。ボケンセ(ボカファン)にとって「スター」を越えて「神」に等しい存在であるリケルメが連日各メディアに顔を出し、選挙権を持つソシオたちに熱心に投票を促したことから、多くのリケルミスタ(リケルメ派)たちの心を動かすことに成功。アメアル派の勝利を願うソシオたちがSNS上で投票を呼びかける運動が始まり、これに焦ったアンジェリッシ現会長がもう1人の候補者であるホセ・ベラルディに団結を求めたが、時すでに遅し。ベラルディからあっさり拒否されただけでなく、最終的にはグリバウドの票数も獲得確実と見られていた1万3000票に至らない1万1607票にとどまり、大差をつけられての敗北となった。

「勝利への欲」も後押し

 打倒アンジェリッシを果たしたアメアル同様、現役時代にアンジェリッシによってボカとの契約を更新できなかったリケルメにとっても「復讐」となった今回の選挙だが、この結果を招いたもうひとつの要因はライバルのリーベルプレートにある。アンジェリッシが会長を務めた8年間、ボカはコパ・リベルタドーレス優勝を一度も実現できず、その一方でリーベルは2度の優勝を成し遂げたばかりか、同大会で3度対決して全て敗退させられるという屈辱を味わっていたからだ。

 他のクラブが羨むほどの黒字を生み出し、新しいトレーニング施設をオープンさせ、大がかりなスタジアム改修工事も行なったアンジェリッシだったが、「勝利への欲」を満たすことができなかった代償は大きかった。

 なお、リケルメはアメアル新会長のもと、サッカー部門におけるマネジメントを任されることになっており、早速、新監督選びと選手の補強に向けて動いている。


Photo: Getty Images

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Profile

Chizuru de Garcia

89年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。