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「日本人ブームの火付け役」完全復活。森岡亮太とシャルルロワの現在地

2019.11.27

 2017年にワースラント・ベフェレンに移籍し、センセーショナルな活躍で現在のベルギーリーグにおける「日本人ブームの火付け役」になった森岡亮太が、今シーズンからシャルルロワで復活のシーズンを送っている。

主力としてチームを牽引する森岡

 森岡は今年1月、アンデルレヒトからシャルルロワへ期限付き移籍。アンデルレヒトでは6試合出場に留まったが、シャルルロワでは不動のトップ下に定着し、13試合4得点の活躍を見せた。シーズン終了後には買い取りオプションが行使され、シャルルロワに完全移籍した。

 今シーズンのシャルルロワは、2013年から6シーズン率いた地元出身のフェリチェ・マッズがヘンクの新監督として引き抜かれ、長期政権が終了。新監督の選定は難航したが、開幕1カ月前にアンデルレヒトでアシスタントコーチや監督代行を務めたアルジェリア系フランス人のカリム・ベルホシンが就任した。

 アンデルレヒトで1年をともにしたベルホシンの下、森岡は開幕からレギュラーに定着した。しかし、昨シーズン20得点を挙げたナイジェリア代表FWビクター・オシメンがリールに移籍し、ストライカー獲得が進まなかった影響により、チームはシーズン序盤、得点力不足に悩まされた。移籍マーケット終了間際にジャマイカ代表FWシャマー・ニコルソン、イラン代表FWカーベ・レザエイを獲得したことにより得点力は改善。第11節からは5勝1分と復調し、ヘンク、アンデルレヒトを抑えてプレーオフ1圏内の5位と健闘している。

セカンドトップやセントラルMFをこなす

 シャルルロワでの2年目を迎えた森岡は、ここまで15試合6得点2アシストと、ベルギーリーグ初年度のワースラント・ベフェレンでの半年間に匹敵する目覚ましい活躍を見せている。

 監督業を本格的に始めるのは今シーズンが初めてのベルホシン監督だが、シャルルロワでは複数の戦術とフォーメーションを駆使して戦っている。ベルギーでの2年半、移籍や解任などで5人以上の指揮官の下でプレーした森岡も、各監督の要求に合わせて自らのプレーを変化させている。

 一般的には「古典的トップ下」という評価をされがちの森岡だが、ベルギーでは長身CFの周囲を衛星的に動きながら、得意のラストパスだけでなく、自らもゴール前に飛び込むプレーで得点数も伸ばしている。第9節でのスタンダール・リエージュ戦では、MFクリストフ・ディアンディのクロスから、相手のマークを振り切ってのヘディングシュートでワロン地方最大のライバルからゴールを奪った。

 しかし、第15節のオイペン戦以降はポジションを下げてセントラルMFで起用され、後方から放つ長短のパスとミドルシュートで攻撃陣を牽引した。続くシントトロイデン戦では、ピンポイントのロビングパスでレザエイのゴールをアシストしている。今シーズンはレザエイやニコルソンの他、2列目はイラン代表MFアリ・ゴリザデ、アンデルレヒトやザルツブルクなどでプレーしたMFマッシモ・ブルーノなど個性的な面々がそろうため、後方からの組み立てを重視しているようだ。

 「ボールに触れる機会は限られるが、ゴールに近い位置でプレーできる」トップ下と、「守備面での負担は大きいが、ボールに触れる機会が多い」セントラルMFという、異なる特徴を持つそれぞれのポジションで自在に力を発揮する森岡。チームが目標とするヨーロッパリーグ出場に向け、大きな鍵を握っている。

スタジアム新設を機にトップグループへの野心を燃やす

 年間予算が1800万ユーロとベルギーでは中位クラスの予算ながら、倍以上の予算を組むアンデルレヒトやヘンクよりも上位に位置しているシャルルロワ。9月下旬には「ホライズン2024」という計画を発表した。

 シャルルロワは創設100年以上の古豪クラブながら、いまだにトップカテゴリーでのタイトルを獲得していない。リーグ戦では下位を定位置としており、2012年には財政破綻をきっかけにオーナーがアスリート向け健康食品メーカー『QNT』を経営するファビアン・ドゥベクに引き継がれた。経営最高責任者にはイラン人のメフディ・バヤトが就任。以後、プレーオフ1に3度進出するなど、急速に力を付けている。

 財政改善、地域密着、集客、インフラ整備、若手育成などを盛り込んだ9カ年計画「3-6-9」プロジェクトを開始し、2012年は年間予算600万ユーロだったが、現在ではその3倍の1800万ユーロを組んでいる。破産消滅寸前に陥ったクラブは現在、毎年300万ユーロの黒字を計上し、国内屈指の健全経営に努めている。メフディ・バヤトはベルギーサッカー協会でも存在感を示し、技術委員を経て今年7月には会長に就任している。

 シャルルロワをトップクラスと肩を並べるクラブにするプロジェクト「ホライズン2024」では、EURO2000の会場になった15,000人収容の「スタッド・デュ・ペイ・ドゥ・シャルルロワ」から、2024年までに新スタジアムに移転することを目標としている。メフディ・バヤトは「現在のスタジアムは老朽化が激しく、快適さや他のイベント開催の基準を満たしていない。新しいスタジアムにすれば多額な収益を得られるだけでなく、新規ファンの獲得も見込める。2013年にスタジアムを移転してわずか1年で初優勝を果たし、現在では予算が4500万ユーロに増加したヘントが良い例だ」と記者会見でコメントしている。

 野心に燃えるシャルルロワ。壮大なプロジェクトを前に、今シーズンは欧州カップ戦への切符を獲得したいところだ。


Photo: Getty Images

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Profile

シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。