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アヤックスのBチームに逸材が。それはまるで「オランダのポグバ」

2019.09.18

オランダ2強、20歳以下の逸材たちが対戦

 9月16日、アヤックス・リザーブチームとPSVリザーブチームがオランダ2部リーグで対戦した。多くのタレントをトップチームに送り出している両チームだけに、見ごたえ十分。PSVのGKロビン・ラウター(32)を除き、全員20歳以下の選手たちがはつらつとプレーした。

 中でも目を惹いたのはアヤックスの左インサイドハーフ、ライアン・フラーフベルフ(17)だった。オランダでも「ビッグタレントの1人」として名を轟かせている彼は、昨季、対PSV戦でトップデビューもしている選手。このとき、フラーフベルフは16歳130日で、クラレンス・セードルフが持つ16歳241日のクラブ記録を更新した。

 そのフラーフベルフは5分、ペナルティーアークの手前でパスを受けると、時計回りにターンして前を向いてから、ペナルティーエリア左側にドリブルで侵入し、左足で冷静にGKラウターの股間を抜くシュートを決めた。

 アヤックスが1-0とリードして試合が落ち着くと、彼らの中盤がフラーフベルフを中心に回っているのがよく観察できた。フラーフベルフが下がってくると、アンカーのジェスパー・テル・ハイデ(20)が右インサイドハーフに押し出され、アレックス・メンデスが右から左へと流れ、中盤の3人が円を描くのである。

 フラーフベルフは190cmという巨漢に似合わぬ、細かなボールタッチを左右両足でこなし(ちなみに右利き)、鋼のようなボディを使って相手を止めたかと思うと、しなやかな動きで軽々と相手を剥がしてスペースへボールを運んでいく。パス&ゴーの意識が高く、味方への縦パスが相手に渡ってしまっても、まるで意図した壁パスのようにセカンドボールを拾って次の攻撃につなげていく。

 フラーフベルフはパス&カバーの意識も高い。スペースにパスを出して、味方を前進させると、自然にフラーフベルフは空いたポジションをカバーし、チームの組織を整えた。

フラーフベルフは生まれたのか、作られたのか

 PSVリザーブチーム戦で、いったい彼はいくつのポジションに動いたのだろうか。おそらくセンターバックとセンターフォワード以外の全てに顔を出し、攻守にそつなく、かつダイナミックにプレーした。ただし、後半は右には流れず、中央から左にポジションを取り続けていた。だからこそ、後半のメインスタンドはフラーフベルフが目の前で魅せる妙技に沸きに沸いた。サイドライン際で相手に囲まれても、フラーフベルフは足裏を使ったりして局面を打開し、右に正確なサイドチェンジを送ったり、50mの長駆ドリブルで相手ゴール前まで迫り、ラストパスを供給したりしたのだ。

 フラーフベルフの規格外(剛柔合わせたボディ、アスリート能力、テクニック、プレー選択の意外性)、そしてオーソドックスさ(基本テクニック、戦術眼、献身性、左右両足で正確に扱える技術、常識的なプレーの選択)を見ていると、まるでポール・ポグバがオランダにも現れたかのように感じた。そして、2014年3月、パリで行われたフランスとの親善試合でオランダが0-2と惨敗したとき、当時のルイ・ファン・ハール監督が「オランダにはポグバのタイプは自然と生まれてこないから、我々は作らないといけない」と言った言葉をしみじみと思い出すのである。

 ライアン・フラーフベルフは生まれてきたのか、それとも作られたのか……。その論議はともかく、アヤックスから新たな期待の若手が出現した。

 試合は結局、アヤックスが2-0で勝った。アディショナルタイムに追加点を奪ったのは、この夜がプロデビュー戦となったマックス・デ・ワール(17)だった。17歳のゴールの共演にファンは酔った。しかしながら、この試合はオランダリーグ放映権を持つ『フォックス』で中継されず、SNSがプチ炎上した。日本ならJ1からJ3まで、全試合放映するはずだ。

 こうして私はオランダサッカーと日本サッカーの長所を両方確認し、スタジアムを去ったのだった。

Photo: Getty Images

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アヤックス育成

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中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。