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有力クラブに、ハーバード大学も! U-20W杯戦士たち、それぞれの道

2019.08.28

ポーランドで戦った若者たちのその後

 年代別の世界大会は“ショーウィンドウ”や“見本市”と呼ばれることがあるほど、クラブチームにとって品定めの場となる。同時に、若手選手にとってはステップアップの足がかりとなる舞台である。

 今年5月にポーランドで開催されたU-20ワールドカップも例外ではなかった。4得点で得点ランク3位に入ったセネガル代表のFWアマドゥ・サニャ(20歳)は、大会後にベルギーのクラブ・ブルッヘに引き抜かれた。大会最速となる開始「9.6秒」のゴールも決めたタヒチ戦でのハットトリックが大きなインパクトとなり、評価されたようだ。

 もちろん彼だけではない。アルゼンチンのMFゴンサロ・マローニはボカ・ジュニアーズからサンプドリアへのローン移籍(完全移籍のオプション付き)を果たした。ポルトガルのFWラファエウ・レオンは、大会中は3試合1得点に留まったものの、リールからミランに鳴り物入りで移籍した。移籍金は3500万ユーロ(42億円)とも言われている。

 その他にも、アメリカ代表として小気味よい足技を見せていたMFアレックス・メンデスは、フライブルクのセカンドチームからアヤックスのセカンドチームに移籍。エクアドルのDFディエゴ・パラシオスは、国内のクラブからアメリカのロサンゼルスFCに引き抜かれた。ナイジェリアのDFバレンティン・オゾンワホールはトルコの名門ガラタサライへと羽ばたき、その後スペインのアルメリアに貸し出されている。

 もちろん日本人勢の飛躍も忘れてはいけない。中村敬斗は、ガンバ大阪からオランダのトゥエンテにローン契約で移籍すると早速ゴールを決めている。名古屋グランパスからAZに期限付き移籍している菅原由勢も出番をもらっている。

ニュージーランドから、それぞれの道へ

 だが、一番のステップアップといえば、ニュージーランドの攻撃的MFサープリート・シンだろう。同国の3大会連続となる決勝トーナメント進出に貢献した彼は、大会後にニュージーランドの国内クラブからドイツ王者のバイエルン・ミュンヘンに引き抜かれた。1年目はBチームで過ごすことになりそうだが、ブンデスリーガの公式HPで元ドイツ代表MFメスト・エジルと比較されるほど期待されている。

 ここまで列挙してきたのは、あくまで選手としてステップアップを果たした者たちだ。だが、今大会に出場した選手の中には、実は違った意味で大きく羽ばたいた者もいる。それがシンのチームメイトだったMFウィレム・エビンジだ。

 エビンジは、昨年のU-19オセアニア選手権でW杯出場権をもたらすゴールを決めた選手で、今年5月の本大会では2試合に出場した。そんな彼が選んだ道は、有名クラブへの移籍ではなく“進学”だった。それもアメリカ最古にして最高峰の教育機関、ハーバード大学への進学である。

 歴代の米大統領を8名も輩出している名門大学にスコラーシップでの入学を決めた。「バランスを考えた」。というのは決してプレースタイルの話ではない。「プロ選手の道を閉ざさずに、保険の意味で名声のある大学で学位を取得し、選手とは違うキャリアにも備える」と言うのだ。

 ハーバード大学のサッカーチームと言えば、過去に元イングランドU-21代表のFWパトリック・バンフォード(現在は英2部リーズ所属)が進学しかけた(同大学からのオファーを断り、サッカー選手になった)ことでも知られる。しかし同大学のHPによると、卒業生でMLSに指名された選手は過去に11名しかおらず、プロ選手への道は狭き門なのだ。それでもエビンジは、人生の選択肢を広げるために文武両道の道を選んで邁進することを決めたのだ。


Photo : Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。