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不動の3トップが働き過ぎ問題。リバプールとクロップの深い悩み

2019.07.24

窮屈すぎるフットボール・カレンダーに物申す

 「いいかげん受け入れられない」

 とどまることを知らずどんどん窮屈になっていくフットボール・カレンダーに、リバプールのユルゲン・クロップ監督が物申した。なにも自分のチームだけに起こっている問題ではないことはわかっていつつも、文句を言わずにはいられなかったのだ。

「サディオ・マネの1年は13カ月あった。彼にどれくらい休日があったか聞いてみてよ」

 クロップは嘆く。マネは6月1日のチャンピオンズリーグ優勝でリバプールでのシーズンを締めくくった後、セネガル代表の一員としてアフリカネーションズカップに出場し、準優勝に貢献。7月19日に行われたアルジェリアとの決勝は、昨季のシーズンインから数えて363日間で57試合目だった。現在はようやくバカンスに入ったが、8月4日にはもう新しいシーズンの初戦、マンチェスター・シティとのコミュニティシールドを控えているから、そうそう休んでもいられない。

 「彼はセネガル代表でほとんどの試合をプレーしている。我々のチームでも毎試合プレーしていた。インターナショナルブレークごとに彼は飛行機に乗っていた」

 「長期的に考えて、こういう状況は受け入れられないよ。彼らには休みが必要だ。3日後には『さあ、また走ろうぜ』みたいなものじゃない休日がね。トッテナムとか、他のチームだってそうなのだが、将来的には変えていく必要があると思う。1年間の中で、1週間だってサッカーがない期間を誰も想像できないみたいだ。ゲーム、ゲーム、またゲーム……」

 クロップが嘆き節なのも無理はない。マネだけでなく、エジプト代表のモハメド・サラー(アフリカネーションズカップでベスト16)、ブラジル代表のロベルト・フィルミーノ、アリソン(コパ・アメリカで優勝)と、リバプールは絶対的レギュラー4人が、この夏は満足に休息を取れないのだ。

マネ、サラー、フィルミーノ働き過ぎ問題

 とりわけ不動の3トップであるマネ、サラー、フィルミーノの稼動率の高さは気になるところ。『BBC』によれば、昨季、マネは4306分間、サラーは4337分間、ケガもあったフィルミーノは3404分間、リバプールのシャツを着てピッチに立った。これに対し、ライバルであるシティの3トップのレギュラー陣は、公式戦の試合数がリバプールより7つ多かったにも関わらず、ラヒーム・スターリングが4096分間、ベルナルド・シルバが4025分間、セルヒオ・アグエロが3368分間とリバプールの面々よりかなり少なめ。代わりにレロイ・サネ、リヤド・マフレズ、ガブリエウ・ジェズスがいずれも2200〜2600分程度出場しており、一方でリバプールの“4番手”だったディボック・オリギの出場はわずか673分間だった。

 また昨季のリバプールは、プレミアで挙げた89ゴールのうち63%(マネ22+サラー22+フィルミーノ12)が3トップによるゴールで、やっぱり彼らに頼るところが大きかった。対してシティは、アグエロ、スターリング、B.シルバのゴール数が占めた割合は47%。2ケタ得点者も、リバプールが“ビッグ3”だけだったのに対し、シティは7人もいた。これは質の高いローテーションができていたからこその数字だろう。だから、シティもこの夏はアグエロ、ジェズス、マフレズらが夏の国際大会を戦った影響でまだチームに合流していないが、リバプールに比べれば傷は浅い。

「ビッグ3」に続く戦力、台頭求む

ライアン・ケント(右)らローンバック組の奮起に期待

 マネ、サラー、フィルミーノをいかに休ませながら勝ち星を重ねるかが、新シーズンのリバプールにとっては勝負の分かれ目となる。セビージャ、ドルトムントに連敗した2つのプレシーズンマッチでは、オリギ、ベン・ウッドバーン、ライアン・ケント、ハリー・ウィルソンが3トップの位置で先発した。彼らに加え、ジェルダン・シャキリや、昨季終盤に長期離脱から復帰したアレックス・オクスレイド・チェンバレン、昨季CL決勝でメンバー入りした19歳のリアン・ブリュースターあたりがどれくらいやれるかがカギになりそうだ。

 とりわけ、ここまで前線の補強が手つかずの状況下では、ローンバック組のケント、ウィルソンが“いち戦力”としてクロップをどれほど納得させられるか。それぞれ22歳で、昨季はスティーブン・ジェラードのレンジャーズ、フランク・ランパードのダービーで大活躍した2人。クロップのスタイルを吸収してなお結果を出すのは難度が高いが、彼らがターンオーバーに食い込み、レギュラーとベンチの実力差を少しでも縮めていかないことには、リバプールのさらなる進化はない。


Photos: Getty Images

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ユルゲン・クロップリバプール戦術育成

Profile

寺沢 薫

1984年生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』編集部を経て、2006年からスポーツコメンテイター西岡明彦が代表を務めるスポーツメディア専門集団『フットメディア』に所属。編集、翻訳をメインに『スポーツナビ』や『footballista』『Number』など各媒体に寄稿するかたわら、『J SPORTS』のプレミアリーグ中継製作にも携わった。