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注目株の移籍をめぐる押し問答。カリアリ気鋭のMFはどこへ行く?

2019.07.03

カリアリのイタリア代表MFをめぐる駆け引き

 ユコスタス・マノラスがローマからナポリへ移籍し、ユベントスがパリSGを退団し争奪戦となっていたアドリアン・ラビオの獲得を正式に発表する。夏季の移籍登録が解禁となるや慌ただしい動きを見せた7月1日だったが、移籍市場で一番の注目を集めたのは、カリアリのトンマーゾ・ジュリーニ会長のひと言だったのかもしれない。

 「私はインテルとは6月11日に、(移籍金の)ベースとなるところでは合意していんだ。欠けていたのはボーナスだけ。だがそこから20日あまり、(インテルCEOの)マロッタ氏とは今日まで話もしなかった。だから今、ローマと合意を結んだんだ」

 ミラノのレガ・セリエA本部で、各地元メディアに対して行った上記の発言は、移籍市場の注目株の1人とされるカリアリMFニコロ・バレッラのディールについてのものだ。地方クラブに所属する22歳の身ながら、たちまちのうちにイタリア代表のレギュラーに定着した新進気鋭のMF。中盤で奔走し泥臭くボールを奪う守備的MFでありながら、視野が広く攻撃センスもずば抜けて高い逸材である。多くのクラブが目をつける中、先んじたのはインテル。アントニオ・コンテ新監督が直々に選手にコンタクトを取り、移籍は既定路線と見られていたのである。しかしこの数日前、地元紙は「ローマが追い抜いた」と一斉に報道。3500万ユーロのオファーで止まっていたインテルに対し、グレゴワール・デフレルのパスもつけて実質5000万ユーロ相当の条件にまで上乗せを図ったのだという。

ローマ、インテル、果たしてどちらへ?

今夏はU-21欧州選手権に出場したバレッラ

 巨額オファーを受けたクラブが、より良い条件を引き出そうと移籍金額のさらなる吊り上げに入るのは移籍市場ではよくあることだ。もっともジュリーニ会長は「オークションを仕掛けていると言われると心外だ。カリアリに対して敬意を欠く」と宣言。インテルの最初のオファーを貰った先月11日の時点で「条件は不十分」と確かに公言しており、ここまでの姿勢は一貫している。さらにバレッラについては「ローマの条件を受け入れるか、2日ほど猶予を与える」とした上で「彼もインテルとなにがしかの個人合意をしていた訳ではない」などと暴露した。

 これに対して、おそらく代理人に近いと思われるニュースソースからは一斉に「バレッラはあくまでインテルに行きたいと意思を固めている」との情報が上がる。しかし選手の意思が尊重されたとしても、パスを保有するカリアリが納得するかどうかは別問題。“配慮”を求めた彼らに対しインテルが返事を逡巡したのは、「マンチェスター・ユナイテッドからロメル・ルカクを獲得するための資金捻出を心配し始めたからだ」という情報も流れている。

 この時期、スポーツ新聞やテレビの話題となるのはこの手の押し問答。開幕ギリギリまで揉める可能性も大いにありそうだ。


Photos: Getty Images

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イタリアインテルカリアリローマ移籍

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。