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サウジアラビア開催が裏目に…バルセロナの不振は連盟の減益に直結

2024.01.27

 コパ・デルレイの4強にバルセロナが勝ち残れなかったことが、来季のスペインサッカー界に悪影響を与えそうだ。

タイトル獲得は絶望的な状況

 先日のスペインスーパーカップ決勝でレアル・マドリーに敗れ、最も手軽なタイトルだと思われたコパ・デルレイでも敗退したことで、シャビのバルセロナが無冠に終わる可能性は非常に高くなった。まだUEFAチャンピオンズリーグとラ・リーガが残っているが、前者は戦力と今の歩みを見ていると夢に近く、後者もかなり難しい。

 ラ・リーガでは現在3位で、首位ジローナに8ポイント差、2位Rマドリーに7ポイント差と大きく離されている。ジローナよりも消化試合が1試合少ないので逆転不可能ではないが、同じく消化試合が1つ少ないレアル・マドリーを追い越しての逆転優勝は難しいだろう。

 無冠に終わった場合、シャビは辞任または解任、と言われている。コパ・デルレイ準々決勝でアスレティック・ビルバオに敗れた後の会見では、本人から「たとえ将来私がベンチに居なくとも……」などのコメントが出た。

 とはいえ、無冠がバルセロナにとって大きな痛手なのは間違いないとして、なぜスペインサッカー界全体の問題になり得るのか?

 それは来季のスペインスーパーカップにバルセロナが出られないと、スペインサッカー連盟の減収に直結するからだ。

バルセロナ不参加は減収に直結

 連盟はサウジアラビア開催と引き換えに毎年4000万ユーロ(約64億3330万円)を同国連盟から受け取っているのだが、「2強のうちどちらかが不参加だと500万ユーロ減額され、両方不参加だと1000万ユーロの減額となる」という契約となっている。

 ずばり、サウジアラビアのお客さんが見たいのはRマドリーとバルセロナであり、もっと言えば「クラシコ」なのだ。だからフォーマットも変更された。

 それまでリーグ王者とカップ戦王者の一騎打ちだったものが、サウジアラビア開催に合わせてリーグ2位とコパ・デルレイの準優勝チームにまで参加枠を広げたのは、Rマドリーとバルセロナが必ず参加しないと困るからである。

 その思惑通り、過去の5大会では必ず両チームが参加し、2年前は準決勝で、ここ2大会は決勝でクラシコが実現している。だが、来季の大会については、バルセロナがコパ・デルレイで4強入りを逃しラ・リーガで2位になるのも難しいことで、バルセロナの不参加=連盟の500万ユーロ減収という、スペイン側にもサウジアラビア側にも不幸な事態が、初めて現実になりそうなのだ。

 かつて、スペインスーパーカップは夏の風物詩だった。シーズンの開幕を告げる前哨戦という意味合いで、バカンス中ということもあり連盟は入場料を安く設定してファンサービスに努めていた。スタンドでは夏休みを利用して見に来たという家族の姿がよく見られたものだ。そろばん勘定とは無縁の大会であったことが、今では懐かしい。


Photo: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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