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サレルニターナのサバティーニSD、留任公表から一転の電撃退任

2022.06.04

 セリエA残留を決めたサレルニターナが、大物フロントとの関係を突然絶った。6月2日、クラブの公式Twitterアカウントにて、ワルテル・サバティーニSDとの契約を来季は継続しないと発表した。

積極補強で残留達成も…

 これまで数々のタレントを発掘してきた敏腕マネージャーは、ダニーロ・イエルボリーノ会長がクラブの経営権を取得した直後の1月14日に電撃就任。すると、戦力不足がたたって最下位に沈んでいたクラブに大幅な戦力補強を実行する。フェデリコ・ファシオやシモーネ・ベルディ、ルイジ・セーペのような即戦力に加え、エデルソンやエミル・ボヒネンら才能のある若手など、全ポジションを入れ替える勢いで10人の実力者を補強し、移籍市場がクローズした後もフリー契約となっていたディエゴ・ペロッティらを呼び寄せた。

 その結果、前半戦で勝ち点11に留まっていたサレルニターナは後半戦で14位相当となる勝ち点19を稼ぎ、奇跡のセリエA残留を勝ち取った。

 残留決定後、サバティーニSDは「向こう1年ついても契約を結んだ」と地元テレビに語り、「この残留を誇りに思っている。新しいチームについての構想はある。私自身、当初は義務だと思っていたが、地元の熱烈な応援を受けて愛へと変わっていた」と次のシーズンについての意欲を示していた。それだけに、突然の発表はイタリアサッカー界からの驚きを呼んだ。

経営方針の相違から退任へ

 その背景事情について、『ラ・レプブッリカ』のナポリ版は「ママドゥ・クリバリとの契約更新にあたってフロントと意見が合わずに衝突したことが原因となった」と報じた。

 クリバリの代理人に対してサバティーニがあまりにも高額な手数料を約束していたが、イェルボリーノ会長は道徳上の方針として代理人が深く関わることを望んでおらず、一方でサバティーニSDはその方針に難色を示したという。

 また、同紙は「イェルボリーノ会長に近しい幹部の話」として、同会長がサッカー選手の肖像権をクラブで一元管理して収入を得ることを希望し、また代理人への手数料を制限したいと望んでいると報じた。

 その一方で、サバティーニSDは『コリエレ・デッラ・セーラ』の取材に対し、クラブとの契約延長に至らなかった理由について「サッカーでは起こり得ることなのだから重要ではない」としつつ「志半ばで出るわけではない。私のプロジェクトはもともとサレルニターナを流砂から救うことだったから達成されていた」と語った。

 地元メディアの間では、就任後にクラブを大きく立て直したダビデ・ニコラ監督の去就についても疑念が広がっており、今後の推移が注目されている。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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