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ソシオ離反でEL敗退…バルセロナが直面している新たな危機

2022.04.18

 バルセロナのUEFAヨーロッパリーグ敗退から3日後、スポーツ的には、監督と選手は4月18日のカディス戦に向けて気持ちを切り替えざるを得ない。8試合を残して首位レアル・マドリーと12ポイント差、唯一、獲得の可能性が残るタイトル、リーグ優勝も絶望的だと知りながら。

 現実的な目標は4位以内に入ってUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得し、なるべく良い印象を残してシーズンを終えることになった。

大量のチケットが相手サポの手に

 一方、クラブレベルではまだフランクフルト戦の後遺症に苦しんでいる。カンプノウに2万人とも3万人とも言われるアウェイファンが押し寄せ、ウォーミングアップ中の選手に罵声を浴びせ、クラブ歌にブーイングが響き、ゴール時の大騒ぎで地元ファンは不快な思いをし、試合後の即席の祝勝会に屈辱感を抱きながら帰宅するしかなかった。

 試合に敗れ、応援の圧力でも敗れ、ドイツ人の侵略を許したマネージメントでも挫折したのだった。

 UEFAの許可を得てクラブがアウェイファンに振り分けたチケットは5000枚。それがどうして2万とか3万とかに膨れ上がったのか?

 前提として、欧州は聖週間の連休中で大移動が可能だったということがあるのだが、クラブの説明によると「からくり」はこうだ。

 まず、一般販売用の約3万5000枚からの流出。その大部分はWEBを通じて売られ、ドイツからのIPアドレスとドイツ製のクレジットカードを通じての販売禁止策が採られていた。だが、IPアドレスの偽装は難しくはないし、そもそもスペインの知人を通じて購入すれば何の問題もない。

 地元の代理店が絡んで大量に購入して転売した可能性ももちろんある。ソシオ限定の事前販売では半額だったので、転売の魅力も大きかったことだろう。

 次に、年間チケット購入者による転売。オフィシャルな数字では3万8000人が年間チケットで入場した計算になっている。が、席に座っていたのはドイツ人という例が少なからずあった。年間チケットの譲渡は禁止されているが、値段交渉が成立して金銭を受け取ると、入口まで同伴してピッと鳴らしてゲートを開け入場させる、という違反行為は昔から普通に行われていた。

不利を承知でソシオが転売

 クラブ側が特に心を痛めているのは、いずれの方法にしても少なくない数のソシオの関与が推定されることだ。

 年間チケットを購入するためにはソシオでなくてはならない。つまり、会長を選ぶなどクラブの運営に参加する権利を行使できる忠誠心があるはずの者たちが、チームの不利を承知で転売した、ということになるのだ。

 年間チケット購入者の不満は高まっているとされる。観戦に行けない試合の座席をクラブに譲ってクラブが転売し、転売益の何割かを受け取る、というオフィシャルな制度があるのだが、今季は活用が中止されている。

 その代わりに、譲っても転売益は全額クラブの金庫入りで見返りゼロ、という“協力”をソシオに訴えているのだが、その評判が芳しくないのだ。

 対策として、ラポルタ会長はインターナショナルマッチについては記名制を導入することに決めた。これで転売の恐れはなくなるが、代わりに身分証チェックの長蛇の列に苦しむことになる。ソシオ数13万7000人、うち年間チケット購入者8万5000人という超ビッグクラブが、ソシオの離反という問題に直面していることを明らかにした出来事だった。


Photo: Getty Images

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ジョアン・ラポルタバルセロナフランクフルト

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。