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インテルとミランがミラノから出ていく? イタリアのスタジアム事情

2022.03.12

 イタリアにおいて収益の出せるクラブ専有サッカースタジアムの要求が叫ばれる中、各地で論議が絶えず、建築がスムーズに進まない状態が続いている。

進まぬ新スタジアム計画

 インテルとミランが共同で新スタジアム建築計画を提出し、昨年11月に市からも承認が出たはずのミラノでは、その先の手続きが進展していない。市議会ではサン・シーロの解体や工事における環境ダメージを懸念する議員からの反対意見が根強い。12月には市から両クラブに対し、資金面や環境面での実行可能性などを釈明するよう要求する書簡が送られた。

 目下、建築に関する費用は両クラブが捻出することとされている。だが、サン・シーロの地域一帯の再開発を含めた建築計画が巨額になることを見越し、議員の間からは3億ユーロ(約383億円)以上のインフラ開発について、法律で義務付けられた公開討論の実施が要求されている。

 これに対し、インテルのアレッサンドロ・アントネッロCEOは「手続きが長期化すればミラノではなく他の自治体での建築も視野に入れる」と牽制した。その候補の一つと噂される近隣セスト・サン・ジョバンニ市には鉄鋼所や巨大工場などの広大な跡地があり、ロベルト・ディ・ステファノ市長は「ここなら問題はない。スタジアムの招致は土地の価値の向上に繋がるし、合理的な選択だと思う」と、クラブが希望すれば招致する構えを見せている。

 ミラノ市のジュセッペ・サラ市長は3月9日、地元メディアに対し「両クラブにはサン・シーロの再活用を訴えたのだが、別の希望を持っているのなら仕方がない」と発言し、「インテルとミランが抜ければ他に利用者がいない。サン・シーロのその後を心配している」と、ミラノの2クラブがミラノから出た場合の維持を心配した。

 なお、同市長は2026年冬季五輪の開会式について、「新スタジアムが間に合わない」ことから計画通りサン・シーロで行うと断言した。

アルテミオ・フランキ改修決定

 他方、フィレンツェではアルテミオ・フランキの改修が決定した。こちらは保有権を持つ市が主体となり、国際的な建築コンペティションを通してプロジェクトと設計会社が選択された。

 工事費用は国の復興基金から融資されることが決定しており、ダリオ・ナルデッラ市長は『コリエレ・デッロ・スポルト』のインタビューに対し「1週間を通して収益が出せるようなものにする。ユベントス・スタジアムよりも素晴らしいものになるだろう」と期待を寄せた。

 スタジアムは2026年を完成予定とし、改修を部分的に進めることで工事中の使用を可能にする。また、スタンドの屋根の上にはソーラーパネルを設置し、再生可能エネルギーを主とした運用にするという。

 もっとも、フィオレンティーナはクラブ専有の新スタジアム建設を長らく希望しており、「市とクラブの間でどういう利益配分を行うかが今後の課題だ」と地元各メディアは指摘している。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。