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ブラジルvsアルゼンチン、6分で中止。試合放棄したのはどちらか

2021.09.12

 先のW杯南米予選ブラジルvsアルゼンチン戦が開始6分をもって「中止」となったニュースは、試合そのものの注目度の高さも相まり、世界中で大々的に報じられた。FIFA規律委員会ではすでに両国のサッカー協会・連盟他関係者から証拠収集が行なわれ、審査の末に判決が下されることとなっている。

コミッショナーらの見解は?

 再試合となるか没収試合となるかが注目される中、重要な論点となるのが「どちらかのチームが試合を放棄したか」。アルゼンチン代表がスタジアムを去った後もブラジル代表は居残って紅白戦を行っていたことから、ブラジルでは「アルゼンチン代表が試合を放棄した」との見方もあるようだが、アルゼンチンでは「勝点3を得るのは我われの方」というポジティブな考えが大半を占める。そして一部のメディアは、判決のカギとなるのが同試合でマッチコミッショナーを務めた南米サッカー連盟役員、フアン・アレハンドロ・エルナンデスの供述であると報じている。

 『ラ・ナシオン』をはじめとする大手メディアの報道によると、エルナンデスはFIFAに提出した報告書の中で、自身が中断を決め、両チームに一旦控え室に戻るように促した事実を記載。その理由については「ANVISA(ブラジル国家衛生監督庁)の職員がピッチに侵入して騒動になり、状況が悪化して大事に至ることを懸念したから」との説明があったとし、アルゼンチン代表が試合を放棄した事実はなかったことが明確になっている。

 異例の事態の発端が「ブラジル入国時、プレミアリーグでプレーするアルゼンチン代表選手4人が過去14日間に英国滞在暦があることを申告せず、同国で新型コロナ感染防止プロトコルとして定められている隔離措置を守らなかった」ことにあるのは確かだが、エルナンデスの報告にあるとおり、中断の直接的な原因はあくまでも「部外者の乱入」。アルゼンチン代表がスタジアムを去ったのは南米サッカー連盟が試合の中止を決めた後だったことについても、エルナンデスの他、主審を務めたヘスス・バレンスエラ審判員も同様の報告をしているという。

 また、アルゼンチン代表サイドは現地時間9月3日未明にブラジルに入国した際、昨年のW杯予選再開時に南米サッカー連盟が定め、各国政府からも承認を得た感染防止プロトコルを厳守していたことを主張している。

AFAは敏腕弁護士に委ねる

 『ラ・ナシオン』紙のアレハンドロ・カサル記者も「(アルゼンチン代表は)バブル状態を徹底させ、登録された全員が出場可能なコンディションにあった。FIFAのルールにおいて違反は一切犯していない」と説明し、「アルゼンチン代表に英国から来た選手がいることはCBF(ブラジルサッカー連盟)も把握していた。何らかの不可抗力(この場合は隔離義務)によって予定されていた国・会場でプレーできない場合、FIFAのルールではホームの国の組織(この場合はCBF)が事前に会場変更を申請しなければならないと定められている」と指摘。アルゼンチン代表が選手の滞在歴を偽って申告したことについても、事前に会場を変更していれば問題は起きなかったとの見方だ。

 AFA(アルゼンチンサッカー協会)はこの件を3人の弁護士に委ねたが、そのうち1人は2017年、FIFAがリオネル・メッシに対して一度科した代表戦4試合出場停止処分を撤回した際にメッシの弁護人を務めたスペイン人のフアン・デ・ディオス・クレスポ氏だ。

 サッカー界では凄腕として知られる弁護士に期待がかかる一方、FIFAの判決からスポーツ仲裁裁判所に上告された場合は最終判決までに時間を要するため、アルゼンチンのメディア『Infobae』は「このまま予選が終わり、両国がカタール行きの切符を確保した時点で判決が下されることも十分あり得る」と楽観的な見解を示している。


Photo: Getty Images

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Profile

Chizuru de Garcia

89年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。