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プレーオフ直前にエース離脱。三好康児に巡ってきたビッグチャンス

2021.05.07

 レギュラーシーズンが終了したベルギーリーグでは、4月30日からプレーオフが始まっている。上位4チームが優勝を争うプレーオフ1(PO1)では、2連覇を狙うクルブ・ブルッヘ、バンサン・コンパニ率いるアンデルレヒト、カップ優勝を果たし、逆転での2冠を狙う伊東純也所属のヘンク、そして三好康児が在籍するロイヤル・アントワープの4チームが参加している。

同僚の移籍決定でチャンス到来

 4月30日にはアントワープvsヘンクが行われ、三好、伊東の両選手がスタメンで出場し日本人対決が実現。試合はヘンクが伊東の2アシストなどで3得点を挙げ、3-2で勝利した。

 アントワープの三好は1月10日以来のスタメン出場を果たすと、61分にディウメルシ・ムボカニのパスから裏に抜け出し、一時は勝ち越しとなるゴールを決めた。

 三好は今年に入ってから、監督交代や新型コロナウイルス感染によって試合出場時間は100分程度に留まり、なかなかチャンスが巡ってこなかった。しかしプレーオフに入り、突如チャンスが巡ってくる出来事があった。

 4月26日、同じポジションを争うライバルであるイスラエル代表MFリオル・ラファエロフが、来シーズンからアンデルレヒトに移籍することが発表された。プレーオフ直前という最悪なタイミングでの移籍決定により、アントワープ首脳陣はラファエロフの残り6試合の出場を取りやめることを発表していた。

 ラファエロフは2020年にはベルギーカップ優勝の立役者になり、UEFAヨーロッパリーグのトッテナム戦では大金星へと導く決勝点を挙げている。その活躍を高く評価され、2020年のベルギーリーグの最優秀選手に贈られる「ゴールデンシューズ」を獲得している。卓越したテクニックと勝負強さを持ち味としており、コンゴ民主共和国代表FWディウメルシ・ムボカニと並ぶアントワープの顔として活躍しており、アントワープでは非常に大きな存在感を発揮していた。

アントワープの“顔”だったラファエロフだが、移籍決定を受けてプレーオフには出場しないことになった

プレーオフで真価が問われる

 2019年8月からアントワープでプレーしている三好にとって、ラファエロフは常に自分の前に立ちはだかる存在だった。ベルギーリーグデビュー戦となった2019年9月15日のアンデルレヒト戦では鮮やかな決勝ゴールを決めて鮮烈デビューを飾ったものの、ベルギーリーグ300試合以上の出場を誇る歴戦のアタッカーの牙城を崩せずにいた。

 今シーズンからは、クルブ・ブルッヘでリーグ優勝を経験しているクロアチア人のイバン・レコ監督が就任。ポゼッション志向が強く、超攻撃的なスタイルを好むレコの下、三好は右WBにコンバートされてレギュラーに定着。大金星となったトッテナム戦でも右サイドで効果的な攻撃を繰り返し、当時のジョゼ・モウリーニョ監督から称賛を受けていた。

 コンバートによってラファエロフとの共存を果たし、アントワープでのレギュラーを獲得したと思われた三好だが、不運にも昨年12月末にレコ監督が中国の上海上港(現上海ポートFC)へ引き抜かれてしまう。

 新監督にはアンデルレヒトやヘンクで優勝の実績があるフランキー・フェルカウテレンが就任したが、堅守速攻を好み、チームバランスを重視する方針に変わったため、起用されるメンバーも大幅に変わることになった。新監督へのアピールの機会として重要な1月中旬、三好は不運にも新型コロナウイルスに感染し一時離脱。再びラファエロフの控えという立ち位置に戻り、出場機会は閉ざされていた。

 突然のライバルの移籍決定により、優勝やUEFAチャンピオンズリーグへの出場権がかかったプレーオフという最も重要な時期に、再び出場のチャンスが巡ってきた三好。チームは敗れたもののインパクトを残した三好に対し、ベルギー紙『HLN』は「ラファエロフの遺灰から復活した三好」と表現し、忍耐強さを高く評価している。

 前監督の頃のようなWBでの起用ではなく、今回はムボカニ、ランケル・ゼとともに得点の重責を担うことになる。2年前、ヘンクを牽引していたアレハンドロ・ポスエロの突如のトロントFC移籍によってビッグチャンスをつかんだ伊東のように、三好もビッグチャンスを生かすことを期待したい。


Photos: Getty Images

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ヘンクロイヤル・アントワープ三好康児伊東純也移籍

Profile

シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。