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フォーメーション分析:守備編#2[4-1-4-1]

2020.04.22

特集: 今、あらためて 「フォーメーション」を考える#6

静的な“フォーメーション”が意味をなさなくなっている現代サッカーにおいて、フォーメーションというものをどう理解すべきなのか。現状を踏まえて攻撃と守備、それぞれの局面における具体的なフォーメーションについて、その特徴と機能性を分析していきたい。

守備編のその2では、グアルディオラの影響により欧州サッカーでは[4-4-2]と同じかそれ以上に主流となっている[4-1-4-1]を取り上げる。

 現代サッカーにおけるフォーメーションについての各論。その第1弾では最もオーソドックスな[4-4-2]について論じた。今回は、近年[4-4-2]以上にオーソドックスな配置になってきた感すらある[4-1-4-1]について説明していこう。記事中でも言及するが、[4-3-3]や[4-5-1](中盤フラット)といったフォーメーションは基本的に[4-1-4-1]と変わらないものとして考える。すなわち、総論でも触れたように、「4バック」かつ「1トップ」という分類に属するもののうち、[4-4-2]の仲間である[4-2-3-1]を除けばどれも[4-1-4-1]の仲間であり、その差があるとすれば選手の役割の違いによって生まれるものだ。

 この前提に立つと、いわゆる[4-1-4-1]が近年再び主流になったのは、やはりペップ・グアルディオラの率いるバルセロナ、バイエルン、マンチェスター・シティといったチームのスタイルと躍進が大きいだろう。実際のところペップは他のフォーメーションを使わないわけではないが、やはり真っ先にイメージされるのは[4-1-4-1](よく表記されるのは[4-3-3]か)だろう。

 なぜ、ボール支配によるゲームコントロールをペップのチーム、あるいはそのフォロワーたちによって[4-1-4-1]は好んで用いられるのだろうか。

 また、ここまでは主にヨーロッパサッカーの視点で語ってきたが、日本においてまだまだ[4-1-4-1]は主流の配置とは言えない。実際、リーグ戦などで[4-1-4-1]をメインに使うチームはどのカテゴリーを見ても少ないし、それ以上に特徴的なのは代表をはじめとする各選抜チームのほとんどが判を押したように[4-4-2]を用いることだ。攻撃の際にハーフスペースに選手を配置する意識は日本でも意識するチームが増えてきたが、守備時にそのまま[4-1-4-1]で守備をする(そしてそれが機能する)チームというのは日本ではかなり珍しいのではないか。以上を踏まえ、今回の記事では、ボールを握りたがるチームが[4-1-4-1]を好んで用いる理由、そしてぜひ日本に浸透してもらいたい[4-1-4-1]の守備体系について詳しく見ていこう。……

今、あらためて 「フォーメーション」を考える

Profile

山口 遼

1995年11月23日、茨城県つくば市出身。東京大学工学部化学システム工学科中退。鹿島アントラーズつくばJY、鹿島アントラーズユースを経て、東京大学ア式蹴球部へ。2020年シーズンから同部監督および東京ユナイテッドFCコーチを兼任。2022年シーズンはY.S.C.C.セカンド監督、2023年シーズンからはエリース東京FC監督を務める。twitter: @ryo14afd