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フォーメーション分析:守備編#1[4-4-2]

2020.04.18

特集: 今、あらためて 「フォーメーション」を考える#5

静的な“フォーメーション”が意味をなさなくなっている現代サッカーにおいて、フォーメーションというものをどう理解すべきなのか。現状を踏まえて攻撃と守備、それぞれの局面における具体的なフォーメーションについて、その特徴と機能性を分析していきたい。

守備編のその1では、守備時のブロック形成として現在、多くのチームが採用している[4-4-2]を取り上げる。

 前回の総論では、現代サッカーにおいてフォーメーションがどのような位置付けにあり、どのようなポイントで分類されるのかなどについて論じた。今回からの各論では、守備/攻撃それぞれの具体的なフォーメーションについて取り上げながら、総論で簡単に触れた内容について理解を深めていきたい。

 各論は前半の3回が守備、後半の2回が攻撃の時のフォーメーションについて説明していく。守備編の初回となる今回は、最もオーソドックスでバランスの良いフォーメーションである[4-4-2]についてだ。ゲームに参加する人数が決まっているサッカーにおいて、どこかに人を投入すれば、代わりにどこかから人を減らさなければいけないのは普遍的な原理なので、フォーメーションとはすなわちその絶対的な配置以上に、複数のフォーメーション同士の相対的な変化や差こそが本質的であると言っても良い。そのような意味で、[4-4-2]の守備なんて誰でも知っている、と思う方ほど今回の文章をぜひ読んでほしい。最もバランス良く人が配置された[4-4-2]の守備についての正確な理解は、他のどのフォーメーションについても活用できるベンチマークになるはずだ。……

今、あらためて 「フォーメーション」を考える

Profile

山口 遼

1995年11月23日、茨城県つくば市出身。東京大学工学部化学システム工学科中退。鹿島アントラーズつくばJY、鹿島アントラーズユースを経て、東京大学ア式蹴球部へ。2020年シーズンから同部監督および東京ユナイテッドFCコーチを兼任。2022年シーズンはY.S.C.C.セカンド監督、2023年シーズンからはエリース東京FC監督を務める。twitter: @ryo14afd