FEATURE

マリノスを支える影のスペシャリスト達 ゲーム分析とメディカルの現場から

2019.07.18

シティ・フットボール・グループ(以下、CFG)と横浜F・マリノス(以下、マリノス)の提携範囲は広い。チームを裏で支えるスタッフの仕事にもポジティブな変化が起きているという。その具体を探るべく監督の右腕としてチームや対戦相手の分析を担当するビデオアナリストの杉崎健氏と、怪我をした選手のリハビリや予防を担当するチーフトレーナーの日暮清氏に話を聞いた。現場で戦う者だからこそ発せる言葉で提携の実像が見えてきた。

映像を見るだけで理解できる
-杉崎氏インタビュー-

杉崎健氏(横浜F・マリノス ビデオアナリスト)


――今、マリノスの分析が国内でも最先端なのではないかと言われていますよね。マリノスでの分析は、マリノスが培ってきたもの、杉崎さんが培ってきたもの、どちらがベースとなっているのでしょうか?

 「私の経験してきたものをベースにマリノスでは(分析を)やらせてもらっていますが、マリノスにきて変わったのは “見せ方”のところですね。データ分析は多くの方が『premier』や『EDIUS』など、いわゆる動画編集ソフトを使っています。マリノスに来てからはソフトの具体名は明かせないのですが、新しいソフトを使用しています」


――それはどのようなソフトでしょうか。

 「1つ機能を紹介すると、画面上に映るピッチ上の選手を動かすことができます。例えば、次節の対戦相手が神戸だったとして、神戸対川崎の試合映像を使うとしましょう。『神戸の守備に対して川崎はこう攻めているけど、我々の場合はこういう配置になるよね』という説明を映像内の選手配置を動かして見せることができます。簡単に合成映像を作れるようなイメージですね。今までは映像を止めて文字や口頭で説明していましたが、映像で見せられるところが最大の違いです」


――それができるようになるとチームには具体的にどのような影響がでるのでしょうか。

 「そもそも映像を使うのは自分たちがどのようなサッカーを目指しているのかをチーム内で分かりやすく説明するためです。選手の理解度をあげるために映像を使っています。ティーラトン選手が『色んなクラブを渡り歩いてきたけど、杉(崎)さんの映像が今までで一番わかりやすい。私は日本語を理解できないけど映像を見るだけで理解できる』と話してくれました。エジガル(・ジュニオ)も『ブラジルでもこんなの見たことない』と。外国籍選手にとってはより重要で、例えば選手全員で映像を見ていても、通訳してくれている間に次の映像の説明に移動していることもありますからね」


――それだけ選手がわかりやすい映像になるというのは、逆に作る側の手間も大変なのではないでしょうか。

 「このソフトは使うほうも非常に簡単に使いこなせます。表現したいものをポンポンと簡単にできるというのもありがたいですね」


――分析自体の進化はどうなってきているのでしょうか。

 「分析の仕方自体は特に変わっていません。結局『サッカーを見る』ということには変わりはないので。使うツールが変わってきたということ。繰り返しになりますが、変わったのは映像の見せ方ですね。昔はiPadもなければ、パソコンがない時代もありました。今年からJリーグもベンチでの通信が許可され、今では試合中に映像を見せるようになりました。テクノロジーの進化で見せ方とタイムリーさがすごく進化したと思います。それについていけないテクニカルスタッフは置いていかれてしまう状況です」


――マリノスがこのソフトを導入したきっかけは何だったのでしょうか。

 「今のコーチがオーストラリア代表時代にこのソフトを使っていた経緯から推薦を受けました。シティとオーストラリア代表が使っているのは一緒のソフトです」


――映像を見せるのがよりタイムリーになってきているとおっしゃっていましたが、マリノスはハーフタイム中に前半の分析を見せるのですか?

 「マリノスの場合はハーフタイムにビッグスクリーンで映して選手全員で見ます。ヨーロッパではすでに多くのクラブがそうなっていますね。シティTVで見たのですが、7~8年前の時点でマンチェスター・シティは、ロッカールームの壁がビッグパッドになっていて、壁を触りながらその場で映像内の選手を動かしたり印をつけたりしていました。7~8年前でそれですから、今はどこまで進化しているのでしょうか(笑)」


――ホログラムぐらいまではいっちゃいそうですね(笑)

 「ドイツも進んでいてGoogle Glassをかけて、ドラゴンボールのスカウターみたいにそれを通して見ると選手が時速何キロで走っているかわかる。そういうものを実験的に取り入れているそうです。ヨーロッパはどんどん進んでいますよね」

監督のイメージに近い映像を作れるか


――ハーフタイムの映像はどのような流れで見せているのですか。

 「ベンチ内ではなく(スタジアムの)上で撮影しているので、前半40分くらいにはロッカールームへの移動をはじめます。最後の5分は仕方ないですね、前半で5~6シーンを選んで、1分40秒から2分ぐらいの映像にまとめます。その作業にだいたい3〜4分かかります。監督が気になっているだろうというシーンをピックアップします。その間に監督と選手が戻ってきてすぐその映像を監督とヘッドコーチがチェックします。やり始めた頃は『あのシーンないの?』『このシーンはいらないよ』などありましたが、今はもうほとんど直さないですね。映像を確認してもらっている間に選手たちが、着替えたりしていて、それが落ち着いたら、全選手座って映像を見せるという流れですね」


――今は監督が考えていることと齟齬がほとんどないんですね。

 「私はそう思っていますが、監督がどう思っているかはわかりません(笑)。ただ、監督のゲームモデルは変わらないので、うまくいっているシーン、うまくいってないシーンについて、監督がこういうことを言うだろうなというのはわかりますね。監督のサッカーをしっかり理解して進めるというのは自分の特徴でもあると思っています」


――分析官で大事なのは監督のサッカーを理解するということなんですね。

 「それがいちばん重要なことかもしれません。監督が何をしたいのか、どのように修正したいのかが大事ですね。映像だけ撮って編集しても「これじゃないよ!」って言われてしまっては意味がないので」


――アンジェ・ポステコグルー監督のサッカーは特殊ですから理解するのは大変だったんじゃないですか。

 「オーストラリア代表のときから監督と一緒にやっているヘッドコーチのピーター(・クラモフスキー)からは『杉(崎)の理解力は今まででも断トツに早い』と言われました。プレーの一つ一つを確認しながら映像を作るというようなことはできないので、監督から『こういうポジショニングでこういうサッカーをやりたい』という説明を受けて、その説明からいかに監督のイメージに近い映像を作れるか。それが分析官やテクニカルスタッフのやりがいではないでしょうか」


――ヴィッセル神戸、ベガルタ仙台と渡り歩いてきた杉崎さんにとって、ポステコグルー監督のサッカーの個性はどんなところにあると思いますか。

 「根底にあるのは『点をたくさん取りたい』というところで、そこから逆算する形で全てが始まっているなと。相手を圧倒するということを考えているのは、今まで一緒にやってきた監督とは違うなと感じます。監督は、昨年は4バックから3バックにしたり、今年も2ボランチから1ボランチにしたりなど、一つのシステムに固執するわけでなく選手を活かすためにフレキシブルに対応していると思います」


――ポステコグルー監督になってからのマリノスは得点が本当に増えていますが、それはやはりゴールから逆算しているということが大きいのでしょうか。

 「監督は『パスをここに出すから、相手がこうなります。そうしたら次はこうなります』そういうロジックがゴールまで緻密につながっています。だから『ここにいなさい、ここにパスを出しなさい』というのがはっきりしています。逆に選手がその指示を守らなくて、ゴールにならなかった場合は『なんでやることをやらないで、ゴールにもなってないの?』ということになります。自分で決断するのは良いけど、やるならゴールを取れと。やることやって得点にならなかったらそれは監督・コーチの責任ですと。最近は選手たちから試合直後に『あのシーンはシュートじゃなくてパスでしたよね?これきっとミーティングで言われますよね』ということがあります。選手たちがチームの約束事はわかっていて、あえてシュートが入ると思って決断したのならそれはそれで選手たちの戦術理解の浸透度があがっているということですから私は大きな問題とは思いません。戦術的な反省が出てくること自体、いい方向に向かっているなと感じます」


――今年はセレッソ戦で相手に分析されて0-3で負けました。そういう敗戦が起きた後ににやり方を変えようとはならないのでしょうか。

 「基本的なことは変えません。恐らくメディアや記者の方々が言うのは『なぜ相手が対策をしてきているのに、同じことをやっているのですか?』ということだと思いますが、ポステコグルー監督が変えるつもりがないと答えるのは、『コンセプトを変えるつもりがない』ということですね。それを変えるとチームの軸がブレますから。そこは一貫していますよね」


――コンセプトを変えないということは、一方でそこは狙われやすいポイントになりますよね。

 「それはどのチームにもあてはまることです。監督は『1試合を勝つためにやっているのではなく、リーグ戦を優勝するためにやっている。対策されたからといってコンセプトを変えていたら優勝は絶対ない。世界を見ても1試合ごとにシステム、選手、コンセプトをコロコロ変えているところは優勝していない。コンセプトに対して対策されても、それを突破できるチームが優勝する』と常々言っています。その考え方は選手にも浸透してきているように感じます」


――とはいえセレッソ戦の負け方はショッキングだったのではないですか。

 「負けたときは色んな要素がありますから、特別セレッソ大阪戦がショッキングだったという印象はありません。セレッソ大阪戦は暑さがあり、(試合会場へは)札幌からの移動で、3日間ホテル生活だったという背景もあります。プレー分析だけでなく、フィジカル、メンタル、色んな要素が重なってのあのパフォーマンスだったと捉えています。次の試合で同じことが起きてしまったらマズいとは思っていましたが、次戦は勝つことができました。勝負事なので当然負けることもあるわけですが、分析によってその可能性を少しでも減らそうと取組んでいます。例えばコンサドーレ札幌戦は相手が4バックで来るかもしれないという予測は事前に選手たちに伝えていました。結果的にはその試合で負けてはしまいましたが、“相手の対策に対する対策”を立てることができていたので敗戦を大きく悲観することはありませんでした」


――札幌の4バックを読んでいたのはすごいですね。どのように相手の対策を立てているのでしょうか。

 「色々な情報網を駆使し、対戦相手監督の戦い方の癖みたいなもの……相手によってフォーメーションを変えるとか、古巣の選手をあえて起用するとか。そういうことを織り込んで対策を立てます。長いスパンで相手監督を分析すればどういう相手、どのような状況で変えるのかというのが見えてきます。逆に頑固でなかなか変えない監督もいます。対戦相手の番記者が書いている記事を参考にすることもあります」


――そういう情報収集もしっかりされているんですね。逆に分析には情報収集が欠かせないということですね。

 「それは間違いないですね。情報収集ができない人は分析ができないと思います。」


――改めてCFGグループのメリットを教えてください

 「CFGとのパートナーシップがなければ、この映像編集ソフトには辿り着けなかったと思います。金額的に手が出せないクラブも多いと思うので、そういうツールを使わせてもらえることは大きいですよね。毎年、年度末にJリーグ各クラブの分析担当の会合があるのですが、プレミアリーグの事例や、映像の加工方法など名指しで意見を求められることもありますし、マリノスはトップにいるのだなと感じます。そういう意味では日本サッカー界の映像分析はもっと底上げしていく必要があるなとも思います。映像を作って終わりではなく、そこに戦術の理解があるか。ツールは使いこなせて当然で、その上でサッカーの中身の話を監督やコーチと話せるか。両方の能力を発揮できなければ効果的な分析はできません」


――分析の世界も本当に進んできているんですね。

 「5年前はそんなに重要じゃないと言われていたポジションです。分析に1人雇って給料払うぐらいならコーチをひとり雇ったほうがいいとか、コーチが分担してやればいいとか。でも、ドイツがワールドカップで優勝した時にデータ分析が注目されました。そこから一気に分析の世界も進んだんですよね。プレミアリーグはCLもELも決勝がイングランド対決となったことで、『インスタット』というスカウティングシステムが注目されたり、プレミアリーグの全クラブが入れている試合分析ソフト『スポーツコード』が注目されたりしています。必要性の理解と比例して普及が進みますね」


――今後の分析の世界についてはどう思われていますか。

 「マリノスではアナリストが私1人ですが、マンチェスター・シティは5人います。シティからは『分析を1人で担当するなんて!』と驚かれました(笑)。むこうの場合は、対戦相手分析、自チーム分析、フィジカル分析、パフォーマンス分析と細分化されていますから。だから、『一体どうやって1人でこなしているんだ?』って。『いや、そんなの1人で出来る訳ない』と答えましたけど(笑)。リソースが根本的に違いますよね。でも、CFGのなかにいると、この大きな差が視覚化出来て、かつ世界と伍していくために必要なツールや方法がふんだんに揃っているので、貪欲にキャッチアップしていきたいですね」

Ken SUGIZAKI
杉崎 健

横浜F・マリノス ビデオアナリスト。日本大学卒業後、データスタジアム株式会社に入社。サッカーのデータ分析やソフトウェア開発に携わる。同時に、Jリーグ各クラブへの分析ソフトウェアの販売や、データ分析のサポート、東大ア式蹴球部分析チームの立ち上げに寄与したのち、2014年にヴィッセル神戸の分析担当としてクラブ入り。2016年にはベガルタ仙台の分析コーチに就任。2017年より横浜F・マリノスのテクニカルスタッフに就任し、現在はビデオアナリストとして活躍。

ドクター・イアンとの出会い
-日暮氏インタビュー-

日暮清氏(横浜F・マリノス ヒューマンパフォーマンスダイレクター)


――CFGとの提携をきっかけに導入したソフトがあると聞きました。

 「はい。選手の出身地、身長、体重という基礎データだけでなく、怪我のデータ、GPSで計測した走行距離、ウェルネスデータ、選手の睡眠時間、選手の疲労具合などが記録できるソフトを使っています。選手には毎朝スマホアプリでデータを入力してもらっています。フィジカルコーチやフィットネスコーチはそれを見て『この選手は何時間しか寝れていないね』と分かります。また、各トレーナーの治療日報、リハビリレポート、薬の管理、怪我中の選手であれば怪我して何日目かなど、どのような状態にいるのかを管理しています」


――選手の状態がほぼ記録されているのですね。そのツールがあってメディカルスタッフの仕事内容は変わりましたか?

 「仕事内容自体は変わらないですね。ただ、作業効率は変わりました。わざわざレポートを作らなくてもこのツールに入力しておけば、誰でもアクセスできるので、情報を簡単に共有できます。監督が見たい時にいつでもスマホでパッと確認できてしまう。私みたいなおじさんは慣れるまで大変でしたが(笑)。若い人にとっては大きな苦労もなく、使いやすいんじゃないかと思います。MRIやCTの画像も送ることができます。まだ使用し始めて2年目ですけど、これが5年、10年と続いてデータが溜まっていけば、より効果的な傾向と対策ができるようになってくると思いますよ」


――ケガの情報はCFG内で共有されているのでしょうか?

 「それはあまり共有しないほうがいい情報だと思います。ただ、CFGメディカルチームのドクター・イアンはアクセスできる。イアンとは毎週火曜日にフェイスタイムでミーティングをしています。トップチームドクターの深井先生、ユースチームドクターの清水先生と私の合計4名で行っています」

――イアンさんとはどのような話をされるのですか。

 「私個人としてはCFGとの提携で感じる最大のメリットはイアンの存在です。経験豊富でリスペクトのできるドクター。何かこちらが相談した場合、必ず答えを出してくれます。例えば今マリノスに前十字の負傷者がいた場合、イアンはマンチェスター・シティの前十字負傷のプロトコル(治療計画)をすぐ送ってくれます。私はマリノスに12年在籍して、途中新潟に9年いて、再びマリノスに戻ってきて2年半というキャリアですが、この直近2年半でイアンから学んだことが本当に大きいですね。『緊急対応プロトコルは各世代のカテゴリーごとに作ったほうがいい』ことなど『しまった、なんで言われる前にやらなかったかな』って悔しい想いをしながらも参考になるアドバイスをもらっています。マリノスにはこれだけ多くの子供達が在籍しているわけですからね。完成したものはすぐユース、ジュニアユースに展開しました。ただ、向こう(シティ)で出来ても日本では出来ないものもありますよね。例えば、シティは芝のピッチが16面ありますが、こちらは練習環境が限られている。だから同じプロトコルを使えるわけではないです。だから、環境の違いを踏まえたすり合わせは意識しています」

シティから学ぶ理想像


――1年半前にマンチェスター・シティの施設をご覧なられたそうですが、その時のお話をお聞かせください。

 「ものすごく大きくて近代的な施設でした。窒素室、エンバイロメントルーム(酸素の濃度が変わる部屋)などはすぐにマリノスに導入するのは難しいかもしれないけど、理想としてそういうものがあるというのを知れたのは大事なことですね。あと、食事のサポートも印象に残っています。ちょっとしたことですが、コーヒーメーカー近辺には砂糖を置いていないんですよ。選手たちは糖分をフルーツで摂る。カフェテリアひとつにしても配慮されていますね。選手はどのような食事を摂るべきかという、食育の情報がモニターで流れてもいました」


――将来的にはマンチェスター・シティのような機材をいれていこうという流れはあるんでしょうか。

 「お金があればエンバイロメントルームや窒素室は導入したいですよね。マリノスタウンにあった流水プールは、久里浜にできる練習場には作られる予定です」


――むこうにいって一番導入したいと思ったものは何でしょうか。

 「リハビリの一環で30メートル走や、アジリティテスト、ホップテストとなどはすぐに導入しました。あと、リハビリのプロトコルも取り入れました。ソフト的なものはどんどん取り入れることが出来るのですが、ハード的なものは難しいですよね。繰り返しですが、向こうは練習用のピッチが16面もあるんですから」

――日暮さんが以前マリノスにいたときと今とでは違いを大きく感じますか。

 「メディカルミーティングが増えました。(シティから)うまくいかないことへのアドバイスをもらえるようになりました。あとは、以前マリノスに在籍していた時はGPSを利用したリハビリは行っていませんでしたね。どれぐらいのスピードで、どのぐらいの距離を走ったかがGPSで計測できます。以前はストップウォッチを使ってやっていましたからね。今ではボールを持ったとき、持っていないときで、それぞれどれだけのスピードだったのかがすぐ分かります。距離的には走る量は足りていても、走りの質は足りていないなども把握できます。課題がはっきり分かりますよね。ここは大幅に変わったところです」


――今の時代GPSはどこのクラブも使っているものなのでしょうか。

 「かなり増えたと思います。今CFGで使っているものは、ステップバランスも見ることができます。つまり、どちらの足にどれだけの荷重がかかったのか。健康な足のほうに体重がかかりすぎていないかとか。だからこっちのふくらはぎ張っちゃっているんじゃないのとか。去年はマンチェスター・シティに行って、今年はメルボルン・シティに視察に行きました。今度はジローナに行きたいと書いておいてください(笑)」


――今後シティが行っていてマリノスも導入したいことは何でしょうか。

 「シティは選手のメンタルサポートもしっかりやっています。それも各育成年代ごとに。クラブとしてなのか、リーグとしてもやるべきことだと思いますね。メンタルをサポートするのは本当に大事ですが、私にノウハウがないので答えられない。それはやはり専門家がやらないといけないと思いますね」

kiyoshi HIGURE
日暮 清

横浜F・マリノス ヒューマンパフォーマンスダイレクター。国際武道大学を卒業後、アメリカでの大学院留学を経て、アメリカ現地の高校・大学にてトレーナー活動を開始。サッカーのみならず、テニス、柔道、バスケットボールなどさまざまなスポーツ現場にてトレーナー業務を経験。日本に帰国後はバレーボール界でトレーナーとして活躍。1996年から12年間マリノスでチーフトレーナーを務め、2008年からはアルビレックス新潟に在籍。2017年に横浜F・マリノスに復帰し、日々選手に寄り添いながらチームを支えている。


Photos: Nahoko Suzuki

Profile

池田 タツ

1980年、ニューヨーク生まれ。株式会社スクワッド、株式会社フロムワンを経て2016年に独立する。スポーツの文字コンテンツの編集、ライティング、生放送番組のプロデュース、制作、司会もする。湘南ベルマーレの水谷尚人社長との共著に『たのしめてるか。2016フロントの戦い』がある。