「成長できている姿を結果として示せたシーズンだった」中村敬斗が振り返るランス2年目の経験【インタビュー後編+取材後記】

Allez!ランスのライオン軍団
2024-25シーズン総括 #3
待ち受けていた「地獄」の結末。伊東純也と中村敬斗の両エースが牽引し、冬には関根大輝が加わった今季、スタッド・ランスはフランス・リーグ1で16位、入れ替え戦の末に7季ぶりの2部降格を余儀なくされた。その奮闘模様を定点観測してきた連載コラムの特別編として、若き獅子軍団の、そして3兄弟それぞれの2024-25シーズンを振り返る。
第3回は、前回から続く中村のインタビュー後編(5月15日収録)、そして24歳のアタッカーが飛躍的な成長を遂げたランス2年目の歩みを総括する。
→「反骨心」で重ねた2桁得点、「勝ち方がマジでわからなかった」15戦未勝利…中村敬斗が語るランスのリアル【インタビュー前編】へ
関根大輝は「強い」「面白い」「フレッシュ」
――続いて、関根大輝選手の加入はどうでしょう?
「関根加入。まあビッグニュースか、って言ったら別にそうじゃないですけど」
――え?……じゃあ外しますか(汗)。
「いやいや、いいですよ、入れてください(笑)」

――彼はどんな選手ですか?
「良い選手ですね。(伊東)純也くんと同じサイドっていうのはかなり助けられてると思うし、純也くんがたぶんいろいろ助けてくれてると思う。守備も対人に強い。それに面白いですね。私生活、プライベートの、オフ・ザ・ピッチは面白いし」
――なんというか、あまり動じない大物感がある気がしますが。
「まあそうですね(笑)。でも謙虚だし、向上心も持ってるし。ピッチでそれを表現できているって思いますね」
――プレーもやりやすいですか?
「そうですね。加入してからすぐには試合に出られない選手って多いと思うんですけど、やっぱり残留争いしているチームってけっこうメンバーが変わったりするから、そこでチャンスをつかめた。今年入った選手の中では試合に出てる方だと思います。
それにフレッシュですね。彼が入ってきた時はなかなか勝てない時期だったけど、気にせずフレッシュにやれているのがいいと思います」
――2人でごはんに行ったりもするんですか?
「しますします。 一緒にパリとか行くし」
――パリに行く時はやっぱりごはんが多い?
「そうですね。ショッピングだったり、ごはんって感じです」
「1対1の縦」に成長実感、「自分を誇りに思う」2桁達成
――もっともっといろいろお聞きしたいところではありますが、そろそろお時間が迫ってきましたので、まとめに入りたいと思います。あらためて今シーズンの中村選手について振り返ると、昨シーズンはもっと周りにチャンスメイクしてくれる選手がいる中でフィニッシャー的な役割を担うことが多かったですが、今シーズンは自分一人でチャンスを作っていくシーンが多々ありました。何もないところからチャンスを作れる選手になったというのは、アタッカーとしてすごく大きな成長を感じるのでは?
「そうですね。ウチのチームは守備的なボランチの選手が多いんで、何もないところからチャンスを組み立てるっていうのは(必要とされていた)。だからビルドアップに参加する場面も出てきたんで、プレーの幅が広がったのは良かったです」
――1対1の対人プレーも目に見えて強くなりました。
「特に1対1の縦のところはかなり(成長を感じる)。クロスを上げるシーンが圧倒的に去年より増えたから。まあ精度はやっぱり左足だから、なかなか右足で蹴るのとは違って狙って蹴るような感じにはならないですけど。なんとか縦に突破してクロス、っていうのが増えてきた。抜き切るのは難しいですけど、縦に行ってから左足でクロスを上げる場面が今シーズンは増えたので、それが中に入っていくタイミングにもつながるし、逆サイドからのクロスに入るタイミングにもつながるし、ウインガーとして必要な要素という点で、一つ成長できたと思います」

――今年の7月28日で25歳になりますが、若手でもないけどベテランというわけでもない、キャリアにおいて大事な時期ですよね。
「一番選手として脂の乗っている時期だと思う。若手から中堅に差しかかっているところで、経験も少しずつ出てきて……」
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。