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育成の名門アタランタはいつの間に外国人軍団になった?

2020.02.10

 22人中18人、割合は81.8%。今シーズン開幕時のアタランタの外国人比率である。以前はイタリア人の若手発掘場所として知られ、最近もマッティア・カルダーラ、アンドレア・コンティ、ロベルト・ガリアルディーニの生え抜きトリオやブライアン・クリスタンテにレオナルド・スピナッツォーラ、アンドレア・ペターニャ、ジャンルカ・マンチーニといった他クラブの下部組織出身者も獲得して活躍をしていた。そんな育成型クラブでイタリア人が減ったというのはどういうことか。セリエA全体に通じる外国人比率の高さと相まって、最近はよくイタリア国内で嘆かれている。

 もっともこれは、あくまで今がそういうサイクルであるに過ぎない。イタリア人の若手選手に高値がつく時代、主力を張っていた選手たちは積極的に“収益化”された。それで間違ってはいないどころか、クラブは潤っている。昨夏の移籍市場では2980万ユーロの黒字を計上し、スタジアムの改修もスタート。下部組織ではU-17からU-20までの3年代で20人の年代別代表を輩出しているし、いずれ彼らが伸びてくるはずだ。今はいわば、輝かしい将来に向けての過渡期。外国人を中心とした即戦力重視のチーム編成を組んでいるのは過渡期の穴埋めの意味合いもある。

 メンバーが限られる中、なるべく戦力の流出を回避しつつCLに参戦。初出場の不慣れか3連敗を喫したが、その後はマンチェスター・シティ戦のドロー、そしてディナモ・ザグレブ、シャフタール相手に連勝し、奇跡のグループ突破を成し遂げた。一方で両立が難しいとされたリーグ戦でも、気がつけば上位。“過渡期”でこれなら上等だろう。

アタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニ
チームを率いるジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督は2018-19シーズンの“パンキーナ・ドーロ”(最優秀監督賞)を受賞。若き選手たちの成長を促しつつ結果も残す手腕が評価された


Photos: Getty Images

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アタランタ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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