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スペイン代表に勝つにはどうすればいいか?イングランド戦、クロアチア戦から探る“40戦無敗”王者の攻略法

2026.10.02

サッカーを笑え #77

W杯後初のインターナショナルマッチ、UEFAネーションズリーグ第1節、第2節でスペインがイングランド(2-3)とクロアチア(4-1)に連勝した。辛勝と大勝だったが、これで国際Aマッチ40試合負けなし。W杯でもあっけなく優勝してしまったので、今や「勝って当たり前」という空気が国内にはあるのだが、そうなると逆にどうやったら勝てるのか、を考えてみたくなる。イングランド戦には攻略のヒントがいくつかあり、クロアチア戦からは反面教師的にやってはいけないことがあった。

ノータッチゴールという脅威

 まずはスペインに勝ちたいならやってはいけないこと。それはボールをプレゼントすることだ。ポゼッションチームに対して引いて守ってカウンターをうかがう、という戦い方は成立する、というかそうならざるを得ない。例えば、今フリックのバルセロナとモウリーニョのレアル・マドリーやシメオネのアトレティコ・マドリーが当たれば、圧倒的にボールを保持する前者、持てない後者という構図になるはずだ。だが、後者が必ずやることがある。それが相手のボール出しにプレッシャーをかけることと、敵陣でのボールロストやバックパスに逃げられないスローインに対してプレッシャーをかけること。

 バルセロナと毎週、毎年戦い続けているリーガエスパニョーラの常識は「ボールは無条件でプレゼントしないこと」。かつてプレゼントしてシュートの雨あられをしのぎ、ロングカウンターで勝つ、というやり方が、特に弱小チームで流行ったが、これは効率が悪い、というのが経験則から学んだことだ。

 スペイン代表に対しても同じ、なのだが、今回クロアチアが(前半だけ)無条件でプレゼントした。その結果、2度の“ノータッチゴール”が生まれた。2分のヤマルによる1点目はスペインのキックオフから27本のパスを繋ぎ、クロアチアの選手が一度も触らないまま生まれたもの。31分の2点目はクロアチアが1点を返した後のスペインのキックオフからノータッチで17本繋ぎ、18本目のキーパス(通っていれば得点機になるもの)をクロアチアDFがカットして生まれたCKをプビルが頭で叩き込んだものだった。W杯でフランスの世界最強の攻撃陣を無効化したのは、「誘って、いなして、繋ぐ」という軽快なパス回しだった。今のスペインはパスが繋がるごとにチーム全体が調子に乗っていく。もともと高い技術に自信が乗って精度が上がって。逆に、パス回しの当初に圧力をかけると、焦りが募ってせっかくの高い技術がブレ始め、ブレがブレを生むネガティブな連鎖が起きる。よって、ボールの動き始め=GKやDFからのボール出しやセットプレーにはプレスをかけない手はない――それを証明したのが、イングランドだった。

 体力があって動き続けられ、個人の能力もあってボールを奪えば高い確率で得点機を作れる彼らは、W杯では一度もリードされなかったスペインを20分間リードした。その間にあったPKをケインが決めて3‐1にしていればおそらく勝てた。スペインに逆転されてからも選手交代をしながらプレスをかけ続けて安全に逃げ切ることを許さなかった。パス回しの当初に圧力をかけて調子に乗せない、これがスペイン攻略の第一歩だ。

9月26日にウェンブリー・スタジアム(ロンドン)で行われたイングランド戦のハイライト動画
9月29日にエスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスファン(セビージャ)で行われたクロアチア戦のハイライト動画

スペインでも、ロドリでも、焦ればミスが出る

 この試合は、プレーにおける心理状態の影響の大きさを知らしめてくれた。いかにスペインでも焦ればミスが出る。リードされて迎えた後半、わがバロンドールのロドリは48分と50分にたぶん俺でもしないような5メートルほど前の敵にパスをぶつけてカットされるという信じられないミスを連続して犯した。その2つ目のミスがケインのPKに繋がったのだ。その前からダニ・オルモ、ファビアン・ルイス、ウナイ・シモンがパスやトラップをミスって自陣でボールを失い続けていた。先制はしたものの、イングランドのプレスがボディブローのように効いていてスペインは調子に乗れていなかった。カウンターは出していたが、敵陣に入って攻め続ける、試合をコントロールし続ける、という本来の形に持ち込めていなかった。その劣勢ぶりが、追いつかれ逆転されて焦りを生んだ。

……

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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