サッカー選手のトレーニングは筋力強化だけじゃない。神戸・生駒武志フィジカルコーチが明かす、新施設『Vissel Performance Center』の網羅性
ヴィッセル神戸は今年3月19日、新トレーニング施設「Vissel Performance Center(VPC)」の運用を開始した。クラブハウスがあるいぶきの森球技場に新設されたこの施設は従来のトレーニングスペースの約4倍の広さを誇り、ジョンソンヘルステックジャパン社のメインブランドであるMATRIXのトレーニング機材を導入。オープンとともに賛否を含めた大きな反響を呼んだ施設は現在どのように運用されているのか。この施設の設計に至った過程はどのようなものか。前編では生駒武志フィジカルコーチ、後編ではプロジェクト責任者の山田大都さんに聞いた(取材日:5月20日)。
サッカーの現場基準では「すべてそろっている」
――今年から神戸のフィジカルコーチに就任して、この施設を初めてご覧になった時にどういったことを感じましたか?
「本当にすごい施設だと感じました。私にとってはこのヴィッセル神戸がJリーグで9チーム目になりますが、規模を含めて非常に充実していると思います。昨年まで在籍していらっしゃったコーチとも面識があり、彼らの意志を引き継ぐこともわかっていましたので、『素晴らしい環境を整えたな』というのが率直な感想です」
――稼働が3月に始まって2カ月が経ちました。実際に選手たちはVPCをどのように使っているのか、フィジカルコーチとしてはどのように使ってほしいと伝えているのか教えてください。
「まずは練習前のプレパレーション(準備)です。選手それぞれに、自分で少し体幹に刺激を入れるなどの時間があります。これが今までの施設だと非常に狭く、これだけの強豪チームであるのに限られたエリアでそれに取り組む必要がありましたが、新しい施設になったことで一人ひとりの使えるスペースがすごく広くなりました。普段はそうした使い方が主流です。あとは練習後の筋力トレーニングとして、IDP(インディビジュアル・ディベロップメント・プログラム=個別育成プログラム)を実施しています。例えば、その日に応じてU-21の選手にトレーニングを指示したり、選手個別のプログラムを用意して取り組ませたりしています」
――コーチ目線でこの施設があってうれしいところはどんなところですか?
「まず、モチベーションが上がりますね。誰が見ても感じられるような、これだけ綺麗で広い空間ですから。純粋な筋力強化の側面に目を向ける人の中にはこの施設を見て『本当にこれだけなのか』という意見を持つ方もいるかもしれません。でもサッカーの現場を基準に考えた場合、最低限必要なものはすべてそろっています。ですからこの施設で十分ですし、選手にとっても非常に使い勝手が良いはずです。これだけ新しい器具があり、かつフリースペースも確保されていますから」

準備・予防・筋力強化を可能にするフリースペースの合理性
――今「この施設が誰に適しているのか」という話が少し出たところで、そもそもサッカー選手にとってどんなトレーニングがどれくらい必要なのか、という視点で基本的なことを教えていただいていいですか?
「トレーニングと一言で言っても様々なものがあって、大きく『準備』『予防(プリベンション)』『筋力強化』の3つに分けられます。
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Profile
邨田 直人
1994年生まれ。サンケイスポーツで2019年よりサッカー担当。取材領域は主にJリーグ(関西中心)、日本代表。人や組織がサッカーに求める「何か」について考えるため、移動、儀礼、記憶や人種的思考について学習・発信しています。ジャック・ウィルシャーはアイドル。好きなクラブチームはアーセナル、好きな選手はジャック・ウィルシャー。Twitter: @sanspo_wsftbl
