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ダービー敗戦と伊東純也の後任候補、ランス昇格へ「デカい」1勝…中村敬斗と関根大輝、2026年それぞれの誓い

2026.02.01

Allez!ランスのライオン軍団 #23

2025-26シーズンは中村敬斗、関根大輝が牽引する若き獅子たちの最新動向を、現地フランスから小川由紀子が裏話も満載でお届けする、大好評のスタッド・ランス取材レポート。

23回は、新年早々に組まれたトロワ、サンテティエンヌとの上位対決2連戦の模様をお伝えしたい。ランス兄弟が語るリーグ1昇格に向けた手ごたえ、そして2026年の目標とは?

ランス兄弟のお正月、19歳の「エグい」ゴラッソで白星発進

 2026年が明け、リーグ2は後半戦に突入した。

 スタッド・ランスの年末は、5部所属のICクロワと対戦した12月19日のフランスカップ5回戦(○0-4)で試合納め。翌日から休暇に入り、中村敬斗は日本とイタリア、関根大輝は日本で1週間ちょっとの短いオフを満喫して、29日から練習が再開した。

 関根にとっては、今回が人生初の海外での年越し。

 「なんか新鮮な感じでした。年越しのカウントダウンの瞬間は敬斗くんと一緒に大聖堂に行ったんです。でも、花火とか上がるのかと思ったら何もなくて、『え?』みたいな感じで終わっちゃった……。人はいたんですけどね。そのまますぐに帰りました。寒いだけだった……みたいな(笑)」

 そんな、ちょっぴりトホホな年越しではあったが、お正月には中村邸で一緒におせちをつついたらしい。ただでさえお正月は一年で一番日本が恋しくなる季節。単身でランスに滞在中の関根も里心を刺激されたと思うが、頼れる兄貴がいてくれたおかげで、異国での“ぼっち正月”は回避できたのであった。

2人がカウントダウンをしたランスのノートルダム大聖堂前広場。クリスマス時季は天使さんたちがお出迎えしてくれる特別仕様(Photo: Yukiko Ogawa)
オペラ座もロマンチックにライトアップ(Photo: Yukiko Ogawa)
いっそう輝いている冬季のランス繁華街(Photo: Yukiko Ogawa)

 お正月ムードを味わっている間もなく、ランスの獅子軍団は、1月3日にはリーグ2の新年初戦となる第18節アヌシー戦に臨んだ。トップリーグ所属経験のないチームを相手に、若手メンバーが躍動。開始9分に先制点を許すも、レンタル先のグラスホッパー(スイス)から今季復帰したガンビア代表のストライカー、アダマ・ボジャン(21歳)がすぐさま同点に返すと、彼のゴールをお膳立てしたMFパトリック・ザビ(19歳)が、センターサークル付近からドリブルで持ち上がってそのままロングシュートを突き刺した。

 見事なスーパーゴラッソで勝ち越したランスは、2026年初戦を白星で飾っただけでなく、2位にジャンプアップと、幸先のいいスタートを切ったのだった。

 1点目のボジャンのゴールシーンは、リプレーで見返すとかなりオフサイド気味だったが、リーグ2はVARがない。この日はランスの有利に傾いたが、敵のハンドを見逃された試合もあるから、そういった要素もリーグ2では試合結果を左右する一つとなっている。

 そして、ザビはこれがリーグ戦初ゴール。ちょうど1年前に18歳でランスに入団したコートジボワール人MFには、国内外のクラブから熱視線が送られている。191cmという立派な体格で当たり負けしないデュエルや、リーチの長い足を駆使したボール奪取でも評価が高い。パリFCが2500万ユーロを提示したという報道もある。

 「僕のラバル戦(第16節)のゴールみたいな感じだったっすね。エグかった」

 とザビのシュートを褒め称えた中村は先発フル出場。体のキレが良く、オフサイド判定だったシュートなど何度かゴールに迫るシーンもあった。相変わらず良い位置で呼び込んでもボールが来ない場面は多々あったが、そんな状況にも「イライラしたりはしないっす」とエースらしい反応。

 「(若い選手に勢いがあるのは)チームにとっては良いこと。今日は個人的に、特に前半はキレも良かったし、ボール感覚も良かった。フィーリングもすごく合ったので。今日はとにかく勝ったのがデカいですね。3ポイントを取って2位に浮上したのがデカいです」

 試合前日から雪も散らついた極寒のランスでのナイトゲームに、「さすがに寒かった」といつもは半袖派の彼もこの日は長袖のインナー着用だった。

新年初戦の勝利をサポーターとお祝い(Video: Yukiko Ogawa)

白熱のダービーは…中村ヘッド弾も、悔やまれる1失点目

 そして、このタイミングでランスが2位に浮上したことは、次戦に最高の舞台を用意した。

 17日の第19節トロワ戦は、アルデンヌ地方のライバル同士が激突するダービーであるだけでなく、首位と2位チームとの直接対決となったのだ。勝ち点差は「6」だが、ここでランスが勝てば1ゲーム差に縮まる。

 そんな両軍の対戦は序盤からヒートアップし、1分ごとにゲームが止まっているんじゃないかというくらい、誰かがピッチに倒れては主審の笛がピッピと鳴り続けた。特にランスの右サイドと相手の左サイドは激しくぶつかり合い、ランスの右ウインガー、ティエモコ・ディアラと右SBマキシム・ビュシが両者とも前半のうちにイエローカードをもらってしまう。

 一方で開始14分と早い時間に先制したトロワは、42分に1人退場者を出すも、前半終了間際には貴重な追加点をマークして2-0でハーフタイムに突入した。

 カレル・ゲラーツ監督は、後半開始から熱くなっていた右サイドの2人をそろって交代。ここで関根と、この冬リーグ1のナントから加入したウインガーのヤシン・ベンアタブが投入される。

 急造コンビはいい感じのパス交換を見せ、関根から中村にクロスが渡るなどシュートチャンスを作る場面もあったが、10人になったトロワはさらに集中力を増してランスのパスを徹底的に刈りにくる。

 もうタイムアップかという瞬間、右サイドからのMFテオ・レオーニのクロスに、中村がヘッドで合わせて一矢報いる1得点。しかし追い上げは叶わず、2-1で首位のトロワが勝ち星をさらったのだった。

気合い満点のトロワ応援団(Video: Yukiko Ogawa)
試合後サポーターに怒られるランス軍団(Video: Yukiko Ogawa)

……

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Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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