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7年間も待たせやがって…ロフタス・チーク、チェルシー産の大器がアンカーとして覚醒!

2021.11.02

ついに、来たか!? 10月の4連勝でプレミアリーグ首位(8勝1分1敗・26得点3失点)を快走するチェルシーにおいて、予想外とも言える活躍でサポーターを喜ばせる男がいる。繰り返されるケガやレンタル移籍を経て迎えた21-22シーズン、9月後半の第6節から5戦連続出場を果たし、しかもこれまでとは違うアンカーとして真価を示し始めている25歳の生え抜きMF、ルーベン・ロフタス・チーク(Ruben Loftus-Cheek)だ。

 プレミアリーグ首位に立つチェルシーは、10月30日の第10節ニューカッスル戦で、開幕から勝ち星のない19位を0-3で順当に下した。前線にはロメル・ルカク、ティモ・ベルナー、メイソン・マウント、中盤にもマテオ・コバチッチが不在だった一戦の後半には、左足と右足で先制点(65分)と追加点(77分)を決めたリース・ジェイムズと、PKでダメを押した(81分)ジョルジーニョによる得点シーンの他にも、ロンドンから電車で3時間強の敵地に駆けつけたアウェイサポーターたちを大いに喜ばせた場面が1つ。まだ両軍無得点だった64分に、ルーベン・ロフタス・チークがベンチを出た瞬間だ。

 当人は、前節ノリッチ戦(○7-0)で、チェルシーでは2年半ぶりとなるリーグ戦3試合連続先発を逃していた。やはり30分ほどピッチには立ったが、その3日後(10月26日)のリーグカップ戦ではメンバーを外れた。8歳からチェルシーで育成された逸材の現在と未来を案じる人々に嫌な予感を覚えさせる、腰の痛みによるベンチ外。2014年12月に、セスク・ファブレガス(現モナコ)との交代で1軍デビューを果たしてから約7年、25歳で今季を迎えた生え抜きMFが、ついにチェルシー主力としてのシーズンを過ごすかに思われた矢先の出来事だったからだ。

ユース時代から、ケガが最大の敵だった

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チェルシールベン・ロフタス・チーク

Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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