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「ティール組織」から、フットボールクラブの未来を占う

2020.05.11

TACTICAL FRONTIER

サッカー戦術の最前線は近年急激なスピードで進化している。インターネットの発達で国境を越えた情報にアクセスできるようになり、指導者のキャリア形成や目指すサッカースタイルに明らかな変化が生まれた。国籍・プロアマ問わず最先端の理論が共有されるボーダーレス化の先に待つのは、どんな未来なのか? すでに世界各国で起こり始めている“戦術革命”にフォーカスし、複雑化した現代サッカーの新しい楽しみ方を提案したい。

 現代のフットボールクラブは巨大化の一途をたどっており、1人の監督が統括するのは困難になりつつある。ファーガソンやベンゲルのような個人がクラブを動かす時代は終わり、多くの人間が意思決定プロセスに関与する時代が訪れている。近い未来、フットボールの世界で求められてくるマネージメント手法を考察するには、現代的な組織論を知ることが肝要だ。今回は新たなる組織論として着目されている「ティール組織」を例に、フットボールの未来を占ってみたい。

ティール組織とは何か?

 アメリカの大手コンサルティング企業マッキンゼーで組織変革を専門としたベルギー出身のフレデリック・ラルー。彼の著書『Reinventing Organizations』は『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)として日本語にも翻訳され、多くのビジネスマンに親しまれた。まずは、この「ティール組織」について簡単に説明しよう。思想の基礎にあるのが、ラルーによる進化論的な組織パラダイムである。彼の主張によれば、人間の組織論は7つの階層に分けられる。特に重要となるのが、色にたとえられる後半の5階層だ。……

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ティール組織

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。

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