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41歳ピサーロ、U-21欧州得点王にテュラム息子。新旧点取り屋を見よ

2019.08.16

本誌連動企画:さぁ開幕!19-20ブンデスリーガの要注意人物+α

8月16日(金)、ブンデスリーガの2019-20シーズンがいよいよスタートする 。バイエルンによる未踏の連覇記録更新が続いているが、昨季はドルトムントがわずか2ポイント差に迫り、さらにその両雄が激突したドイツスーパーカップはドルトムントに軍配。彼らを追うRBライプツィヒも新たに就任したユリアン・ナーゲルスマンの下でさらなるスケールアップの予感を漂わせており、例年になく激しいマイスターシャーレ争いへの期待感が高まっている。

発売中の『月刊フットボリスタ第72号』の特集「19-20欧州各国リーグ展望53人の要注意人物」 ではバイエルンのウリ・へーネスやドルトムントの新戦力トルガン・アザール&マッツ・フンメルスをはじめ、主要クラブのメインキャストにフォーカスした。だがもちろん、他にもたくさんの「要注意人物」たちがいる。ここでは、本誌特集では紹介し切れなかった3人のFWをピックアップ。上は40歳(!)から下は22歳まで、そのプレイにぜひ注目してほしい。

#1
Claudio PIZARRO
クラウディオ・ピサーロ

ブレーメンのクラウディオ・ピサーロ

1978.10.3(41歳)
184cm / 84kg
PERU
ブレーメンFW|2年目(通算10年目)
昨季リーグ成績:26試合|5得点

目に焼きつけたい、リビングレジェンド最後の舞い

 クラブの垣根を越えて、ブンデスリーガのあらゆる関係者、ファンのリスペクトを集めるストライカーが、2019-20シーズン限りでスパイクを脱ぐ。クラウディオ・ミゲル・ピサーロ・ボシオ。ちょうど20年前の1999年夏にペルーの名門アリアンサ・リマからブレーメンにやって来た青年は、外国人では歴代最多の通算472試合出場、同2位の197ゴールという金字塔を打ち立て、ドイツサッカー史にその名を深く刻み込むことになった。

 ピサーロの名はすぐにドイツ中に知れわたった。デビュー2戦目のカイザースラウテルン戦で初ゴールを決め、続くボルフスブルク戦でハットトリック。当時ブレーメンのSDだったクラウス・アロフスに「クラウディオは信じられない才能の持ち主だ。すぐに感銘を受けたよ」と称され、主将のディーター・アイルツからは「驚くほどのインテリジェンスがある」と激賞された。そのドイツ1年目に2桁ゴールを挙げ、2年目はリーグ3位の19ゴールと大ブレイク。そして2001年夏にバイエルンへとステップアップを果たした。

 その後の長く、太く、偉大なキャリアは前記した数字から読み取れるだろう。長らく所属したブレーメンとバイエルンだけでなく、ブンデスリーガの生けるレジェンドとなった40歳の点取り屋は「まだまだ元気だけど、もう十分さ」と、開幕前に引退を決意した理由を明かしている。その「まだまだ元気」は強がりなどではない。昨季は最終節のRBライプツィヒ戦で最年長ゴール記録を更新するなど、26試合に出場して5ゴールをマーク。ブレーメンのフロリアン・コーフェルト監督が終盤に決まって送り出す切り札になっていた。

 迎えた今季も公式戦初戦のDFBポカール1回戦で2ゴール。5部のデルメンホルストが相手だったとはいえ軽快な動きでマーカーを振り切り、ペナルティエリア外から豪快にネットを揺らした2点目は圧巻で、老いて益々盛んなところを見せつけた。どれだけ点差がついても、子供のようにゴールの喜びを爆発させる様子は20年前とまったく同じ。あと何度、あの笑顔を見せてくれるだろうか。レジェンドのラストダンスから目が離せない。

#2
Luca WALDSCHMIDT
ルカ・バルトシュミット

フライブルクのルカ・バルトシュミット

1996.5.19(23歳)
181cm / 74kg
GERMANY
フライブルクFW|2年目
昨季リーグ成績:30試合|9得点

U-21欧州選手権得点王の看板ひっさげ、真のブレイクへ

 ピサーロがドイツで頭角を現した頃、祖母の家の庭でボール遊びに興じていた1996年生まれのルカ・バルトシュミットも、新シーズンのブンデスリーガで「要注意」すべきストライカーの一人だ。14歳で親元を離れ、フランクフルトの下部組織に入団したレフティは、ユース時代から傑出した才能の持ち主として脚光を浴びていた。U-17、U-19カテゴリーでゴールを量産。その後に恥骨の炎症に見舞われるも、19歳の誕生日を迎える直前の2015年4月にフランクフルトで念願のブンデスリーガデビューを飾った。

 ただ、当時のチームにはファンから「サッカーの神」と崇められたアレクサンダー・マイアーに加え、後にポルトガルリーグ得点王となるハリス・セフェロビッチらが前線に君臨。こうした実力者との定位置争いで敗れたバルトシュミットは出番を求め、2016年夏にハンブルクへと移籍する。しかし、この名門でもバックアッパーの域を抜け出せず、チームが2部降格した直後の2018年夏にフライブルクに新天地を求めた。

 この移籍が大正解だった。育成の手腕に長けるクリスティアン・シュトライヒ監督から信頼を寄せられ、どちらもキャリアハイの30試合出場9ゴールを記録。正確で強烈な左足のシュートに加え、巧みなドリブルやパスでも異彩を放ち、チームの残留に大きく貢献した。主力としてシーズンを戦い抜き、自信をつけたバルトシュミットは今年6月のU-21欧州選手権でビッグインパクトを残す。同じドイツ人としてはピエール・リトバルスキー以来となる得点王に輝いたのだ。しかも、大会歴代最多タイの7ゴールを挙げたのだから、ドイツ以上に開催地イタリアのメディアが沸き立った。つけられた異名は「イル・ボンベル」。由来はもちろん、「デア・ボンバー」ことゲルト・ミュラーだ。

 今夏の移籍市場ではラツィオからの関心が報じられたが、早々にフライブルク残留を明言。紆余曲折を経て、本格ブレイクの足がかりを築いたストライカーは決して浮かれることなく、新シーズンの戦いに挑もうとしている。同じ1996年生まれのトップランナーであるFW、ティモ・ベルナーを凌ぐ活躍を見せる可能性はゼロではないだろう。

#3
Marcus THURAM
マルクス・テュラム

ボルシアMGのマルクス・テュラム

1997.8.6(22歳)
192cm / 88kg
FRANCE
ボルシアMG FW|新加入
昨季リーグ成績:32試合|9得点(ギャンガン)

父以上に“デカい”! あの屈強なDFの血を継ぐサラブレッド

 この22歳のプロフィールは、ファンの興味を駆り立てるには十分過ぎる。父親は1998年にワールドカップ制覇を成し遂げ、隆盛を極めていた90年代のセリエAで屈指のDFとして鳴らしたリリアン・テュラム。公称192cm/88kgとその実父より一回り大きい体躯を誇り、U-17からフランスの世代別代表に常に名を連ねてきた。代理人はズラタン・イブラヒモビッチやマリオ・バロテッリの才能をいち早く見抜いたあのミーノ・ライオラだ。

 父親譲りのパワーやスピードが光るマルクスは、2018-19のギャンガンで公式戦13ゴールと飛躍。その高い得点力に加え、推進力にあふれるドリブルもセールスポイントで、昨季のリーグ1における1試合平均の成功数は3.5回に達した。よく比較されるのは同じフランス人で、マンチェスター・ユナイテッドに所属するアントニー・マルシャルだ。カッとなりやすい性格で不要なカードをもらいがちな部分は改善点だが、アタッカーにとっては良い意味での図太さを持っている。そうポジティブに捉えることもできるはずだ。

 アーセナルやマルセイユが関心を示す中で、このサラブレッドの獲得に成功したのはボルシアMG。1年前にニースから引き抜いたFWアラサンヌ・プレアの成功でフランス人アタッカーの味を占めたマックス・エバールSDが、契約切れが来夏に迫っていたギャンガンとの交渉をうまくまとめ上げた。移籍金は推定900万ユーロで、エバールは「同じクラスのドイツ人なら2000万ユーロはくだらないよ」と頬を緩めている。

 それが本当に“バーゲンプライス”なのかどうかは、もちろんマルクスのパフォーマンス次第だ。前述したプロフィールに加え、ドルトムントに移籍したトルガン・アザールの10番を託されたこともあり、ファンからは大きな期待を寄せられている。その期待に応えるように、DFBポカール1回戦のザントハウゼン戦で名刺代わりの1ゴールを挙げたサラブレッドが、マルコ・ローゼを新監督に迎えた新生ボルシアMGの命運を左右する一人になるかもしれない。


Photos: Bongarts/Getty Images

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クラウディオ・ピサーロマルクス・テュラムルカ・バルトシュミット移籍

Profile

遠藤 孝輔

1984年3月17日、東京都生まれ。2005年より海外サッカー専門誌の編集者を務め、14年ブラジルW杯後からフリーランスとして活動を開始。ドイツを中心に海外サッカー事情に明るく、『footballista』をはじめ『ブンデスリーガ公式サイト』『ワールドサッカーダイジェスト』など各種媒体に寄稿している。過去には『DAZN』や『ニコニコ生放送』のブンデスリーガ配信で解説者も務めた。