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フィットしないわけがない。グリーズマン、バルサでの初陣へ

2019.07.23

Players To Watch:この男のココを見ろ‣バルセロナ

およそ3年半ぶりに来日しプレシーズンマッチを戦うFCバルセロナ。7月23日(火)にチェルシーFCと、27日(土)にヴィッセル神戸と対戦する「Rakuten CUP Supported by スカルプD」での最大の注目ポイントとなるのが、この夏到来したビッグネーム、アントワーヌ・グリーズマンだろう。

移籍決定日の関係で『Rakuten CUP マッチデープログラム』には収録できなかった、フランス代表FWが日本で迎える“バルセロナデビュー”の見どころをお届けする。

 バルセロナにアントワーヌ・グリーズマンが加入した。リオネル・メッシ、ルイス・スアレスと夢のようなトリオが実現するのだ。世界中のサッカーファンが注目している、グリーズマンのバルセロナデビューを生で見られる日本のファンは幸せだ。

 残念ながら日本でのお披露目はお預けとなったが、まずは前線の3人がどう起用されるか、配置を考えてみたい。可能性は2つあると思う。

 1つ目が3トップの[4-3-3]で右メッシ、中央スアレス、左グリーズマンと並ぶ形。3トップと言っても左右対称ではなく、メッシが右サイドに張らず内側に入って来て、グリーズマンが左サイドに張る。ちょうどネイマールがいた頃がこの形だった。内側にポジショニングするメッシに押される形でネイマールが左サイドに張り出さざるを得なかったのだ。

 役割分担はグリーズマンが左サイドをドリブルで突破、スアレスが中央でフィニッシュ、メッシは右寄りの前でも後でも自由に動いてフィニッシュでもアシストでも自由に閃くままにプレーをする、というもの。グリーズマンが入って来てもメッシが王であることには変わりがない。メッシに好きなプレーをさせるためのスアレスとグリーズマンはお膳立て役となるわけだ。

 2つ目の可能性は、昨季のメインシステム[4-4-2]を踏襲し、2トップをスアレスとメッシで構成しグリーズマンは2列目の左サイドに入る形。こちらの2トップも左右非対称でスアレスが前で中央寄り、メッシが下がり気味の右寄りのポジショニングとなる。

 3人の役割分担はさほど変わらない。グリーズマンが左サイドでドリブル突破、スアレスがフィニッシュ、メッシは自由にプレー。違うのはグリーズマンがFWではなくMF化することでMFが4人になり、チームとして配置と守備が安定すること。グリーズマン自身の守りの負担も増えるが、アトレティコ・マドリーで鍛えられているので大丈夫だろう。また、昨季と同じシステムなので他の選手がやりやすいというのもこのオプションのメリットである。

“もとの場所”

 いずれの形にせよ、グリーズマンにバルセロナの左サイドで役割を完遂できるのか、という疑問を持つ人がいるかもしれない。 近年はアトレティコ・マドリーでもフランス代表でも、トップ下またはセカンドトップで起用されるのが常だったからだ。

 だが、彼がプロキャリアをスタートさせたのは左サイドだった。ソシエダでは[4-3-3]の左ウイングとして左サイドを突破し、上げるクロスの精度とアシストの数で傑出した存在だった。今のようなゴールゲッターとしてのグリーズマンが脚光を集めるようになったのは、アトレティコ・マドリーに移籍してシメオネ監督の下でセカンドトップを任され、攻撃のタクトを握らされてフィニッシュを期待されるようになってから。

 昨季アトレティコ・マドリーで21ゴール、世界王者に輝いた昨夏のロシアW杯では4ゴールを記録した今となっては嘘のようだが、ソシエダ時代には「ゴールよりもアシストを出すのが好きだ」と言っていたものだった。代表でもクラブでも[4-4-2]や[4-3-3]の左を任された時は無難にこなしていたし、サイドで点を取らせる役に回ったとしても問題なくこなせると見る。

 もう1つ、バルセロナのポゼッションサッカーに合うのか?という疑問も湧くかもしれない。

 フランス代表もアトレティコ・マドリーもカウンターサッカーであり、グリーズマンは奪ったボールを展開する起点か、もう1人のFWの落としたボールを拾って打開する役を任されていた。そうして、カウンターのチャンスが訪れる前、つまりチームがボールを奪う前は彼も率先して相手ボールを追っていた。メッシの守備が免除されているバルセロナでもグリーズマンにはある程度の守備が期待されているから、この点は有利に働くはずだ。

 メッシ、スアレスよりも下がった位置でボールを受けることが多くなると予想されるが、そこから間を作ったり、メッシやスアレスにボールを預けて自らはサイドを駆け上がったり、逆サイドにサイドチェンジをしたり、あるいは単に横パスやバックパスを出したり、というのはグリーズマンの戦術眼と技術からすれば難しくない。いやむしろ、マイボールの時間が増え、スペースが与えられるからよりやりやすくなる。

 グリーズマンのようなテクニシャンはそもそもポゼッション向きであり、彼をカウンターに適応させる方がその逆よりもはるかに簡単だ。

 もっとも、カウンターサッカーでの経験は近年、攻撃パターンにおけるカウンターの比重を増やしているバルセロナでも生きるに違いない。例えば、カウンター時に最前線でロングボールを受けるターゲット役はスアレスが一手に引き受けているが、今季はグリーズマンにもその一部が任されるかもしれない。グリーズマンの足は遅くない、否、速い――。こう見ていくと、グリーズマンがフィットしないわけがない、と思える。日本でのデビュー戦、そして第2戦を期待を持って見てみたい。


Photo: Getty Images

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アントワーヌ・グリーズマンバルセロナ戦術移籍

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。