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ウェイン・ルーニー。イングランドのアイコンからMLSの“メンター”へ

2018.11.21

名優たちの“セカンドライフ”


欧州のトップリーグで輝かしい実績を残した名優たちが、新たな挑戦の場として欧州以外の地域へと旅立つケースが増えている。しかし、そのチャレンジの様子はなかなか伝わってこない。そんな彼らの、新天地での近況にスポットライトを当てる。


from USA
Wayne ROONEY
ウェイン・ルーニー


 イングランドフットボールの看板を長く背負ってきた。その重圧はやはり大きかったのか、アメリカでは何かから解放されたようにプレーを楽しみ、柔和な表情を多く見せるようになった。MLSの若手選手たちの“メンター”として周囲から期待されるのも、まんざらではない様子だ。

 ただ、環境や立場は変われど、ひとたびピッチに立てばルーニーはやっぱりルーニーだ。7月14日、DCユナイテッドでのデビュー戦。ウォームアップを終え、ビブスを脱いで立ち上がった瞬間、サポーターからは「We want Rooney」のコールが響く。大歓声に迎えられて59分からピッチに入ると、ものの数分でチームのベストプレーヤーであることを示しファンを魅了。息を呑むようなパスの精度とスピードは、味方さえも驚かせた。なにせ、まだ満足に練習をともにしておらず、互いのことを知らない状況だったのだから。

 初戦でいきなり2得点に関与すると、初ゴールの瞬間もすぐに訪れた。初めてフル出場し、早々にキャプテンマークも託された4試合目。仲間のスルーパスに反応して飛び出し、冷静にゴールへと流し込んで“9番”らしいところを見せつけた。その後も直接FKを決めたり、正確なクロスで仲間の得点をお膳立てしたりと大暴れ。最終的にレギュラーシーズン20試合で12ゴール7アシストと文句なしの数字を残している。

記念すべきMLS初ゴールの動画


心強い家族の存在

 「ここでの成功に飢えている。今までプレーしてきたチームで常にやってきたように、100%をDCに捧げるよ」

 その言葉に嘘偽りがないことは、8月12日のオーランド・シティ戦でのビッグプレーが証明した。2-2で迎えた95分、CKのチャンスにGKまで上がって総攻撃に出たDCユナイテッドだったが、カウンターを食らってしまう。その時、独走態勢に入った相手選手に誰よりも早く追いつき、強烈なスライディングでボールを奪ったのがルーニーだった。そのままボールを持ち運び右足を振り抜くと、綺麗な弧を描いたアーリークロスは味方の頭にピタリと合い、チームは劇的勝利。献身的な姿勢、ハードなタックル、基本に忠実で正確なキック、終盤の勝負どころでもプレーの正確性がブレないタフな体。そして何より、どんな窮地でも決して諦めない心の強さ。ルーニーという選手の魅力が凝縮されたシーンだった。すでに彼は、ワシントンの英雄だ。

日本でも話題となったオーランド・シティ戦でのビッグプレー

 もともと、アメリカでの生活に興味があったそうだ。だから、DCユナイテッドからオファーを受けると、家族が安心して暮らせる環境があることを確認してすぐに3年半契約の書類にサインした。

 コリーン夫人と4人の子供たちも一緒に渡米。長男のカイくん(8歳)はマンチェスターの学校を去ることが名残惜しかったようだが、コリーンは「とても元気な子だからどこでもうまくいくはずだし、乗り越えられるはず」と言っており、事前に現地のスクールも見学した上で、子供たちにアメリカでの学生生活を経験させることには賛成だったのだとか。

11月15日、イングランド代表ラストマッチとなったアメリカ戦で家族と。通算120試合53ゴールの記録を残しスリーライオンズに別れを告げた

 ワシントンの高級住宅地に借りた推定13億円の邸宅はホワイトハウスから車で15分程度の場所にあり、近所ではオバマ前大統領やトランプ大統領の長女イバンカらも暮らしている。地元セレブに人気の落ち着いた雰囲気のエリアで、パパラッチやタブロイド紙記者に追われることなく楽しく暮らしているようである。


Wayne Rooney
ウェイン・ルーニー

(DCユナイテッド/元イングランド代表)
1985.10.24(32歳)175cm / 83kg FW ENGLAND

2002-04 Everton


2004-17 Manchester United


2017-18 Everton


2018- D.C. United (USA)


Photos: Getty Images

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大谷 駿