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どのチームでも愛された“チャラ男”の本質。大津祐樹が最後まで貫いた男気の理由

2024.01.27

【短期集中連載】2023引退選手の記憶#4:大津祐樹

2023シーズン限りでピッチを去る選手たちがいる。元日本代表のスター選手、サポーターに愛されたワンクラブマン、様々なチームを渡り歩いたベテラン選手、若くしてユニフォームを脱ぐことを決断した者……それぞれが歩んだキャリアに光を当てる。

第4回は、その高い技術と抜群のスピードを生かしたドリブルで、見る者を魅了した大津祐樹。その親しみやすいキャラクターゆえに先輩から“チャラ男”とも称された柏レイソルを皮切りに、ヨーロッパへ挑戦した後は、横浜F・マリノスとジュビロ磐田でもプレー。どのチームでも愛された男のプロキャリアをたどる。

笑顔と涙にあふれる魅力的なキャラクター

 屈託のない笑顔で多くの人を惹きつけ、人懐っこく、親しみやすい性格で誰とでも仲良くなれる。

 それでいて涙もろい。2010年7月17日の横浜FC戦はケガからの復帰戦だったにもかかわらず、試合中に肉離れを再発し、ピッチを去る際には悔し涙を見せた。2011年7月23日、鹿島アントラーズ戦後に行われた海外移籍のセレモニーではサポーターの前で惜別の涙を流し、2012年7月26日のロンドン五輪のスペイン戦では、自らの得点で強国を打ち破った大金星に涙した。

ロンドン五輪ではダビド・デ・ヘアやイスコ、ジョルディ・アルバらを擁するスペイン相手に得点を挙げた大津。当時の日本代表には吉田麻也や酒井宏樹と、のちのA代表メンバーが複数名選出されていた

 フットサル仕込みのトリッキーな足技や華のあるプレーだけでなく、こうした人間味あふれる姿は、大津祐樹という人間を語る上では重要な要素であり、同時に彼の魅力のひとつでもある。

 大津といえば“チャラ男”の愛称で親しまれ、彼自身もその呼び名を気に入っている節があった。2015年1月、大津がVVVフェンローから柏レイソルに復帰したときの会見では「これからは“脱チャラ男”でいきます!」と笑顔で語り、周囲を笑わせた。

 プロサッカー選手としてのキャリアを歩み始めた2008年1月。高校卒業を目前に控えた大津は髪も長く、年相応の若者らしい言動もあって、柏加入後は親しみを込められて先輩選手たちから“チャラ男”と名付けられた。

 しかし“チャラ男”のイメージは、良い意味で早々に打ち砕かれることになる。

ボスナーに突き付けられた屈辱。そして、因縁は幕を開けた

 2008年2月24日のプレシーズンマッチ、ちばぎんカップ。フランサ、北嶋秀朗は負傷離脱中、李忠成はU-22日本代表の遠征で不在とFWの駒不足もあり、大津は高卒ルーキーながらスタメンに抜擢され、1トップを務めた。だが、マッチアップしたジェフユナイテッド千葉のセンターバック、192センチ88キロという屈強な肉体を持つボスナーのフィジカルの前に圧倒された。

 「やれないとは思わなかったけど……。フィジカル面を高めていかなければいけないと思います。後半になって良くなったとは思うけど、プロのゲームに慣れていないというのが一番大きかったです」

 悔しい気持ちを滲ませながら口にした「やれないとは思わなかった」という言葉からは負けん気の強さこそ感じたものの、実際にはボスナーの前に完敗だった。彼自身も力量の差を感じたのだろう。取材に応える声のトーンは、いつもの明るい大津からは信じられないほど低かった。

 ただ、本当の意味で大津の負けん気の強さが顔を覗かせたのは、その後だった。ちばぎんカップでプロの洗礼を浴びた大津は、浮かび上がった課題の克服に努めた。それから毎日のように全体練習終了後はグラウンドの外周を黙々と走り、精力的に筋力トレーニングに励んで、当たり負けしないフィジカルを作り上げていったのである。

 ある日の練習終了後、自主トレを終えた大津と話をしたときのことを、今でも鮮明に覚えている。

 「ボスナーに勝ちたいんです」

 その言葉を発した際の凛とした表情は、 “チャラ男”のそれではなかった。

2015年、ACL山東魯能FCに出場する大津

……

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エディ・ボスナー大津祐樹柏レイソル田中順也

Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。

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