シティ・フットボール・グループのロンメルに完全移籍した斉藤光毅は、22-23シーズンからオランダのスパルタにレンタルに出された。合流直後は苦労したものの尻上がりに調子を上げ、終わってみれば7ゴール5アシストの上々のデビュー。本人の言葉も交えて、オランダ1年目の試行錯誤を振り返る。
今季オランダリーグ最終戦が行われた5月28日、敵地に赴いたスパルタは前半25分、デ・グズマンのゴールで先制した。後半13分、CFラウリツェンのパスを受けた斉藤光毅は、得意のドリブルでペナルティエリアに入り込み、やや右にボールを運んでからニアサイドに強烈なシュートを叩き込んだ。これでスパルタの2点リードだ。
NOS局の実況が斉藤のゴールシーンをこう描写する。
「斉藤!(スパルタがすでに6位を確定していたということもあって)前半温存された斉藤は後半、その実力を見せつけました。彼は常に微笑みながらゴールを決めます。ラウリツェンのお膳立ても素晴らしかった」
後半34分、斉藤のスルーパスを受けたMFフェルスフーレンのシュートはGKに阻まれたものの、そのリバウンドをラウリツェンが詰めて0-3に。後半43分には右サイドから仕掛けた斉藤が倒され、スパルタがPKを得た。これをファン・クローイが決めて、スパルタが0-5で大勝した。たった45分間のプレーで斉藤はチームの3ゴールに関わった。
サッカートーク番組でファン・ホーイドンクが絶賛
オランダリーグ参戦1年目の斉藤は7ゴール5アシストを記録した。これは横浜FC時代の2019年シーズン、J2で6ゴールを決めた自己最高を更新するものだ。
その夜、NOS局のサッカートーク番組『ストゥディオ・フットボール』は今季最後の放送ということもあって、シーズンベストプレーヤー(コクチュ/フェイエノールト)やベストゴール(クラマー/RKC)を選んでから、「最高の真珠は誰!?」というトピックに移った。ここで真珠とは「キラリと光る逸材」のことを指す。
イブラヒム・アフェライはオサメ・サフラウイ(ヘーレンフェーン)を、アーノルド・フェルムーレンは『狂拳』として日本でも知られたK1ファイターを父に持つミリオン・マヌーフ(フィテッセ)を、そしてピエール・ファン・ホーイドンクは斉藤光毅を推した。いずれも21歳のサイドアタッカーだ。
『斉藤推し』のファン・ホーイドンクのトークは特に振るっていた。
「彼のことを私は楽しんだ。私の昔のチームメイト、小野伸二のことを思い出す。日本人や韓国人は両足でプレーでき、とても柔軟性がある。彼らはチームプレーヤー。欠点はリーダーシップに欠けていること。それは彼らのカルチャーと少し関係しているのだろう。しかし、彼らは本当に素晴らしいフットボールをする」……
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中田 徹
メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。