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スキッベ体制2年目の広島、トルコキャンプでの「4バック採用」の意味を考える

2023.01.24

ミヒャエル・スキッベ体制1年目で決して高くなかった下馬評を覆す快進撃を見せたサンフレッチェ広島。ドイツの名将と歩む2年目は、一体どのような進化を見せてくれるのか。トルコキャンプに密着取材している中野和也が、異国の地での新たなチャレンジをレポートする。

 ルヴァンカップ優勝、天皇杯2位、そしてリーグ戦3位。

 シーズン当初は「降格もある」と予想されていた広島の快進撃は、サッカーというスポーツの奥深さ、不可思議さ、そして予測の難しさを満天下に示したと言っていい。

 ずっと広島を見てきた者からしても、開幕前は「苦戦は余儀なくされるかも」という悲観的な考えから抜け出しきれなかった。それが正直なところだ。ミヒャエル・スキッベ監督の手腕については大きな期待を持ってはいたが、新型コロナの感染対策の影響でプレシーズンのキャンプはおろか、開幕にも間に合わないという状況の厳しさを、ヒシヒシと感じていたからだ。

 この異常事態を好転させたのは スキッベ監督の手腕と監督不在の中でチームをビルドアップしたコーチたちの頑張り、選手たちの奮戦。ただ一方で、ある時期まで広島が「ノーマーク」だったという事実も、忘れてはいけない。

 実際、シーズンの後半は各チームの分析が進み、自分たちの形を崩してでも広島対策を打ち出してくるチームも増えた。それにすべて屈したわけではないが、やりにくくなったことも事実。その典型例が、天皇杯決勝の甲府戦だった。

「4バック」で選手たちに自主的に考えさせる?

 広島では初となるトレーニングキャンプの指揮を執るスキッベ監督は、トルコキャンプ(1月12日〜)でいきなり新フォーメーションの導入を打ち出した。

 当初は[4-1-3-2]も試していたが、1月18日のCSKAソフィア(ブルガリア)戦からは[4-1-2-3]に完全シフト。トレーニングでもほとんどこの形ばかりで、キャンプでは1度も3バックを試していない。

 もっとも、指揮官は4バックへの完全移行は頭にないようだ。「4バックはオプション」とキャンプ当初から語っていて、「宮崎キャンプ(1月30日〜)では3バックをやる」と明言。トルコキャンプは昨年はやらなかったシステムを浸透させるために、時間を使った。ただ、どちらをメインシステムとして使うかは、スキッベ監督は明確にしていない。

 とはいえ、4バックに対して特別な指導をしているかというと、それは違う。配置を決めるのは監督だが、そこに細かな戦術的要素をトレーニングしている様子はない。選手たちからも「細かなことは言われていない」と口をそろえる。……

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J1サンフレッチェ広島ミヒャエル・スキッベ

Profile

中野 和也

1962年生まれ。長崎県出身。広島大学経済学部卒業後、株式会社リクルート・株式会社中四国リクルート企画で各種情報誌の制作・編集に関わる。1994年よりフリー、1995年からサンフレッチェ広島の取材を開始。以降、各種媒体でサンフレッチェ広島に関するレポート・コラムなどを執筆した。2000年、サンフレッチェ広島オフィシャルマガジン『紫熊倶楽部』を創刊。以来10余年にわたって同誌の編集長を務め続けている。著書に『サンフレッチェ情熱史』、『戦う、勝つ、生きる』(小社刊)。