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カンナバーロとピルロ。「カテナッチョ」の国の特殊な土壌でより輝いた2人のクラック

2022.07.15

この記事は『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』の提供でお届けします。

長らくイタリアサッカーの象徴だった「カテナッチョ」。そのスタイルで最後に世界王者となったチームにあって、重きを置く守備面で主役だったファビオ・カンナバーロと、守備的であるがゆえに問題となりがちな攻撃面で違いを生む存在だったアンドレ・ピルロ。対照的な2人のクラックに焦点を当てる。

2006年バロンドール

 2006年ドイツW杯、イタリア代表は史上4回目の優勝を成し遂げた。ファビオ・カンナバーロはその年のバロンドールを受賞している。

 DFの受賞は非常に珍しい。過去にはフランツ・ベッケンバウアー(2回)、マティアス・ザマーが受賞しているが、この2人はリベロだったので半分以上はプレーメイカーとしての働きを評価されている。純粋な守備者としてはカンナバーロが唯一だ。

 ちなみにバロンドールはGK、DFがほとんど受賞しておらず、GKは1963年のレフ・ヤシンだけ。2位は1973年のディノ・ゾフ、イボ・ビクトル(1976年)、ジャンルイジ・ブッフォン(2006年)があるが受賞には至っていない。DFもビリー・ライト(1957)、ジャチント・ファケッティ(1965)、フランコ・バレージ(1989)、ローター・マテウス(1991)が2位だったが、ライトとファケッティ以外はリベロである。

 カンナバーロはマンマークのスペシャリストだ。身長175㎝はCBとしては小柄だが、瞬発力が素晴らしく、読みと鋭い寄せで相手にプレーさせない守備力は抜群だった。ジャンプ力があるので空中戦も強い。イタリアは伝統的にマンマークのスペシャリストを輩出してきたが、カンナバーロがプレーした時代はすでにゾーンディフェンスが浸透している。相手のエースを徹底マークする役割はなくなっていて、その中でマンマークの強さが評価されての受賞はいかにカンナバーロのプレーが目を引いたかの証だ。優勝国のキャプテンということもあっただろう。

 この時のイタリア代表からはGKブッフォンが2位、アンドレア・ピルロが9位の得票だった。3人の誰が受賞していてもおかしくなかったが、3人のポジションと役割はいかにもイタリア代表らしくもあった。

ガッチリと握手を交わすカンナバーロとブッフォン。イタリア代表だけでなくユベントスでも共闘した

特殊な伝統

 イタリア代表と言えば「カテナッチョ」が代名詞だった。

 アズーリのモデルは、1960年代に「グランデ・インテル」と呼ばれてヨーロッパ最強クラブだったインテルである。

 優秀なGKに鉄壁のDF陣。マンマーク要員を4人そろえ、その背後をリベロがカバーする厳重な守備を敷く。左SBだけが攻撃的で、ファケッティは「攻撃するフルバック」として先駆的なプレーヤーだった。ベースは[4-3-3]だが、MFの1人はすでにマーク要員なので組み立ての中心は2人。「建築家」のニックネームで知られたルイス・スアレスがレジスタ(プレーメイカー)だった。もう1人はもっぱら守備を助けながら司令塔の補佐役となる。FWは頑健なCFと俊敏なセカンドトップ、そして中盤を兼任するワーキングウインガーという構成だった。

 左右非対称のシステムであり、パッチワークであるにもかかわらず、歴代のイタリア代表の編成はほぼこれに準じていた。何といっても、厳重なマンマークで相手に思うようなプレーをさせない守備が最大の特徴だ。優勝した1982年ワールドカップでディエゴ・マラドーナやジーコをマークしたクラウディオ・ジェンティーレは「殺し屋」と恐れられたものだ。カンナバーロはこの系譜を継ぐDFと言える。82年のGKゾフは「ゴールに鍵をかけた男」だった。優れたGKは欠かせず、ブッフォンは歴代でもトップクラスである。

82年W杯制覇の立役者ジェンティーレ

 この後方が重い陣形から何人が攻撃に参加できるかで厚みが変わってくる。最少はFW2人によるロングカウンターだが、行く時はけっこうな人数が投入されていた。サイド攻撃をワーキングウインガーと左SBが担当し、司令塔と補佐役も加担するので6人ぐらいは敵陣に入り込む。守備的なのは確かだが、攻撃しないわけではないのだ。人数をかける時はボールを失わず、タメを作る司令塔の働きが必要で、2006年はピルロがレジスタとして見事なプレーを披露していた。

 ピルロはミランで中盤の底に起用されて開花している。補佐役にジェンナーロ・ガットゥーゾを得たことも大きかった。ピルロの深い位置にいるプレーメイカーは当時の発明だったが、守備陣の前にいて、そこから組み立てていく役割自体はむしろイタリアの伝統を掘り起こしたものだ。

ミラン時代のピルロとガットゥーゾ。セードルフ(手前)とともに黄金の中盤を形成した

 イタリア代表がカテナッチョだったのは1990年までで、2006年のチームにリベロはいないし守備戦術もゾーンに変わっている。ただ、伝統の色は残っていて、カンナバーロやピルロ、ガットゥーゾだけでなく、攻撃的な左SBやワーキングウインガーなど建付けがカテナッチョ時代と非常に似ていた。また、2021年にEURO優勝を成し遂げたチームは伝統を刷新した半面、やはり左右非対称や司令塔(ジョルジーニョ)、守備の固さといったところが踏襲されていたのは興味深い。

EURO2020優勝トロフィーを掲げるジョルジーニョ。現在のイタリアを代表するレジスタだ

分岐点となったピルロの進化

 カンナバーロとピルロは傑出した選手ではあるが、イタリアの特殊な土壌でより力を発揮していた。

 カンナバーロはパスも下手ではないが、CBにビルドアップの軸になることを求めるチームではフィットしにくい。イタリアの場合は、近くにボールを預かってくれるピルロのようなレジスタがいるが、ボランチが守備型だとカンナバーロとの相性は良くない。

 ピルロはもともと攻撃的なMFなので、インサイドハーフとしてもプレーできるだろうが、後方にどっしりと構えたほうがキープ力や精密なロングパスを生かしやすい。当初は運動量が抜群というタイプでもなく、守備では強力な相棒も必要としている。ピルロにはガットゥーゾが必要で、ミランのコンビはそのまま代表に転用されていた。

2006年W杯決勝フランス戦で、PK戦の行方を見守るカンナバーロとピルロ。お互いがお互いにとって必要な存在だった

 かつてイタリアでは、ピルロタイプがチームに1人いたものだ。ただ、2人はいない。優雅なレジスタは1人だけだ。チームに1人しかいないのに、代表で世界レベルの司令塔が切れ目なく続いていたのは、欠かせない役割であるとともに、1人しかいないけれども1人は必ずいたからだろう。ジャンニ・リベラ、ジャンカルロ・アントニョーニ、ジュゼッペ・ジャンニーニがアズーリ歴代の司令塔だった。

 ガットゥーゾによる保護を受けレジスタの伝統を復活させたピルロだったが、次第に守備力や運動量もガットゥーゾ並になっていった。古色蒼然のレジスタでは現代サッカーの中で地位を保っていくのは難しかったはずだ。2021年のEUROで優勝したイタリアには司令塔が2人いた。ジョルジーニョとマルコ・べラッティだ。2人ともピルロのタイプなのだが、進化後のピルロであり、補佐役を必要としないレジスタである。1970年W杯のイタリア代表では、サンドロ・マッツォーラかリベラかという論争があった。ブラジルやドイツと違って、まず守備ありきの編成なので司令塔を2人使う余裕がなかったからだ。しかし、現在は2人並べることも可能になり、それがボール保持によるゲーム支配という新しいイタリアの土台になっている。進化したレジスタであり、その出発点をピルロに見ることができる。

◯ ◯ ◯

優れた身体能力とプレーの先を読んだ動きでマークした幾多のアタッカーを完封してきた対人守備のスペシャリストのファビオ・カンナバーロと、ピッチ全体を俯瞰する視野の広さと針の穴を通すようなパスでゲームを司った至高のレジスタのアンドレア・ピルロ。2000年代のイタリアサッカーを牽引した名手2人が、大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム「プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド」(サカつくRTW)に登場!

目玉となる彼ら2人だけでなく、クリスティアーノ・ロナウド、モハメド・サラー、ピエール・オーバメヤン、カイ・ハフェルツ、コケ、ニコラス・オタメンディ、マルク・テア・シュテーゲンら現役のスーパースターたちも新★5選手として登場する“Q Anniversary(Quarter anniversary) LEGEND SCOUT”が開催中だ。また、カンナバーロやピルロら5人の★4選手がログインするだけで手に入るQ Anniversaryスペシャルログインボーナスや、 特典が盛りだくさんのQ Anniversaryキャンペーンも同時開催!

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<商品情報>

商品名 :プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド
ジャンル:スポーツ育成シミュレーションゲーム
配信機種:iOS / Android
価 格 :基本無料(一部アイテム課金あり)
メーカー:セガ

さらに詳しい情報を知りたい方は公式HPへアクセス!
http://sakatsuku-rtw.sega.com/

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Photos: Getty Images

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。