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「晩成型」の選手を見逃さないために。バイオ・バンディングを意識したトレーニングの構築

2022.04.17

身体的成長度合いによりトレーニンググループを分ける手法「バイオ・バンディング」。そのメリットとデメリット、そして研究が進むトレーニングへの採り入れ方を紹介する。

※『フットボリスタ第89』より掲載

 フィジカル面で早熟な選手を同年代のチームでプレーさせることには、様々な課題が存在している。彼ら自身がフィジカルに頼ることでプレーの幅や判断力を成長させる機会を失うことに加え、フィジカル面で劣る選手たちが成長の機会を奪われてしまうことにもなりかねない。特に、カテゴリーごとに競争を勝ち抜かなければならないアカデミーでは多くのプレーヤーがフィジカルの差に苦しめられてきた。

 ベルギー代表におけるケビン・デ・ブルイネとティボー・クルトワは好例で、彼らはユース時代には長い距離のキックを蹴れずに苦しんでいた。それでも、育成改革を進めていたベルギーの指導者が「彼らの判断力や技術を評価した」ことで、2人のワールドクラスの選手を見逃さなかったのだ。こうしたフィジカル的な成長の差を考慮した1つの対応策として生まれたのが、バイオ・バンディングという手法だ。

今では世界的名手の地位を確立しているデ・ブルイネとクルトワ。いずれも育成年代の時には身体的成長速度の遅さの壁にぶつかっていたという

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バイオ・バンディング育成

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。

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