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コロナ禍以前から続くエリートクラブの赤字体質の理由

2021.09.07

今からでも知っておくべきESL構想の論点#1

当初発表された枠組みでの実現はなくなったが、残留したレアル・マドリー、バルセロナ、ユベントスの3クラブによる次なる一手の可能性が報じられるなどいまだに“絶滅”はしていない欧州スーパーリーグ(ESL)構想。それ自体の是非はともかく、この構想が持ち上がるに至った背景に欧州サッカー界が直面するビジネス的な課題があることは知っておくべきであろう。そのいくつかの論点にスポットライトを当てる。

論点の1つ目は「構造的な財政危機」。「金持ちクラブがさらにお金を儲けるための仕組み」――ESL構想にはそんなイメージが付きまとっているが、事はそう単純ではない。選手の給料や移籍金の高騰によりエリートクラブの財政は火の車で、そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。なぜ、彼らは構造的な財政危機に陥っているのか――会計からサッカーを読み解く会計見習い氏に、その理由を掘り下げてもらおう。

フットボリスタ第85号』より掲載

 ESL構想は、わずか3日で失敗に終わった。我われがその実態を目にすることはなかったが、ビッグクラブが放映権市場を独占することで、彼らだけが得をするビジネスモデルであったのはほぼ間違いない。ビッグクラブの傲慢さの産物とも言えるこの構想を、地元サポーターや国内の他クラブが激しく非難したのは自明である。12クラブの経営陣はこうした批判は覚悟していたと思われるが、参加による経済的なメリットの享受を優先した。その理由はいかなるものか。

 直接的にはコロナ禍での深刻な財政状況が最終的な決断を後押ししたと考えられるが、この構想自体はコロナ禍以前から議論の対象であった。つまり、コロナ禍以前から存在するビッグクラブに共通の財政課題が、12クラブを構想へ導く原動力となった可能性が高い。本記事では、12クラブの財務諸表からその共通の財政課題を抽出することで、彼らがESLへの参加を表明した背景を掘り下げていく。

選手の給料と移籍金の高騰

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会計見習い

ベンゲル時代のアーセナルを応援していく中で、サッカークラブの経営や財政に関心を持つ。クラブの財務諸表をながめて、移籍市場での動きを予想するのが空いた時間の楽しみ。趣味は海外サッカー&F1観戦。好きなクラブはアーセナル&ローマ。好きなリーグ&代表はポルトガル。ブログ『サッカーと会計のおはなし』で財務諸表の分析を中心とした記事を投稿中。Twitterアカウント:@kaikeiminarai